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宮田将士の上海だより(6)中国忘年会事情~バブリーなのにはワケがある

2018年がいよいよ始まりました、日本人なら、年末年始で心機一転今年もがんばろうという時期ですが、中国では旧正月(春節)があるので気分的には今が年末と言えます。

中国でも年末になると、会社で飲み会や忘年会が開催されます。ここ10年ほどは景気が良かったこともあり(もちろん今でも景気が良い会社は沢山ありますが)、忘年会でのイベントや出し物も日本人が驚くようなものが沢山あります。

例として、筆者がお呼ばれした会社の忘年会についてご紹介しましょう。この会社は新興の育ち盛り、上場も控えているという勢いのある物流会社です。

超豪華景品の大盤振る舞いで異様な盛り上がり

まずお伝えしたいのが、ビンゴ大会の豪華景品についてです。なんと第一位は車(400万円相当)、カーナンバーまで会社負担という優しさ、第二位は豪華客船で行く世界一周旅行、第三位はMacBookの最高スペックモデルでした。私もビンゴ大会に参加しましたが、日本のイベントでビンゴ大会というと余興程度ですが、ここまで景品がすごいと参加者も目の色が違います。番号が発表されるたびに歓声、悲鳴、怒号が会場に響き渡り、酒の勢いも手伝って、なんとも異様な盛り上がりをみせます。

そして、ハイライトは中国の忘年会といえばお約束、「百元札取り放題ゲーム」。これは、透明の四角いケースに百元札が沢山入っており、穴から手を突っ込んで片手で取れるだけ100元札をつかみ取りするというなんとも欲望丸出しのゲームです。こちらも参加者が手を突っ込むたびに大歓声の大盛り上がりです。

豪華忘年会に隠された社長の切なる願いとは

当初、筆者はこうしたイベントを単に儲かっている企業のバブリーなお遊びと思っていたのですが、この会社の社長さんとお話したところそこには切実な事情があることがわかりました。

社長さんのお話によると、中国ではボーナスは多くの会社で旧正月前のタイミングで支給されますが、ボーナスをもらって旧正月の休みが終わっても会社に戻ってこない人が結構いるのです。優秀な人ほどその傾向があるらしく、つまり次の職場は決まっているがボーナスだけはもらって辞めるということがよく起こります。

社長さんとしては、忘年会で少しでも結束や愛社精神、思い入れを強めてもらって正月明けからも自社に戻ってきて欲しいという心からの願いがあっての大盤振る舞いなのだそうです。

日本も転職が珍しくなくなったと言いますが、中国の社長の社員を引き止めるための苦労は日本の比ではないのを体感した、中国の会社の忘年会でした。