中国市場向けマーケティングに関する最新情報をご紹介します。中国ならではの事情や、中国人生活者のカスタマージャーニー、さらには主要ECプラットフォームのイベントカレンダーなども掲載。中国マーケティング戦略・戦術策定にお役立ていただけますと幸いです。
【決定版】中国マーケティングをマスターするためのコツとポイントまとめ
中国でマーケティングを行う上で、知っておくべきこと①(社会背景)
1.クチコミ社会
中国では、国の管理によりマスの情報の信頼性が非常に低く、一方的な企業広告も、信用されにくいのが実態です。
ではどのような情報が信頼されるのか――それは信頼できる人からの「クチコミ」です。その背景を知るためには少し時代をさかのぼる必要があります。
かつて農村部では「圏子(チェンズ)」という集団が存在しました。直訳すると「サークル」という意味なのですが、「圏子」には「サークル」以上の存在意義と存在感があります。同じ所属先、地域の人間が仲間となり団結するその集団は、集団の利益となる行動を良しとする価値観を持ち、特に貧困の時代には相互補助の機能を果たす重要な役割を担ってきたと言います。近代化に伴い進学や就職で農村、親族、家庭を離れることが一般的になりながらも、その価値観はインターネット上に持ち込まれ、オンライン上で新たな「圏子」が生まれていると言われています。
インターネット普及前と異なり、所属先や年齢によるセグメントではなく、趣味嗜好を紐帯として「圏子」が形成されています。物理的な距離の依存が無く、趣味嗜好による結びつきが強まった現代の「圏子」は、中国の文化的トレンド、消費トレンドを形成する要素となっています。
操作されたマスの情報が信頼されにくく、「圏子」に代表されるように、そもそも自身が所属する集団・コミュニティの利益を先行させる文化的な素養を背景に、中国ではクチコミが信頼性担保の大きな構成要素となっているのです。
2.自国の製品の信用が低い
中国では現在「消費昇級」と言われるように、消費者がより良い商品、特に安全かつ安心できる商品を求める意識が強まっています。
中国国内メーカーも、近年その製品のレベルやデザイン性を向上させていいますが、消費者にとってはかつての毒ミルク事件や、コピー・劣悪商品などの品質問題の印象がぬぐい切れず、こと体内にとり入れるものやベビー用品についてはその傾向が強くなります。
3. 14億人の「購買力」
人口 | 名目GDP (2018年現在) |
実質経済成長率 (2018年現在) |
|
---|---|---|---|
中国 | 約14億人 | 約13,407,398(百万US$)※1 | 6.6% |
日本 | 約1億3000万人 | 名目GDP約4,971,929(百万US$) ※2 |
1.2% |
※出典・参照:IMF(International Monetary Fund)、2018年全国各省市人口数量排行榜
※1 アメリカに次いで世界第2位
※2 世界第3位
巨大なマーケットサイズを持つ中国市場に対し、好機をうかがっているのは日本企業だけではありません。世界各国が有効市場として虎視眈々と機会を狙っているのが実態のため、ライバルは世界各国。国内での戦い方と異なることを改めて意識する必要があります。
4.モバイル&キャッシュレス大国
中国におけるキャッシュレス決済比率は60%ほど(※ 2015年現在)。決済額は203兆元にまで拡大しています。主な決済手段としては、アリババのAlipay(支付宝)とテンセントのWeChatPay(微信支付)が存在し、両者ともQRコードを表示させ、それを読み取ることで決済が完了します。一般的な商業施設で利用可能なほか、チケット予約はもとより露店などでも使用可能となっています。
中国のインターネット利用人口は2018年には8億人を突破し、普及率は59.5%(CNNICより)。そのうち98.6%はモバイル利用者が占めている状況です。このモバイル利用、つまりスマートフォンの急速な普及とともにAlipayやWeChatPayは爆発的に広がっていきました。実は中国国内においてクレジットカードの普及が進んでいなかったことや、偽札が多かったこともキャッシュレス化の浸透を助長したと言います。
中国マーケティングを行う上で、知っておくべきこと②(カスタマージャーニー)
それでは、中国向けマーケティングを実施するにあたり、まず念頭に置いておくべきことは何でしょうか。
あなたは誰に向けて、コミュニケーションをとろうとしているのでしょうか?――そうです、まずは相手と自分を知ることが肝心です。その手法として有効なのが「カスタマージャーニーマップ」です。中国人生活者の中でターゲットとなるペルソナを立て、商品を認知してから購入するまでの過程を可視化し、どのような手段でコミュニケーションをとるかを検討することができます。
中国消費者カスタマージャーニー図(簡易版)
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.1「カスタマージャーニーマップ」とはいったい?
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.2 ~中国消費者を知るための心構えはいかが?~
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.3 ~中国市場でのペルソナ、イメージできていますか?~
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.4~上海の生活を覗いてみよう・前編
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.5 ~上海の生活を覗いてみよう・後編
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.6 ~複雑さを増す中国消費者の購入プロセス
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.7 ~中国消費者の心に“種”を届けるには~
今ドキ中国消費者解体新書 「カスタマージャーニー」で見える中国市場攻略法 Vol.8 ~商品理解のためのBaidu活用法~
中国主要ECカレンダー
最後に、中国マーケティングを行う際には絶対に外せない主要な年間のイベントをおさえておきましょう。
■春節…旧暦の1月1日にあたるのが春節で、中国ではこの日が新年にあたります。近年はこの休暇を利用して海外旅行をする消費者も多いことでインバウンド商戦とみられていますが、同時に年越し商品や1年間の自分へのご褒美を購入するシーズンでもあり、「年貨節」などという名称でリアル・ECともに商戦が展開されます。
■婦人節…3月8日の「国際女性デー」女性の権利を保護することを目的として国連により定められた国際的な記念日。中国では一大商戦として、リアル店舗・EC大手が鎬を削る巨大な商戦となっている。
■618…6月18日、中国EC業界TOP2のうちの1社「京東(JD.com)」の設立記念日として2010年にスタートした中国巨大EC商戦。
当初はPCおよび周辺機器の販売を中心にビジネスを始めたことから「電子系商品に強く、ユーザーも男性が多い」というイメージがあったものの、近年ではファッションやマタニティといったセグメントでも商品が充実しており、2017年の618でも化粧品の販売が大きく躍進するなどT-Mallと並ぶ総合ECサイトとしての地位を確立。それに伴い、当初は6月18日のみのイベントだったが現在は5月末頃から6月下旬まで約1ヶ月続く大規模イベントへと成長。
このシーズンには京東だけではなくTaobao・suning(蘇寧)・VIP(唯品会)などがイベントをぶつけ、W11と並ぶ2大商戦となっている。
■W11…11月11日、独身の日と呼ばれる中国EC最大商戦。90年代終盤に大学生が自発的に始めたイベントがきっかけ。当初は、彼氏・彼女がいない大学生が集まってお祭りをすると言うイベントだったが、中国EC業界最大手である「アリババ」がECプラットフォームTaobaoを使ってキャンペーンを仕掛けたことに由来する。
2009年に始まった当初はTaobaoに限ったイベントだったが、ライバルである京東(JD.com)やAmazonなど、様々なEC業者が参入し、今の形となった。
■W12…12月12日、「アリババ」がTaobaoを使っておこなうキャンペーン。日本では認知度は高くないものの、中国国内においてはW11と同等の高い認知度を誇る。
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