【特集】2018年は何がアツい?2017年の「買った」「買いたい」から探る(4)~生活雑貨・日用品の共通キーワードは「香り・ニオイ」
2017年の「買った」「買いたい」ランキングから、2018年に売れそうなモノについて探る本特集、(3)ではインバウンドで人気の各種サプリメントについて確認しました。
(4)では、カテゴリ全体の件数はまだ少ないものの、伸びを見せている生活雑貨カテゴリについて見ていきたいと思います。
■じりじり件数を伸ばす日用品。人気商品に共通するキーワードは〇〇
全体の件数はまだ少ないですが、じりじりと件数を増やしているのが生活雑貨です。中でも「家庭用品」がこの秋から伸びを見せています。
家庭用品にランクインしている商品を見ていくと「消臭・ニオイ」「除湿」「除菌」に関連したものが多いことが伺えます。その中でも1位は意外にもペット用の消臭剤。通常の消臭剤ではなく「ペット」という所にポイントがあります。というのも、中国トレンドExpressでも何度かお伝えしているとおり、中国におけるペット市場の急成長がここからも見て取れます。
『2016年度中国ペット市場白書』によれば、2004年にはわずか10億元程度の規模であったこの市場も、2016年には1220億元、2020年には2000億元にまで成長すると予想されています。また中国のペット総数も2017年には2.5億匹と予想されており、その35%がイヌ、20%がネコとなっています(速途研究院、中商产业研究院調べ)。特にイヌ人気は高く、上海などの大都市を歩くと、ゴールデンやラブラドールなどの大型犬、プードル、ポメラニアン、パグなどの愛玩犬などを散歩させている姿を多く見かけます。
ペットの飼い主像も変化しており、以前は子供がすでに独立した老夫婦が飼うケースが多かったのですが、現在は独身一人暮らしの女性や小学生以上の子供を持つ家庭など、幅が広がっている模様です。ただ、若い夫婦は将来的な妊娠時にペットからの寄生虫感染を警戒するため、ペットを飼う率は下がるという特徴があります。
こうして広がる中国のペット市場ではありますが、中国の住宅の多くはマンション、アパートタイプで、戸建てに住む人はまだまだ少ないのが現状。自然、ペットも室内飼いになることが多く、ペット臭が部屋にこもってしまいます。中国では友人などを自宅に招くことも多いため、そうした場合に用いるペット用消臭剤ニーズが高まっているものと思われます。
特に「日本のペット用品はペットにも優しい(健康に影響しない)」といった評判があり、消臭剤以外にも、体をふくペット用のウェットティッシュなどケア用品で今後もニーズが見込まれています(消臭剤をペットに直接スプレーしても毛が抜けたり病気になったりしない)。
参考:
重磅发布!2017年中国宠物市场白皮书(出典;360doc.com) 中国語
2016年宠物行业报告:千亿市场规模“钱”景在哪里?(出典;kejixun科技讯) 中国語
市场规模从10亿到2000亿 宠物行业已是最赚钱的行业之一(出典;浙商网) 中国語
中国宠物市场分析报告:2017年宠物数量将达2.5亿(出典;Baidu) 中国語
新車に必須、強力消臭剤
家庭用品カテゴリでもう一つ注目したいのが「車用の消臭剤」です。
ご存じの通り、中国は世界最大の自動車大国。すでに大都市では生活に不可欠なツールとなっていますが、意外な問題があります。
誰もが経験したことがあるはずの「新車のニオイ」。実は中国ではそれが結構きついと言われています。というのも、車内の装飾(シートやシートカバー、プラスチック部分など)にいまだ大量の化学薬品を使用している事が多く、なかでも人体に有害な「ホルムアルデヒド」を利用しているケースすらあるためです(特にローエンドの車に多い)。そのためか、新車内のニオイは日本のそれよりも厳しいものがあり、ネット上でも新車のニオイ、化学物質による健康被害に関する報道もなされています。
もちろんホルムアルデヒドの場合、消臭剤によって健康被害が避けられるわけではありませんが、「ニオイが中和される=影響が減少する」といったようなイメージもあるようで、効果の有無にかかわらず対ホルムアルデヒドの一環として消臭剤が用いられるケースも少なくないようです。
参考:
90%汽车甲醛超标,甲醛中毒严重可致癌!(出典;捜狐) 中国語
潜在的な「香り」へのニーズ
家庭用品に次いで洗濯用品も健闘しており、昨年秋から増加傾向に転じています。洗濯用品のTOPは「香りつづくトップ」で、「日本で買った」「日本で買いたい」クチコミ件数は順調に増加しています。「いい服をいい香りで」という、生活の質を重視する中国消費者の特性が見て取れます。また他にもしわやにおいを取るスプレーなどがランクインしており、ここでも「ニオイ」に関連した商品が見られます。
そもそも中国では伝統的に「香り」にうるさい部分が存在していました。
ハイエンドなビジネスマンは、かつての文化人よろしく自分の執務室で香を焚くことも多く、またホワイトカラーでも、リフレッシュの一環としてアロマオイルを利用することも多くあります。近年は男性用香水の消費も伸びているようで、自身の「優雅さ」や「教養」そして「豊かさ」を表現する手法としての香りニーズが高まっているようにも見られます。
こうした香りに関しても日本への評価は低くありません。
ある会社経営をする女性は「日本のお香の方が、香りが長持ちする」といって、日本でお香や線香などを購入して帰ると話していました。
洗濯用品においても「ニオイ」が打ち出すポイントの1つになるとすれば、洗剤だけでなく柔軟剤などにも販売拡大の機会がありそうです。
まとめ
生活雑貨や日用品においては、「香り・ニオイ」「除菌・消臭」のような新たな切り口でも日本の製品が注目されている様子が伺えました。こうした新市場では、早めのプロモーション展開で消費者の囲い込みを行うのも効果的なのではないでしょうか?
つづく(5)では、医薬品、ベビー・マタニティ用品カテゴリについて見ていきます。
▼近日公開
【特集】2018年は何がアツい?2017年の「買った」「買いたい」から探る(5)