中国トレンドExpress

BAKE中国進出の事例に学ぶ、「本物の感動」を伝えるプロモーションの極意(3)~PDCAサイクルで実現する本当の成功

株式会社BAKE様へのインタビュー、最後となる(3)では、(2)でご紹介した事例の効果や、中国での成功要因についてお伺いします。

(聞き手:株式会社トレンドExpress代表取締役社長 濱野 智成、インタビュー日程2018年1月4日)

データ分析を通じて、PDCAサイクルで打ち破る

実際に得た効果について、どのようにお考えですか?

ネット上で、「ZAKUZAKU」「東京 シュークリーム」と検索した際、我々の記事が出てくるようになり、ここは非常にやってよかったと思っています。

中国では模倣品も多いですし、競争も激しい。そんな中、しっかりブランドや商品の信頼性を担保でき、「東京発」の本物のお菓子屋さんなんだという情報を、Web上でしっかり蓄積することの重要性を感じています。

また、クチコミ件数もオープン前にはあまりなかった状態から、ローンチプロモーションにしっかりお金をかけたことで、一定数のクチコミが蓄積されています。その上で、しっかりとデータを分析してレポーティングいただいたことで、施策効果の可視化や次に打つべき対策につながっていることが大きな効果だと思います。

レポーティングは本社への報告機能にも役立っていますか?

そうですね。新規事業の立ち上げに際して、どこまで投資していいのか本社側は正直心配な部分もあると思います。特に、中国は日本から見るとよくわからない特殊性の強い市場ということもあり、撤退している企業も多い。そんな中、アクションに対する結果を売上や来店数だけでなく、クチコミの増減や競合比較、なぜ流行しているのかというキーワードを分析することは、我々だけではなかなかできません。

そういう意味で、御社にしっかりとそこをフォローいただけているというのは非常にありがたいですね。プロセスも見えないし、仮説も見えないというのでは、現地でやっている人間としてはとても困るので。

100ある強みを1まで凝縮する

その他に、中国におけるZAKUZAKUの成功要因があれば教えてください

我々は1つのブランドにおいて1つの商品しか販売しません。それだけそのプロダクトそのもの、またその美味しさやブランディングに対して本気で向き合います。そういったいわゆる職人的なイメージを打ち出せるというメリットは大きいです。一方で、経営的にも販売スタッフの研修や在庫の管理などの管理コストが削減できるというメリットがあります。余ったコストや店舗のスペースは、たとえば店舗デザインや包材費用にかけるということもできる。

まさに、100ある強みを1まで凝縮するということですね

おっしゃるとおりですね。そうすることでスピーディーな店舗展開ができ、中国市場にマッチしていくことができると考えています。

 

「凝縮された強み」がBAKEの中国市場を切り開いている

まとめ 日本での成功に甘んじず、進化を続ける

中国に興味はあるけれども足踏みしているといった企業様がいたとしたら、何と声を掛けますか?

話が重複しますが、僕がなぜ中国で仕事をしているかといえば、やはり人口や伸びしろが日本に比べて何十倍もあると思っているからです。それだけ一番潜在マーケットが存在していると言っても過言ではないと思います。それだけ広がっていく可能性は間違いなくあります。これからの10年、20年は勝負、逆にやらないほうがもったいないというつもりでやっています。

最後に、「これだけは気を付けておいたほうがいい」ということがあれば教えてください

日本のやり方をそのまま中国にというのだけは、絶対にやらないほうが良いと思います。自分の経験上、それだと難しいというのは痛感しています。中国には国外の情報が入っていきづらいという中で、日本での流行や成功事例をそのまま展開するというのが難しいと感じています。PRやマーケティング手法、フランチャイズモデルなど、ローカライズをしていくというのは、ほかの国より必要なのではないでしょうか。

中国市場への果敢な挑戦から得られた意見から、様々な学びが得られた今回のインタビュー。日本での成功をそのまま持ち込むのではなく、現地でのマーケティングをしっかり行ったうえでPDCAサイクルを回していくことが、中国での真の成功につながるということが実感できたのではないでしょうか。また、SNSで拡散されていくコンテンツにも、中国消費者の声や、それらから得られるインサイトを含むものこそが、「本物の感動」を呼ぶということもわかりました。

これからも中国トレンドExpressでは、血の通った、ビジネスに役立つ事例コンテンツをお伝えしてまいります。ご期待ください。

 

株式会社BAKE中国法人の田尻晃久・総経理CEO(左)と株式会社トレンドExpress濱野智成・代表取締役社長(右)