中国トレンドExpress

【中国規制/法律】いや、もうほんとに困ってます。 1月1日からの電商法、結局どうなるの?

暖冬と言われつつも厳しい寒さのなか、中国トレンドExpress編集部内では、珍しく編集長が真面目な顔をしていた。

編集A「どうしたんですか、そんな真面目な顔なんて。なんか〇年ぶりに見たような気がしますけど。」

編集長「(どういう意味だ?)電商法だよ。困ってるんだよ。」

編集A「電商法ってあれですよね。EC事業者登録が義務化されたり、納税義務が生じたりして、いわゆるソーシャルバイヤーを規制するとか言われている中国の新しい法律ですよね?」

編集長「ソーシャルバイヤーを規制するわけじゃないな。正式なビジネスとしてルールを設けて行えるように整備されるわけだ。」

編集A「なるほど、きちんとルールを守れば法律で認められるってわけですね!」

編集長「そういうこと。そうすれば日本側だって表立ってソーシャルバイヤーを中国戦略に組み込めるんだが…。」

編集A「だが?」

編集長「施行後にまったく動きが無くて、状況が読めん。」

編集A「え~、でも、こんなにたくさんのお手紙が届いてますよ~!」

編集長「ウソをつけ。いまどき手紙で質問を届けるか!」

編集A「テヘ。でも、ホントにお問い合わせやご質問は受けてます。」

編集長「そ~なんだよな~。ただ、ホンっとに情報がないんだな、これが…。」

本気で情報がはいってこない電商法。

編集A「情報が入ってこないって、どういうことなんですか?仕事してます?」

編集長「してるよ!ただ、中国の報道を見ても出張してみても消費者に話を聞いてもソーシャルバイヤーに聞いてみても、いまいち実体がつかめんのだ。」

編集A「へ~、仕事してたんですね。道理で急に寒くなったと思った…。」

編集長「当たり前だろ!現場に行きもしないで中国情報が出せるか!」

編集A「でも、どういうことなんですか?」

編集長「中国でこういう法律が出た後って、一時的に取り締まりが厳しくなって、その模様がメディアなどに流される。ところが、今年に入ってそういう報道や取り締まりの動きが見えないんだ。」

編集A「去年夏にありましたよね~。そういうのですか?」

編集長「そうだ。去年9月28日に上海浦東空港で一斉取り締まりがあって、主に“ハンドキャリー型”が取り締まられた。今回はそれに類するものがない。」

編集A「じゃあ、取り締まらない?」

編集長「ってわけではなさそうだ。というのも、1月に上海に行ったときには、ピックアップした荷物をもって空港を出る時、全員荷物のX線検査があった。」

編集A「そこで取り締まるんですかね?」

編集長「のはずなんだが、徹底的に取り締まるぞ!っていう感じでもない。確かに一部チェックされて、関税を払わされたという話もあるようだが、そんなに熱心にチェックしている感じじゃなかった。これまでと同じような厳しさだったという感じだな。」

編集A「え~。」

編集長「郵送に関しても、去年から厳しくなったが、その度合いが増した感じではないようなんだ。」

春節インバウンドで小売業に電商法の影響が…?

編集A「え~、でも、日本の新聞等だと小売店は軒並み影響出てるっぽいじゃないですか。」

編集長「そうなんだ。確かにソーシャルバイヤー、特に春節観光のついでに仕入れに来る中国在住型の出足は鈍っている。それはおそらくこの法律施行直後であることからの様子見ではないかと思う。」

編集A「あ~、つまり彼らも“どのレベルで取り締まられるか分からないから、ちょっと控えておこう”、みたいな感じですか?」

編集長「そうだ。たしかにハンドキャリー型は問題だからな。」

編集A「いわゆる“爆買い”のイメージですよね。炊飯器とか温水洗浄便座とか…。」

編集長「何時代の話だ、それは。いまどきいるか、そんなのが。」

編集A「え~だって春節シーズン、日本のテレビで~。」

編集長「まぁいい。理由として考えられるのは、そうしたハンドキャリー型の動き以外に、訪日中国人にとって日本の百貨店で買う意義が少しずつ減っていることだろう。有名大型店で売られている商品は店による違いというのがあまりないしな。むしろ入って賑やかでわくわく感のあるような量販店の人気は衰えていない様子だ。」

編集A「なるほど。日本ならどこでも手に入る場合は、特定の店舗には行かないですよね。情報が早いから、みなさん慣れてきてるんでしょうね。」

編集長「そういうことだ。だから春節インバウンドでの売り上げ減退を電商法だけの問題にするのは早計なのではないかと思う。」

で、今後はどうなる?~法律をもう一回読んでみると…~

編集長「真面目な話、今はソーシャルバイヤーも戸惑い気味だ。中には商品の写真ではなくて手書きの絵にしたり、暗号のように商品名を隠したりといった行為もあったが、それも明確なルールを把握しての手段ではなく、憶測に基づいての事のようだ。」

編集A「じゃあ、結局どうなるんですかね?」

編集長「まずは法律の条文をよく読んでおくに越したことはない。例えば“登記が必要”とみんな言っているが、その登記はどうやら“市場主体登記”とされている。」

編集A「これって、会社を作れってことなんですかね…?」

編集長「いや、市場主体登記ってのは“市場でそのビジネスを展開する主体となる場所”ということで、EC事業者であれば自分が商品を販売しているECサイトのURLをそれとして登録できるらしい。」

編集A「へ~。じゃあ会社を作らなくてもOKってことですか?」

編集長「まだわからんな。ただ、こういう風に解釈もできるということだ。さらにこの市場主体登記、どうやら一定レベルの零細企業は、中国国内で登録が必要ないかもしれん。」

編集A「零細企業?一定ってどう決めるんですか?」

編集長「“増値税の関連政策規定の限度額内”…ってことだ!」

編集A「解説してください!!」

編集長「え~っと、え~っと…あった!“月の売上が3万元以下”の会社と言うことらしい。」

編集A「じゃあ、ソーシャルバイヤーさんたちの登録も結構簡単じゃないですか!も~慌てて損しちゃいましたよ。」

編集長「待て!これはあくまでも“そういう見解ができる”ということでしかない。今はとにかく情報を集めるしかない。」

編集A「あ~、そうなんですね。この後はまだわかんないってことですよね…。」

編集長「そうだ。ただ、さっきも言った通り、この法律を活用すれば、日本企業も法律を守っているソーシャルバイヤーたちと中国市場開拓ができる可能性がある。だから憶測に頼らず、日常的に情報をチェックして分析するしかない。」

編集A「そうですね。情報収集、ガンバります!」

編集長「うむ!というけで、ちょっくら中国行ってくる。」

編集A「え?今からですか?」

編集長「おう!後は頼んだ!!」

編集A「頼んだって…。編集長!お土産はヒマワリのタネとかじゃなくて、もっと高いものにしてくださいよ!」