中国トレンドExpress

【中国消費】貿易戦争もそっちのけ 中国発の「人気おしゃれドリンク」のルーツを探る!?

春も過ぎて、少しずつ夏の気配がし始めている東京。元号が変わり、それに続く米中貿易戦争の騒動もどこ吹く風。中国トレンドExpress編集部には編集Aが例の如くドタバタと駆け込んでくる。

編集A「並んで、並んで、また並んで、ようやくゲットしてきました~」

編集長「なんだ、どうした。またアメリカが関税上げたか?」

編集A「違いますよ~。人気のお店でタピオカミルクティー買ってきたんです」

編集長「タピオカ!?」

よく似た2つで勘違いも多発…?

編集長「意外だな、そんなモノが好きだったとは…」

編集A「え~、そうですか?流行ってますよ。なんかホッこりするじゃないですか~」

編集長「まぁ、確かに、ホッとするな…」

編集A「ええ、落ち着きますね~」

編集長「まぁ、落ち着いてるな、確かに…」

編集A「この感触がまたいいんですよね~」

編集長「あの、フサフサの感じがか?」

編集A「え、フサフサ? プチプチじゃないんですか? ってか、わかってます?」

編集長「もちろんだ。しかし意外だった。お前がそんなにげっ歯類が好きだったとはな~。ハムスターとか飼ってるのか?」

編集A「げっ歯類?!」

編集長「まぁ、世界最大のネズミともなると、人気者になるな。どっかのパークでは柚子湯とか入ったりしてるもんな」

編集A「編集長、それって、もしかして、その~、カピバラのこと言ってません?どんだけ使い古されたネタ言ってるんですか?」

編集長「違うのか?」

編集A「全然違いますよ。タピオカです、タ・ピ・オ・カ! これですよ、タピオカミルクティー!!!」

これはタピオカミルクティー

これはカピバラ柚子湯浸かり

編集長「並べて見ても見分けがつかんな」

編集A「(この場合、紹介するべきは眼科?脳外科?)」

ここから真面目に、タピオカミルクティーとは

編集長「そもそも、お前が持っているタピオカって何なんだ?」

編集A「それは……、えっと…(オドオド)」

編集長「そう、キャッサバの根っこから取ったデンプンを丸めたものだな」

ゆでる前の黒タピオカ

ゆでた後の黒タピオカ

編集A「知ってるんじゃないですか!なんでげっ歯類とか言い始めるんですか。くだらないやり取り読まされる読者の身にもなってくださいよ」

編集長「では、いわゆるタピオカミルクティーが登場したのはいつ頃で、どこから始まったのか?」

編集A「(ムシかよ…)え、それは…」


タピオカミルクティーには2つの起源説があります。

一つは台湾台中市の「春水堂」の劉漢介氏が1983年に新商品開発中に生まれた、もしくは偶然女性従業員がたまたま作ったら成功した。それが日本のテレビ局によって取材され、台湾でも人気が出た、というストーリー。

 

もう一つは台湾台南市の翰林茶館の塗宗和氏が1987年に市場で見かけた白いボール状の食べ物からヒントを得て開発した、というストーリー。

 

ただいずれも著作権や商標を主張している訳ではなく、現在でもそろってタピオカミルクティーの老舗として人気となっています。

やがて1990年代の終わりごろになるとプラスチックカップと「自動封口」というビニール製の蓋を取り付ける技術の登場で、店内で飲むものからスタンドタイプのテイクアウトドリンクとしてより普及していきました。

そうした姿が若い女性にとっては「オシャレ」に見え、経済発展をしている大陸でも、女性を中心に広く受けいれられました。


編集A「へ~」

おしゃれイメージが海を越えたタピオカミルクティー

編集長「その当時~今でも“それを持ってるとおしゃれに見える”っていうイメージは重要ということだな」

編集A「あ~、スタバのカップ持ってストール巻いてサングラス掛けるとセレブに見える、ってのと同じですね」

編集長「え~っと、まぁ、そうだ…(わかりにくい)。まぁ、大陸ではどこに行っても街中でタピオカミルクティースタンドがあるし、インスタントも売っている。スタンドは多くが加盟店方式だな」。

ミルクティースタンドの人気ブランドのひとつCoCo

同じく人気ブランドのひとつ1点点

編集A「あ~なんかこっちのほうがおいしそうですね。安そうですし」

編集長「1杯、15~20元程度じゃないのか、今は。まぁ最近では、中国のIKEA内のレストランでもタピオカミルクティーを9元で出したようだし、人気カフェなどでもメニューに加えているところも少なくない。カフェの経営者に話を聞くと、コーヒーやお茶だけだと“タピオカミルクティーないの?”と聞かれるそうだ」

編集A「それだけ根付いちゃってるってことですかね~」

編集長「そうだな。後は中国でも初のおしゃれドリンクと言っていいからな」

編集A「初、ですか。」

編集長「もともと喫茶、つまりお茶を娯楽として楽しむのは宋や元の時代から続く中国の習慣で、そこに騎馬民族のミルクティーが入ってきた。ところがそういった伝統的なものは、日本もそうだが“シブい”。若者にも受け入れられん」

編集A「確かに。日本茶出されるよりハーブティーとかの方が若者は意識向きますもんね」

編集長「そうだ。正直、こうした飲料に関しては80年代、90年代は欧米系、コカ・コーラなどの方が人気、というよりそうしたものが主流だった。そうした中、タピオカミルクティーは生活の中にあったミルクティーという伝統飲料の姿を変えたモノだったわけだ」

編集A「なるほど~。」

編集長「しかもそれが海を越えて日本でも人気になっている。日本のは台湾や大陸からやってきた人たちが日本で店を開いて始めたケースがほとんどだが、日本でも“おしゃれ”感で、若者に人気になているな」

編集A「中国でも、『日本で飲める美味しいタピオカミルクティー特集』なんて出てますもんね。そう考えるとタピオカミルクティーの存在って大きいですね」

 

編集長「さて、久しぶりに、見に行くか」

編集A「え、なにを、どこに行くんですか」

編集長「タピオカを見に、動物園へ」

編集A「いや、だから、カピバラはタピオカですって! あれ?」