中国トレンドExpress

あなたの「化粧台」見せてください!Vol.1~スキンケアブランドの選び方

Text:配島亜希子

国際感覚を具え、トレンドへの高い意欲を見せる“80後”、“90後”。加えて、ある程度を持つアラサー女性たちの大きな消費能力は侮れない存在です。日本では、化粧品への出費が一番高いのは30〜35歳と言われています。中国女性にも同様の傾向が見られますが、化粧品に対する意識や感覚、お金のかけ方も果たして同じなのでしょうか?

そこで今回は“80後”、“90後”と言われる20代後半〜30代半ばの上海在住の女性5名に、化粧品に関するさまざまな質問をぶつけてみました。

■今回ご協力いただいた方々

Aさん-28歳、大卒(上海)、未婚、月収11K、MICE系イベント会社勤務

Bさん-32歳、大卒(イギリス)、未婚、月収10K、コンサル会社勤務(アパレルトレンド講師)

Cさん-28歳、大卒(上海)、未婚、月収12K、リテール会社勤務

Dさん-33歳、大卒(上海)、未婚、月収13K、飲食企業勤務(デザイナー)

Eさん-36歳、大卒(日本)、既婚(子供1人)、月収11K、貿易会社勤務

海外ブランドばかりの化粧台、スキンケア重視で素肌勝負

まずは、毎日使っている化粧品のアイテムを教えてもらいました。その数は10~20種、半数から2/3近くが基礎化粧品、いわゆるスキンケア化粧品です。

メイク化粧品に対しスキンケア化粧品が圧倒的に多い理由は、中国女性は美肌を重視しているから。シミやくすみをメイクで隠して美肌に見せるのではなく、正真正銘の美しい素肌で勝負したいのです。

 

今回取材対象となった5人の方々の化粧台を見てみると、日焼け止めを含め、合計26ブランドが並びましたが、中国国内ブランドは1つのみ、それ以外はすべて海外ブランドとなっています。

日本ブランドは12ブランドと、全体の中でも多数を占める結果になっています。

【グラフ】今回の基礎化粧品の国別比率

■5人の基礎化粧品

Aさん

ブランド 種別 備考
キールズ(Kiehl’s) アメリカ 化粧水 自然派スキンケアブランド
コスメデコルテ(DECORTE) 日本 乳液、リンクルクリーム  
スキンシューティカルズ(Skin Ceuticals) アメリカ 美容液 最先端の皮膚科学研究に取り組む次世代ドクターズコスメ
資生堂 日本 アイクリーム  

Bさん

ブランド 種別 備考
エスティローダー アメリカ 化粧水x2  
クリニーク(CLINIQUE) アメリカ 乳液、美容液  
ノレヴァ(noreva) 乳液、アイクリーム 最近フランスで人気の薬用化粧品、ミドルクラスのブランド  
セスダーマ(SESDERMA) スペイン 美白美容液、美白クリーム 皮膚科と薬学の博士チームが研究するドクターズコスメ
可麗金(COLLGENE) 中国 コラーゲンスプレー バイオテクノロジー企業の医療美容ブランド
メンソレータム(Mentholatum) 日本 保湿クリーム アメリカ発の商品が、ロート製薬が買収後、スキンケアブランドに
イプサ(IPSA) 日本 シミ対策美容液  

Cさん

ブランド 種別 備考
アルビオン(ALBION) 日本 化粧水  
イソップ(AESOP) オーストラリア リペア美容液 ユニセックスのスキンケアブランド
ゲラン(Guerlain) フランス リペア・美白美容液  
ポーラ(POLA) 日本 美白美容液  
シャンテカイユ(Chantecaille) アメリカ アンチエイジング美容液、アンチエイジングクリーム 植物成分から作られたラグジュアリーナチュラルブランド
コスメデコルテ(DECORTE) 日本 保湿美容液  
リバイタル(REVITAL) 日本 ネッククリーム  
ハーバー(HABA) 日本 化粧水  
ラ・プレリー(la prairie) スイス アイクリーム エイジングケア専門のクリニックから誕生したブランド
フィロルガ(FILORGA) フランス アイクリーム 美容医療の現場のアンチエイジングを応用したドクターズコスメ

Dさん

ブランド 種別 備考
アルビオン(ALBION) 日本 化粧水  
イプサ(IPSA) 日本 乳液、UV化粧下地  
エスティローダー アメリカ 美容液、ファンデーション  
ランコム(LANCOME) フランス 美容液  
CPB(クレ・ド・ポー ボーテ) 日本(資生堂) 化粧水、UV化粧下地  
クリニーク(CLINIQUE) アメリカ(エスティローダー) 美容液  
リバイタル(REVITAL) 日本(資生堂) ネッククリーム  

Eさん

ブランド 国別 種別 備考
エリクシール(ELIXIR) 日本(資生堂) 化粧水、乳液  
コンフォートゾーン(comfort zone) イタリア 化粧水、乳液、アンチエイジングクリーム エステ・スパ専用の機能性コスメブランド
ランコム(LANCOME) フランス 美容液  
資生堂 日本 ヒアルロン酸美容液  
アネッサ(ANESSA) 日本(資生堂) UV(日焼止め)  

日本の化粧品への忠誠心はいかに?

まず日本の化粧品ブランドについてどう感じているかについての質問をしてみましたが、それぞれから聞こえたのは「日本ブランドへの忠誠心は、実際にはそれほど高くないのでは?」という意外な答えが・・・。

 

敏感肌のDさんは「アジア人の肌質に合うので日本ブランドを使っています」、日本に留学していたEさんは「基礎化粧品は日本ブランドの方が合うし、メーカーを信頼できるから」と言います。とはいえ、盲目的に信頼しているわけではありません。

日本ブランドを使用していないBさんは「日本は化粧品全体の品質水準が高いから、どのブランドでも安心して購入できるのでは」と日本ブランドにはいい印象を持っており、日本ブランドを購入したことがありますが、肌に合わなくて使用を止めたとのこと。

またEさんはかつてコーセーの「雪肌精」がブームになった時、角質除去や美白効果を実感したものの、あまりにも効果がありすぎて怖くなり成分を確認したところ、自分の肌に合わない成分が入っていたために別ブランドへ切り替えたそうです。

 

安全で信頼できる品質という点で、日本ブランドは全体的に最初の購入へのハードルは低く、とくにアレルギーや敏感肌の中国女性は非常に好感を持つ傾向にあります。

目的別にブランドを使い分ける消費者たち

化粧台の上には複数のブランドのアイテムが並んでいます。ひとつのブランドで統一したセット買いはしないとのことなので、その理由を伺うと、目的別にブランドを使い分けていました。

 

例えば、目の下のクマを気にしている時、「○○ブランドのアイクリームは美白効果が抜群」という評判を耳にすると、そのアイクリームを購入します。

次は乳液やクリームなど○○ブランドのほかのアイテムも買ってみようかという可能性もありますが、「××ブランドの乳液は保湿効果がすごい」と聞いたら、肌のうるおいやハリを求めて××ブランドの美容液を購入するのです。

 

アンチエイジングにこだわるCさんは「アンチエイジング系は欧米ブランド、保湿・美白系は日本ブランドと使い分けています。欧米人は肌の老化が早いから、アンチエイジングの研究が進んでいそう」と言います。また「化粧水はただの水だから安いものでいい。アンチエイジングや美白にお金をかけたいです」と、価格面でも用途別に使い分けています。

 

ブランドのいかんに関わらず、中国女性はしっかり分析・比較をして、化粧品を選択しているような印象を受けます。この点は、日本女性よりシビアなのではないでしょうか?