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【特集】キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(2) ~いまさら聞けないWeChatPay&アリペイの仕組み~

さて今更ですが中国のモバイル決済の仕組みについてみてみましょう

基礎情報

TencentPay(財付通)

財付通はテンセントグループのオンライン決済サービス提供のためのプラットフォームです。テンセントが運営する「WeChat」「QQ」のチャットサービスに付随する決済機能「WeChatPay」「QQウォレット」を扱っています。

【支払い口座は?】
WeChatPay」や「QQウォレット」を用いた決済は、銀行口座またはクレジットカードとアカウントを紐づけて行われています。

【支払い機能を有効にするには?】
「WeChatPay」の機能はインストールした「WeChat」のアプリに最初から備わっていますが、誰かに送金したり、残高を補充したり、中にチャージされている金額を店頭で利用したりするためには「実名認証」を登録する必要があります。実名認証には中華人民共和国の国籍は必要ありませんが、「中華人民共和国の身分証」が必要とされていますので、外国籍の場合は居住者や留学生などが対象となると考えられます。

カード登録、身分証の認証メニュー

▲カード登録、身分証の認証メニュー

また、法人アカウントでこの機能を有効にするためには、上記とは異なる手順が必要となります。

参考:ビジネスユーザー向けWeChatPay機能(アプリ)の申し込みについて(テンセント) 中国語

【支払いでの利用方法】
アプリを立ち上げた右上メニューから「QRコードのスキャン」を選択しカメラを起動、そのまま店頭のQRコードを読み取り、支払金額を入力、送金することで登録したキャッシュカードの銀行口座またはクレジットカードからの支払いが完了します。

QRコードのスキャン(WeChat)1

 

QRコードのスキャン(WeChat)2

▲QRコードのスキャン画面(WeChat)

Alipay(支付宝)

特集(1)ではアリババ・グループのアントフィナンシャルが運営する「アリペイ」が決済額で市場占有率トップという結果がありましたが、こちらのサービスもWeChatPayと同じく、アプリを立ち上げてメニュー画面の「Scan」の機能で店頭のQRコードを読み取り送金金額を入力、送金することで登録したカードからの支払いが完了します。

また金額が大きくなる場合には設定した6桁のパスワードを入力する必要があるなど、不正使用を防ぐためのセキュリティ設定があります。

QRコードのスキャン(アリペイ)1

 

QRコードのスキャン(アリペイ)2

編集部で確認したところ、Alipayの場合は日本のパスポートによる身分証の登録を受け付けているようです。

QRコードのスキャン(アリペイ)3

▲QRコードのスキャン(アリペイ)

便利さとアプリのメイン機能がもたらした、爆発的な普及

上記ではQRコードの読み取りについて解説しましたが、アプリ上では自分に送金してもらう(支払いしてもらう)ためのQRコードも表示できます。受取総額の総額に応じた手数料(個人であれば、アリペイは2万元まで無料、微信は1000元まで無料)を支払ったうえで、モバイル決済のアプリ上に受け取った現金を、自分の銀行口座に送金することができます。

自分のアカウントに送金してもらうためのQRコード(アリペイ)

▲自分のアカウントに送金してもらうためのQRコード(アリペイ)

実際の店頭には以下のようにWeChatPay、アリペイ双方の支払いに対応するQRコードが掲載されています。

二つ並ぶQRコード

金額を入力し、送金します。

WeChatPay支払い金額入力画面

 

WeChatPay送金完了の画面

▲支払い完了の画面(WeChatPay)

プレジデントオンラインの記事では、クレジットカードや加盟店方式の電子マネー決済と異なり、専用の端末がいらない点も普及に一役かったのではないかと分析する専門家の声も紹介されていますが、上記のような手数料の設定を鑑みると、それも非常に納得感のある見方と言えそうです。

また、初期投資の小ささだけでなく、WeChatPayはチャットアプリとして絶大な人気を誇るWeChatに備わっていたこと、アリペイは拡大するEC市場でも二大巨頭であるアリババで利用されていたことなど、「支払いのためだけ」のサービスではないことも普及に一役買ったのではないでしょうか。

参考
スマホ決済”日本6%中国98%”格差の理由(出典:プレジデントオンライン
アリペイとWeChatの現金化手数料徹底比較!お得な方法教えます(出典:新浪財経) 中国語

ここまでで市場規模や使い方といった基本を理解できたかと思います。続く記事では「キャッシュレス」から「モバイルレス」へ踏み出しつつある中国現地の状況をお伝えしたいと思います。


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【特集】キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(3) ~キャッシュレスが生み出す新たな店舗の形~