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越境ECシリーズ(3)農村部のECビジネス拡大、河北省の存在感 「中国公式統計による2017年上半期ECレポート」

中国越境ECシリーズの第3弾は前回に引き続き、中国のEC分野の公式統計のレポートである「中国電子商務半年報(2017)」(以下『レポート』と表記)をみていきます。

今回はEC経営者としての農村部の数字に注目して、ECが農村部にもたらした経済力と今後の展望に迫ります。


▼「中国電子商務半年報(2017)」が報告する中国EC市場伸び率&売り上げトップは?
越境ECシリーズ(2)この二年の変遷を映し出すデータをどこよりも早くチェック!「中国公式統計による2017年上半期ECレポート」


河北省のECビジネスは半分が農村!地域経済を活性化

アリババの研究機関の研究結果にはネット販売というビジネスが農村の家庭の平均収入を2.05万元上昇させたとのデータもあり、ECの出現が農村地区での経済を活性化させているそうです。アリババ、京東、蘇寧の三社はパートナー契約の推進や直営店、フランチャイズの展開を進めています。

ではここで、各地域のEC全店舗中、農村のEC店舗の占める割合TOP5について見てみたいと思います。なお北京、上海、天津には農村は存在しないためこのデータには含まれません。

順位 地域 各地域のEC全店舗中、農村のEC店舗の占める割合
1位 河北省 55.5%
2位 浙江省 39.7%
3位 寧夏回族
自治区
37.6%
4位 江西省 33.7%
5位 青海省 30.8%

北京市の隣、石家庄を省都に持つ河北省がトップとなっていますが、この後ご紹介する、各地域における農村のEC売り上げ額割合TOP5でも1位となっています。

EC経営における農村部の存在感の高まりを感じるとともに、農村のECユーザーを攻めるならまず河北省から、という仮説も成り立ちそうです。

消費力を高める農村住民

次に、各地域のEC売り上げ額において、農村の売り上げが占める割合TOP5を見てみましょう。

順位 地域 各地域のEC売り上げ額のうち、農村のECの売り上げが占める割合
1位 河北省 54.59%
2位 寧夏回族
自治区
47.15%
3位 貴州省 44.97%
4位 チベット自治区 31.20%
5位 遼寧省 30.04%

また中国商務部のデータによれば、2015年の農村のネットショッピングでの購入額は3,530億元(前年比96%増加)、2016年上半期の購入額は3,160億元、2016年全体では6,475億元に達すると見込まれ、これはネットショッピング全体の13%を占めることになるそうです(2014年は全体の6.5%)。

さらに「中国公式統計による2017年上半期ECレポート」では、この2、3年以内に大手ECサイトは都心以外での優待キャンペーンをすすめ普及を図るだろうということ、およびECの普及は農村地区の商業施設の不足を補完する役割を果たしていくだろうと伝えています。現在は購入額では全体の13%程度となっている消費者としての農村ECユーザーですが、今後の動向として、特に河北省や寧夏回族自治区といった地域に注視する必要がありそうです。

▼中国トレンドExpressVol.93「越境EC最新事情」でも農村のEC事情について取り上げています(会員限定)

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▼次回は「ブランド消費」とブランド品の国別比率を取り上げます

越境ECシリーズ(4)近日公開