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【セミナーレポート】China Beauty(1)~中国美容市場、計り知れぬ成長の余白~

中国トレンドExpressにて、月に一度開催している中国向けマーケティングセミナー。今回は8月開催の「China Beauty 中国の美容ニーズを動かす法則と最新事例セミナー」のサマリーをお届けします。

本セミナーは、当社事務所での普段の開催とは少々趣を変え、銀座ラシックアンジュールを会場に選定いたしました。「美容」への感度を高めていただけるモダンな空間で、デザインの細部にまでこだわったスイーツとドリンクを楽しんでいただきながら、中国美容業界における最新マーケティング事情について、講演いたしました。

登壇いただいたのは、当社戦略パートナーである雲遥互動科技社のPJ氏。同社は中国最大の美容アプリとして急成長を遂げているアプリ「抹茶美粧」の開発、運営をしています。

その額”8千億”元! 中国化粧品の総売上額予測

少子化高齢化が叫ばれて久しい日本において、人口減少は顕著であり、今後は国内需要のみならず海外の需要に目を向けることは当然の流れでしょう。その中でも中国は、日本の10倍もの人口を有し、経済成長著しく世界中から着目されている巨大市場であることはご存じのとおりです。

今回のセミナーで、そんな中国の美容市場にフォーカスする理由は、中国の中でも強大なポテンシャルを秘めている市場だからに他なりません。

現状の市場規模成長性を見てみましょう。

 

図:2011年~2018年中国化粧品総売上額

 

2015年の中国化粧品小売売上総額は4844億元(およそ7.9兆円)にのぼり、2018年までにこの規模は8千億元(13.6兆円)を超えようかと言われています。現在の日本の美容市場規模、2.4兆円と比べても、その差は歴然です。また成長率も、相対的に鈍化しているとはいえ年間20%以上と予測されています。

 

図:中国化粧品コア消費者層人数・化粧品平均消費額

また、2015年の中国化粧品コア消費層の人数は2億人、中流階級の増加など中国の経済成長も手伝って、2020年にはその倍の4億人に達すると見込まれています。更に、2012年には0.83%だった一人当たりの可処分所得に占める化粧品消費額の割合は、2015年には1.13%に増加しています。

拡大する消費層と、その一人一人が消費する金額の増加によって、市場規模は加速度的に膨張していくことでしょう。この巨大な市場をどう手中に収めていくかが、今後の課題となっていきます。

日本製品の優位性を把握して、効果的な訴求を

それでは、日本製品は、その化粧品市場においてどのような立ち位置にあるのか? というところを見ていきましょう。

中国において美容関連製品は、「国産品より、輸入化粧品を使うことがステータス」とされています。ではどこの国からの輸入品が特に人気があるのでしょうか? 2015年の中国における化粧品輸入国ランキングでは、第一位が韓国、次いで第二位が日本、それに、フランス、アメリカといった欧米諸国が追随する形となっています。

図:中国における化粧品輸入国ランキング

これは、日韓ブランドのナチュラルなイメージや安心感、日常的に使えるという強みを反映しての結果です。しかし、このランキング順位において、日本は近いうちに3位、4位と転落するとみられています。

なぜ日本が地位を転落するのでしょうか? 中国国内における広告費用への投資額がその理由です。

例えば、日本勢がプロモーション活動に1000万円の投資をしようという市場で、欧米諸国、韓国はその3~5倍をかけています。14億人という巨大市場のパイを、各国が少しでも多くとろうとお金をかけているのです。

ただ手をこまねいているわけにはいきません。日本が勝負できるのは、その品質と商品力です。日本製品のブランド力は中国国内においてまだ衰えていませんので、それを求める層に広くアプローチして、効果的なプロモーションを行い、市場を獲得できる可能性があります。

そのための有効な施策となるのが、美容アプリです。

美容洗顔料、狙うは〇〇歳一択!

それでは、ここで次回に続く内容として、皆さんにクイズです。

以下の年齢層で、中国国内において美容洗顔料を購入したい層として最も多いのは、どの年齢でしょうか?

① 18~20歳
② 21~22歳
③ 23~24歳
④ 25~26歳

 

 

正解は、

 

「18~20歳」です。

なぜこの年代なのでしょうか?

それは「大学に入ってから初めて洗顔料、化粧品を使い始める」という女性が非常に多いという傾向が理由です。興味関心を持って、スキンケア商品の情報を一番積極的に取りに来ているのがこの年齢であると言えます。

中国では、化粧は汚いものを隠すためにするもの、という考えが浸透しており、ひるがえって薄化粧であることは肌がきれいなことの証明、といった捉え方もされています。そのため、口紅やシャドウといったポイントメイクではなく、ベースのスキンケアにおいて、様々な商品を試して、自分の肌に合ったもの、今後自分が使い続けていくものを決定していく、という消費行動が見られます。

この頃に購入したメーカーの商品を長く使い続ける傾向があるため、新規参入したメーカーがスキンケア商品を働きかけてもさほど売り上げは伸びず、ポイントメイク用の商品のみが売れている事例もあります。

これはすなわち、スキンケア商品で初期段階に購入者層を取り込めば、彼女たちはその後もユーザであり続ける可能性が高いということを意味します。既に、ピンポイントに<18歳>という年齢をターゲットにしているメーカーもあるくらいです。

続く(2)では、ユーザーの「美容アプリ」を利用する理由について具体的な機能から解説いたします。

 

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【セミナーレポート】China Beauty(2) ~膨大な情報をフィルタリングする美容アプリ~