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【セミナーレポート】China Beauty(2) ~膨大な情報をフィルタリングする美容アプリ~

(1)では中国における美容の市場規模と、輸入国ランキング、そして日本の立ち位置、美容洗顔料のターゲット層を確認しました。

▼第1編はこちら

【セミナーレポート】China Beauty(1)~中国美容市場、計り知れぬ成長の余白~

本編では、アプローチするべきコア消費者層が美容製品購入を決定するまでの「美容アプリ」を使った情報収集の方法に目を向けていきたいと思います。

「美容情報がほしい」「試してみたい」にピンポイントでこたえるアプリ

ターゲットとしての最重要年齢の18歳も含め、やはり10代後半、20代の若い女性へのアプローチが肝要となってきますが、彼女たちが美容情報を取得する情報源として、最も支持しているのが美容アプリです。

 

2016年美容情報取得チャネル:美容アプリ75.6%、微信69.3%、ファッションサイト59.2%、ポータルサイト58.6%、微博54.1%、動画サイト47.6%、テレビ45.7%、掲示板44.7%、雑誌44.2%、新聞22.4%、ラジオ17.1%

 

そして美容アプリを使用する理由については、現状では「口コミ・評判のチェック」72.1に上り、次いで商品情報の取得69.3%となっています。

2016年美容アプリ利用理由:評価・クチコミチェック72.1%、商品情報の取得69.3%、トレンドの把握68.8%、使用方法の理解67.5%、商品購入65.3%、コミュニティ交流・キャンペーン参加59.5%

2016年参加したいキャンペーン内容:新商品サンプリング75.8%、クチコミ投稿キャンペーン65.3%、プレゼントキャンペーン65.2%、シェア参加型56.3%、トークイベント37.0%、メイク大会37.0%

こういった美容アプリが人気となっている背景には、アプリはユーザーの「購入前に実際に使用した人たちからの感想や評判をチェックしたい」という要望を満たすため、従来の微博(Weibo)・微信(we Chat)といったSNSで広範にわたる情報の海から拾い出すよりは、ピンポイントに化粧品、美容に特化した商品群のクチコミがチェックしやすい、という点への評価、信頼があります。

中国人が消費行動の際に「クチコミ・評判」を重視し、購入決定に際して非常に重きを置いている点については、中国トレンドExpressの記事に詳しいので、そちらもご参照ください。


▼こちらからご覧になれます

中国市場攻略の第一歩! SNS活用事例 ~中国SNS運用の肝とは~


また、これらアプリにて展開されている「新製品サンプリング」「クチコミ投稿キャンペーン」への関心が高いことも特徴的です。

彼女たちの、様々な商品を実際に試したい、使いたいという欲求に確実に応え、そのクチコミを投稿してもらう、そして情報が拡散され、購入動機につながる、という一連の流れが確立されつつあります。

クチコミを重視する傾向の強い中国国内においては、その商品を「実際に使ってみてもらう」ことが必須であり、より多くの人に使てってもらい、クチコミとして拡散される動機づけが内包されや施策が、成功するプロモーションの鍵といえるでしょう。

「情報取得」から「購入」をシームレスにする「美容アプリ」

リアルな店舗では、中国人消費者はどこで美容用品を買っているのでしょうか?

一番多いのは、屈臣氏(Watsons)、万(Manning)といった女性向けのドラッグストアで、次いでブランドカウンターなどといった実店舗が割合の多くを占めます。

 

 

化粧品の購入場所:屈臣氏・万宁等・ドラッグストア24.6%、専門カウンター16.3%、薬局5.9%、スーパー5.0%、糸芙蘭・sasa等化粧品ショップ10.5%、陶宝11.4%(EC)、聚美・楽峰等化粧品ネットショップ7.8%(EC)、総合ネットショップ4.6%(EC)、海外3.5%(インバウンド)、友達に海外で買ってもらう5.4%(インバウンド)、免税店5.1%(インバウンド)

 

中国国内で絶大な人気を誇るECサイト「淘宝」は、「美容用品の購入場所」としては11.4の割合ということがわかります。その他ネットショップも含めると23.8%と、実店舗には及びませんが、「淘宝」をはじめとしたネットショップや越境ECサイトからの美容用品購入者は既に多くいます。

例えば続く(3)で紹介しますが、美容アプリの「抹茶美粧」では、クチコミのチェックもECサイトでの購入も、アプリの中で完結できるようになっています。商品購入時の必須アクションである「情報収集」から「購入」の間のストレスがないことも商品購入を後押ししているのかもしれません。

※淘宝(タオバオ)とは

「淘宝」それ自体は中国最大級のネットショッピングサイトで、日本でいう「楽天市場」または「Amazon」をイメージされる方も多いと思われます。もともとはCtoCサイトとしてオープンしましたが、利用者の増加、取引金額の増大によってBtoC取引が始まり、日本企業ではユニクロが出店したことでも知られています。


▼中国のEC市場概観を、以下でまとめています。ぜひご覧ください。

越境EC① 中国EC市場はどこまで拡大するか!? 2016年中国EC・越境EC概観


また、現段階で割合としては少ない海外や免税店などの現地での買い物(インバウンドですが、今後中間所得層の増加に伴う海外旅行者数の拡大も予見され、この割合も多くなる可能性があります。

まとめ

美容商品について、ターゲット層の18歳からの若年層が、大手SNSプラットフォームだけではなく、効率的にクチコミがチェックでき、サンプリングを利用できる美容アプリから情報を得ていることを確認しました。購入先は、従来の実店舗から越境ECサイトまで多岐にわたっていますが、ECでの購入者は全体の4割に近づいており、今後のECの普及につれて比率も高まることが予想されます。美容アプリは、クチコミチェックと購入が一手に済ませられるという特徴から、今後ますます存在価値を上げていくのではないでしょうか。

美容アプリは海外での流行そして海外で販売されている商品の情報も取得することができるプラットフォームです。日本の製品を認知してもらうこと、そして購入してもらう際には外せないチャネルとなっていくでしょう。

それでは、実際の美容アプリとはどういったものなのか? どういったプロモーションがユーザーを購買に向かわせるのか? 続く記事では美容アプリ「抹茶美粧」コンテンツや機能といった詳細に迫りたいと思います!

 

▼続きはこちら
【セミナーレポート】China Beauty(3) ~アプリ「抹茶美粧」情報拡散の秘訣~