【特集】中国アプリ事情(1)~プラットフォームは星の数ほど、その理由は?
モバイル端末の爆発的な普及とともに拡大するアプリ市場。様々なアプリが消費者の生活に根付いており、またアプリを通じたモバイル広告も盛んです。今回の特集では、日本と異なるアプリプラットフォームの現状や、カテゴリ別アプリ利用調査を通じて、中国アプリ事情をお伝えしたいと思います。
(1)では、日本と様子の異なるアプリダウンロードプラットフォームの状況についてお伝えします。
中国にダウンロードプラットフォームがたくさんある理由
日本でAndroidアプリをダウンロードする場合、Google Playを通すのが一般的です。しかし2010年、ネット検閲の問題などによりGoogle社が中国から撤退すると宣言して以降、中国国内ではGoogle社が提供するサービスは使えなくなっています。そのため、Androidアプリをダウンロードできる独自のプラットフォームが中国国内で多く発生するという結果となっています。
皆さんご存知の通りAndroidは自由度が高いことから、そもそも中国では星の数ほどAndroidアプリが開発されています。たとえばファーウェイ、シャオミ、OPPO、Vivoなどの国内スマートフォンメーカーは、それぞれが独自のアプリを開発しています。
それぞれのメーカーが開発したアプリは、そのメーカーのプラットフォームからダウンロードできます。またスマートフォンには、そのメーカーのプラットフォームがプリインストールされていますから、ほとんどの人はプリインストールされているプラットフォームから必要なアプリをダウンロードします。
プリインストールされているプラットフォームの中に欲しいアプリがない場合は、大手IT企業が提供するテンセント応用宝、バイドゥモバイルアシスタント、360モバイルアシスタント、タオバオモバイルアシスタント、ppアシスタント、豌豆荚などが利用されています。さらに欲しいアプリがない場合は、欲しいアプリを載せているプラットフォームを探すといった具合です。
参考:
「中華アプリをインストールする前に知っておきたい中国スマホ事情とウイルス対策」(出典:スマホゲーム攻略屋本舗)
2017年十大安卓应用商店市场排名(出典:ZesMob澤思) 中国語
中国人気プラットフォーム・ランキングTOP10
どんどん増えるAndroidのダウンロードプラットフォームですが、最近では中国国内で人気のプラットフォームの順位が固定化しつつあるようです。ではここで、中国で人気のプラットフォームの順位を、2017年上半期のアプリカバー率とユーザーアクティブ率のデータからランキングしてみましょう。
1位 360手机助手(モバイルアシスタント)…アプリカバー率51%、ユーザーアクティブ率24.25%
360手机助手は、中国でも最大のITセキュリティ企業の1つである奇虎360(チーフーサンロクマル)が提供しています。360モバイルセキュリティのユーザーは1億4900万人にもなり、中国国内のスマートフォンセキュリティ市場の70%をシェアしています。その点も手伝って、奇虎360が提供する360モバイルアシスタントは、Androidダウンロードプラットフォームでも大きなシェアを誇っています。
2位 応用宝…アプリカバー率28%、ユーザーアクティブ率14.98%
WeChatやQQでお馴染みのテンセントが運営するプラットフォームです。Androidだけでなく、アップルやWindowsにも対応しています。
3位 百度手机助手(バイドゥモバイルアシスタント)…アプリカバー率12.07%、ユーザーアクティブ率8.9%
Androidのアプリダウンロードプラットフォームの権威です。2013年に国内のAndroidマーケットである91モバイルマーケットを買収して、傘下に収めたことにより、さらにシェアを伸ばしました。
4位 華為応用商店(ファーウェイアプリストア)…アプリカバー率96%、ユーザーアクティブ率11.83%
ファーウェイにプリインストールされているプラットフォームです。中国最大のスマホメーカーであるファーウェイは、Androidアプリの制作や開発にも注力しています。
5位 小米応用商店(シャオミアプリストア)…アプリカバー率60%、ユーザーアクティブ率11.44%
シャオミにプリインストールされているプラットフォームです。シャオミも中国国産のスマホメーカーで、国内ユーザーを多く抱えています。
6位 可可軟件商店(カカアプリストア)…アプリカバー率48%、ユーザーアクティブ率10.44%
中国国産スマホメーカー、Oppoのアプリストアです。Oppoは若者に人気のカメラ付きスマートフォンのブランドです。数多くの若者グループに支持されており、勢いのあるプラットフォームの1つです。
7位 歩歩高(Vivo)応用商店(ビボアプリストア)…アプリカバー率96%、ユーザーアクティブ率9.84%
Vivoも中国国産のスマホメーカーで、Vivoユーザー向けにプラットフォームを提供しています。ダウンロード、更新、アンインストール、データ移行、ネット環境診断など機能が充実しているのが魅力です。Vivoの市場拡大にともなって、今後、ビボアプリストアのシェアも拡大していくと予想されます。
8位 Google Play Store…アプリカバー率85%、ユーザーアクティブ率3.66%
グーグルが中国から撤退したとはいえ、Google Play Storeを使い続けているユーザーもいます。カバー率やアクティブ率も低めながら堅調です。
9位 豌豆荚(Wandoujia)…アプリカバー率69%、ユーザーアクティブ率1.21%
Androidパソコンで使えるプラットフォームです。スマホとパソコンをつないで、アプリ、音楽、動画、電子書籍などをダウンロードするのに使います。連絡先の管理や、ショートメールの一斉送信、スクリーンショットなどの機能が充実しています。
10位 pp助手…アプリカバー率49%、ユーザーアクティブ率1.2%
iOSとAndroidの両方に対応しており、アプリ、ゲーム、壁紙、着メロなどをダウンロードもしくはインストールするのに使います。画面がきれいで使いやすく、ダウンロード速度もクイックなど優れた点がたくさんあります。
参考:
「百度(Baidu) が最近出資・買収した会社の一覧」(出典:黒翼猫のコンピュータ日記 2nd Edition)
「中国の10大アンドロイドアプリストア」(出典:Tumblr)
まとめ
冒頭で述べたようにGoogle社のサービスが使えないことから、中国では独自のアプリとプラットフォームが発展しています。セキュリティやSNS、検索エンジンなど大手IT企業が中国人気のプラットフォーム上位を占めていますが、ファーウェイやシャオミなど国産スマホにプリインストールされているプラットフォームのシェアも伸びてきています。グーグル社の関与がなくても、AndroidOSの自由度のおかげで、Androidのプラットフォームは中国国内で発展を続けていくことでしょう。