【訪日中国人】2018春節に行きたい観光地は?
トレンドExpress恒例の春節予測、(2)では、〇〇したいランキングを確認しました。(3)では、旅の目的地たる「行きたい」ランキングを見ていきましょう。
【クチコミ分析概要】
データ収集期間:2017年12月1日-2018年1月21日
データ収集方法:新浪微博を対象に春節の予定に関する内容と特定できる書き込みを収集後、対象書き込み内から日本で「買いたい」「〇〇したい」「行きたい」に関係する行動を予定する書き込みを抽出・集計
※ ランキングは50位までを基本とするが、50位に満たない場合はそこでランキングを終了
※ランキングにおける粒度の差異(ベビー用品とオムツ、東京と渋谷等)については、発信者の書き込みとしてそのまま採用
意外な場所が意外な理由で人気に
まずはTOP20を見ていきましょう。
順位 | 行きたい場所 |
---|---|
1 | 北海道 |
2 | 東京 |
3 | 京都 |
4 | 沖縄 |
5 | 大阪 |
6 | 奈良 |
7 | 心斎橋 |
8 | 京都駅 |
9 | 金閣寺 |
10 | 奈良公園 |
11 | 渋谷 |
12 | 無印良品 |
13 | 由布院 |
14 | 別府温泉 |
15 | 箱根 |
16 | 浅草 |
17 | ユニバーサル・スタジオ・ジャパン |
18 | 札幌 |
19 | 富良野 |
20 | 小樽 |
昨年の春節は1位大阪、2位東京、3位京都となっていましたが、今年は昨年7位だった北海道が1位となりました。また、昨年は上位3位にクチコミ件数が偏っていましたが、今年はクチコミが分散しているのが特徴です。また、北海道の有名な観光地である札幌や富良野、小樽が20位以内に入っており、ここでもリピーターの増加や嗜好の多様化がうかがえます。
TOP20の顔ぶれは週次ランキングとそこまで大きく変わりませんが、8位「京都駅」12位「無印良品」は週次ランキングには見られず、今回の春節で初登場となっています。無印良品の商品は言わずと知れた「日本で買った」「日本で買いたい」ランキングの常連で、文房具や化粧品、服飾に加えてアロマディフューザーといった家電もランク入りしています。
同ブランドは現在、そのシンプルなデザインで中国も若者を中心に人気となっています。しかし、中国には同ブランドの旗艦店ばかりか、MUJIホテルやカフェなども展開されており、「なぜ日本で?」とも思われるかしれません。
一つは本物志向に裏付けられた本場の雰囲気を感じたいという気持ち。もう一つは「同じ商品でも日本のほうが安い」という認識があるためです。同じ商品ならはやり安いほうが…と思うのは誰も同じようです。
京都駅は同地を訪れる際に鉄道(新幹線)を利用するため、必然的に登場回数が増えています。もちろん、伝統的な都市における近代的建築というギャップも、旅行者の印象に残るようです。さらに近未来的な京都タワーがライトアップされる姿はSNS映えもよいのか、微博などに写真付きで投稿されています。
SNSに映える風景、スポットに
21位から50位までを一気に見ていきましょう。
行きたい場所 | |
---|---|
21 | 厳島神社 |
22 | 春日大社 |
23 | 黒門市場 |
24 | 秋葉原 |
25 | 登別 |
26 | 洞爺湖 |
27 | 伊豆 |
28 | 白川郷 |
29 | 富士山 |
30 | 有馬温泉 |
31 | 飛騨 |
32 | 神戸 |
33 | 那覇 |
34 | 宮古島 |
35 | 東京ディズニーランド |
36 | 横浜 |
37 | 皇居 |
38 | 明治神宮 |
39 | 姫路城 |
40 | 東京スカイツリー |
41 | 東京タワー |
42 | 新宿 |
43 | 歌舞伎町 |
44 | 万座 |
45 | 岡山 |
46 | 和歌山 |
47 | 嵐山 |
48 | 上野 |
49 | 池袋 |
50 | 岐阜 |
登別や洞爺湖がランクインしており、北海道の各地に注目が集まっていることがわかります。登別温泉は週次ランキングでは登場以来下降傾向が続き、現在はランキングには登場していません。しかしこの年末年始、フォロワーが68万人いるパワーブロガーに「登別地獄谷」が取り上げられており、リツイートランキングでは2位となりました。その影響がこの春節でも見られるようです。
そして登別とセットで訪れているのが「洞爺湖」。この人気の秘密は決してサミットの会場となったからではなく、日本の人気アニメ『銀魂』。主人公の坂田銀時が腰に差している木刀に「洞爺湖」と刻まれていること(実際に百度で検索すると「洞爺湖」と「木刀」がワンセットで出てきます)。もちろん、その美しくも幻想的な風景は多くの旅行者を魅了しており、SNSにも多くアップされています。
今回の春節ランキングでは「宮古島」が初登場しています。
美しい海を有する沖縄はずいぶん前から中国消費者に人気の観光地になっており、現在も那覇市を中心に多くの観光客が訪れていました。しかし最近こうした観光客の賑わいから離れて、静かに海を楽しみたいという個人旅行者も増えており、その目的地が本島から徐々に離島リゾートへと広がっているようです。
のんびりと浜辺を歩いたり、スキューバーダイビングを楽しんだり、そして美しい海をバックにしたりと、SNS上には数多くの写真がアップされています。ちなみに宮古島という地名は、日中における外交上のニュースに登場することが多いため、中国でも少しずつ名前が知られているようです。
岡山や和歌山について、トレンドExpressで提供している都道府県クチコミ件数ランキングで見てみると、40位前後を推移しています。直近何か注目を集めているのでしょうか?
岡山県の圀勝寺は、行ったランキングで昨年秋あたりから上昇傾向にあり現在は78位まで来ています。350年の歴史を有するツバキの木や、落ちた花で地面が真っ赤に敷き詰められた風景がSNSなどに投稿され、人気を呼んでいます。
和歌山には近年、中国でもニーズが高まっている「座禅」体験先として注目されている高野山があります。また双子のパンダで有名なアドベンチャーワールド、さらに「世界でもっとも低い場所にあるポスト」など中国人観光客に人気なスポットが存在していますが、中国のSNS上でその名は知られたのは和歌山鉄道貴志川線貴志駅の「たま駅長」でしょう。
2015年に初代たま駅長が亡くなった時には、ネット、SNSだけでなく、正規メディアでも報道され、大きな反響を呼びました。現在は二代目たま駅長(ニタマ)を見るために、わざわざ和歌山に立ち寄る観光客も少なくないようで、中国のSNS上でニタマの写真を見つけることもできます。
エンタメ系スポット対決、軍配はどちらに?
「東京スカイツリー」と「東京タワー」のタワー対決ですが、今回はほぼ同順位ということになりました。週次ランキングでは東京タワーのほうが圧勝しており、一昨年秋から上昇傾向にあります。一方、東京スカイツリーは一昨年末あたりから下降傾向にあり、上昇する兆しがあまり見られません。
東京タワーに関するクチコミを見ると、ワンピースとのコラボ以外にも、芝公園や、増上寺、愛宕神社など周辺の観光スポットも一緒に回れることが、順位によい影響を与えているようです。東京スカイツリーも浅草から近く、見どころも多い下町スポットであり、この点をもっとアピールしていくと良いかもしれません。
▼東京タワーについてのクチコミはこちら
【週次ランキング解説】2018年1月10日~2018年1月16日 日本で「行った」ランキング
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」と「東京ディズニーランド」のテーマパーク対決は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが圧勝しています。週次ランキングにおいてもその傾向が見られますが、立地の問題も影響しているのでしょうか?
一部のレビューでは「小さい子供がるならディズニーのほうが…」といった表現があり、ミッキーマウスなどのディズニーキャラクターは子供向け、それに対してUSJは大人(ホワイトカラー)向け、というイメージがあるようです。
中国では映画が庶民の娯楽として楽しまれていますが、特にハリウッドの娯楽映画はホワイトカラーを中心に高い人気があります。そうした層にとっては、ディズニーランドよりもハリーポッターやスパイダーマンといったコンテンツを有するユニバーサルスタジオのほうが、より興味を引くのかもしれません。さらに昨年末には中国でも人気の高い日本のアニメ「名探偵コナン」のアトラクションが登場したことも大きいといえます。またこうした迫力のあるトラクションスポットはSNS上での映えもよく、非常に多くの写真がアップされています。
まとめ
旅の目的地、今年はより具体的な地名やスポットの名前が挙がってきており、かつてのゴールデンルートから分散化の傾向がみられます。その中でも、「SNS映え」のする観光スポットに人気が集まってきている模様。今後は観光地の見た目がさらに大きなカギを握りそうです。
▼近日公開
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