消えゆく「赤い紙屑」ストーム 爆竹禁止で「より美しい春節」へ?

地響きさえ伝わってきそうな、激しい爆発音。飛び散る赤い紙きれ。むせかえるほどの火薬の煙とにおい…。それがこれまでの伝統的な春節の姿でした。しかし、それにも少しずつ変化が訪れているようです。それは各地で行われている「爆竹制限令」と呼ばれるものに表れています。

そもそも爆竹って?

中華圏では年越し(春節)を含め、結婚式などの祝い事には爆竹を鳴らす習慣があります。これは爆竹の音で魔を払うこと、また赤い紙が広がることで運気を上げるという信仰があったためでした。

なかでも春節は1年を通して最大のイベント。使用される爆竹の量もハンパではありません。しかし年配の方々に言わせれば「昔はこんなモンじゃなかった」とのこと。

現在、北京や上海などの大都市では市内を走る環状高速道路を境に、「その内側エリアでは原則的に爆竹を禁止」という条例を敷いており、所定エリアのみで爆竹の使用が許されているのです。

こうした規制は、上海において90年代中ごろから徐々に始まっていました。その当時の主な目的は「火災防止」。上海市中心部は中国でも有数の人口密集地。そこで大量の爆竹を使用したことで、散った火花による火災が発生しやすくなるのです。

また、飛び散った赤い紙きれが舞い散り「景観を壊す」、「非文明的だ」といった声があがり、国際都市としてのステイタスを守るため爆竹の使用を制限したのです。

さらに近年、特にPM2.5が問題視されてからは、この爆竹も空気を汚す要因になっているとの指摘がされ、大都市だけではなく地方都市でも規制が広がり、今では「爆竹を使わない=文明的な街」というステイタスが生まれています。

爆竹

爆竹制限、効果を計るのは「アレ」

メディア報道を見てみると、その効果は明らかに現れているようですが、何をもって「爆竹の使用が減った」と判断できるのかと言えば、それは前述の「赤い紙屑」。実はかつては春節中に出た爆竹の赤い紙屑の量を計り、「今年は〇トンでした!」と報道するのが恒例になっていたのです(単位、間違ってませんよ。春節の爆竹ごみはトン単位で生み出されるんです)。

かつてその数字は「これだけ市民が春節を楽しみました!」であったのが、近年は「これだけ爆竹の量が減りました!」に変化しているというわけです。

爆竹の燃えカス

今年はと言えば、こぞって前年比減少を報道されました。

中国の最も北、黒龍江省ハルビン市においては「爆竹ごみ今年は180トン。昨年比10トンの減少!!」とやや誇らしげ。

同じく東北地区にある遼寧省では直接的な数値は算出していないものの、春節期間中の生活ごみが昨年比1,700トンの減少であることを紹介しつつ、「例年、爆竹の紙屑が春節時期の生活ごみに大きな比重を占めている」ことから、爆竹規制の成果だと報道されました。

また爆竹規制の先進都市である上海も、2018年の爆竹紙屑は大みそか~春節朝までで2400kg(なぜか上海市はトン計算しない…)で、「7割の減少」と紹介していました。

すべてに共通するのは爆竹使用量の減少に対し、「これぞ文明社会」、「環境意識の高まり」と、ご満悦な論評です。

爆竹ナシって、実際どうよ?

メディアは「より文明的だ」、「環境保護意識の高まりだ」と褒め称えている、この春節爆竹減少。しかし、やはり気になるのが一般消費者の感想です。

ということで、微博で春節の爆竹に関する書き込みを拾ってみることに。

あったほうがいい派

  • 「遠くから爆竹の音がする。なんか“年越した~”って気がする」
  • 「(年越しに)爆竹を鳴らさない、春晩(年越番組)を見ない、餃子食べない、賭け事しない。なんか自分が中国人じゃなくなった気がする」
  • 「今年の春節はつまんない。爆竹も鳴らせないなんて。全然年越しっぽさがない」
  • 「爆竹の音がしない春節、つまんない~」

無くてもいい派

  • 「騒がしくなく、静かに過ごす春節もいいよ」
  • 「爆竹無くても、家族と過ごすのが春節」
  • 「爆竹がないけど、また変わった味があっていい」

などなど、賛否両論。「あったほうがいい派」の意見としては、やはり爆竹のない春節に物足りなさを感じている様子。また「無くてもいい派」は、「とにかく休みぐらい静かに過ごしたい」という気持ちによるところが大きいようです。

経済もライフスタイルも、そして人も猛スピードで変化を続けている中国。その変化の波は伝統的な年越しにも及んでいるのですが、ここに関しては戸惑いも隠せない模様。

さて来年の春節はいかに?そして爆竹が消えて行った後、彼らはいかに過ごすのか? 観光や消費動向以外にもチェック項目が増えそうです。

参考:
上海烟花爆竹禁燃令实施三年 春节期间空气质量持续优良(出典:China.com) 中国語
爱申活 暖心春|“迎财神”之夜上海外环内未现烟花爆竹垃圾(出典:新浪網) 中国語
狗年春节哈尔滨市清扫鞭炮垃圾180吨 比去年少10吨(出典:中国新聞網) 中国語
今年春节恼人的鞭炮垃圾同比减50%(出典:新浪網) 中国語

 

より詳しい中国情報はこちら
トレンドViewerログイン(会員専用)
Page Top