【インバウンド】日本のお寺は中国人の癒しの人気スポット 3月28日〜4月3日「○○したい」ランキングから
トレンドExpressが毎週行っている中国ソーシャルメディアにおける日本関連書き込み総件数ランキング。その中から「行った」、「食べた」、「〇〇したい」などインバウンドに関連したランキングをピックアップし、注目のキーワードを分析します。今回は「〇〇したい」ランキングから、意外な人気ポイントが見えてきます。
まずランキングトップ10はこちら。
今週のインバウンド人気:「お寺に行きたい」
今回注目するのは、○○したいランキングの上位に必ず入っている「お寺に行きたい」です。
「お寺に行きたい」は、常にベスト5にランキングされるほど人気になっています。しかし、中国にも各地にお寺はたくさんあるのに、なぜ日本に来てまでお寺に行きたいのでしょう。
癒しを求めるも、中国のお寺は市場を思わせる賑やかさ
中国には長い歴史を持つお寺が各地にたくさんあります。特に近年、国内のお寺を訪れる人が増えているともいわれています。
背景にあるのは、仏教や瞑想への興味。中国が日本と同じ仏教国であることもありますが、熾烈な競争社会において、強烈なストレスを感じる中国人が増えているからともいわれています。
こうした社会で中国人は、自然や癒しを求めているのかもしれません。
しかし、お参りに行っても中国のお寺の場合、「人が多くて騒々しい」のです。
お寺内の焼香場所は煙が立ち込め、火のついた線香の束が無造作に置かれており、祈りを捧げる場所が、まるで市場のように賑やかなのです。これは特別なことではなく、中国の多くのお寺で見られる光景です。
せっかく癒しを求めても、にぎやかさにかき消されてしまうのです。
荘厳な日本のお寺、目の当たりにすると中国人は感動
それに比して、基本的に静かな日本のお寺。そこは中国の人たちが求めている「お寺によって癒しを得られる場所」となっているのではないでしょうか。そして同時に、あることにも気づくようです。
中国からの観光客、日本のお寺を見て「中国の唐王朝を思い浮かべる」という人が多いようで、特に京都を訪れるとそう感じるようです。
それもそのはず、京都は唐の都、長安(現在の西安)をモデルに作られているからです。
WeChatやWeiboには、日本の歴史を感じさせる建築物や、その建築美を象徴する写真が数多くあげられています。
こうした点でも、なぜ中国人が日本へ来てお寺に行きたいと思うのかがわかると思います。
中国には長い歴史があって、素晴らしい建築物がたくさんありました。「〜ました」という過去形にしたのは、これら中国にあった文化財の多くが文化革命の時に破壊されてしまったからです。
文革以前も中国の歴史上、王朝が変わるたびに、前政権下のものはことごとく破壊され、新しいものに作り直されてきました。なので、中国人が築いた文化を、中国人自ら破壊してしまったために、日本でお寺へ行くと昔と変わらず歴史のままに残されていることに魅かれるのです。そして古いものがきれいに保存されているのを見て感動するのです。
お寺に行きたい理由は、何もお願い事をするだけではなく、中国人が日本の歴史や文化、職人の技に尊敬の念を抱いているからなのではないでしょうか。
自然豊かな環境でリフレッシュ
中国人観光客が日本のお寺で感じるもう一つのポイントは「自然」。
中国では開発が進み、自然環境が壊されているほか、都市部ではPM2.5などの大気汚染に悩まされ、心が落ち着き癒される自然環境が少なくなっています。都市部に住む中国人は、週末を利用して都会の喧騒を離れて田舎の方へ癒しを求める小旅行に出かける人も少なくありません。
こうした自然環境を求めて、最近は高野山など、地方都市にあるお寺を訪れる中国人が増えています。
高野山では最近、リピーターや個人旅行が増えていることもあり、以前から体験型の滞在が人気になっており、「宿坊に泊まる」ことを目的にしている消費者も多いようです。
自然豊かな環境の中で、リラックスでき、体に優しい食事を楽しめ、心身ともにリフレッシュ。都会では味わえない自然やローカルとの触れ合いを楽しむ。
日本のお寺はそんな中国人が思い描いている「リラクゼーションスポット」となっているのです。