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【インバウンド】訪日中国人、日本で食べたいものは…「パスタ」!?―「食べた」ランキングから

トレンドExpressが毎週行っている中国ソーシャルメディアにおける日本関連書き込み総件数ランキング。その中から「行った」、「食べた」、「〇〇したい」などインバウンドに関連したランキングをピックアップし、注目のキーワードを分析します。今回は2018年6月6日〜6月12日「食べた」ランキングから、「日本に来ているのになぜ?」と思ってしまうメニューを紹介します。

まずランキングトップ10はこちら。

2018年6月6日〜6月12日「食べた」ランキング

今週のInbound Word:「パスタ」

今回注目するのは、食べたいランキングの上位に入っている「パスタ」です。

ランキングの推移は以下の通りなのですが、クチコミ件数で見るとなぜか2017年に入った直後に件数が急増しています。

寿司やしゃぶしゃぶ、ラーメンに並ぶようにしてベスト10にランキングされている「パスタ」。

訪日観光しているのであれば、純和食を味わってほしいという気持ちもありますが、洋食である同メニューのランクイン。中国でイタリアンは人気となっているのでしょうか。

はたまたなぜに訪日の際にパスタが食べたくなるのでしょうか。

中国ではイタリアンが人気?

数千年も続く、長く奥深い食の歴史がある中国において、和食や洋食が食べられ始めたのはごくごく最近のことです。今でこそマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどのファストフード店が乱立していますが、それも都市部を中心とした話で、地方ではまだ馴染みがない食べものになります。

そんな状況の中で、華僑や若者を中心に自国以外の食べものを少しずつ受け入れ始めた結果、中国での食文化が変化し、今ではあらゆる国の食事ができる環境が整ってきています。

中でも本場の味を忠実に再現しているフレンチやイタリアンなどの洋食系レストランは人気になっていて、ちょっと前までは欧米人が占拠していた店も、気がつけば連日中国人富裕層で賑わっているのが日常茶飯事となっています。

洋食を楽しむという行為そのものも、中国富裕層にとっては一種の「ステイタス」になっているのかもしれません。

サイゼリヤがパスタ人気のきっかけに?

中国国内では、北京、上海、広州など大都市を中心に展開しているサイゼリヤ。日本ではもうお馴染みのファミレスですが、中国ではおしゃれな店の雰囲気とリーズナブルな価格で若者たちの心をしっかりとつかんでいます。

微信や微博でもサイゼリヤが頻繁に登場しているところ見ると、その人気ぶりが伺えます。友人たちと利用することが大半であるようですが、中にはお一人様で食事をして、「一人サイゼリヤでイタリアン満喫中」「昼を食べ損ねたから遅いランチ」などとつぶやいているユーザーも少なくありません。

これもリーズナブルな価格と一人でも食べやすいメニュー構成がお一人様にウケているからかもしれません。また、リーズナブルなサイゼリヤだからこそ、「サイゼリヤで100元食べちゃったよ」などとつぶやくユーザーには、「自分も同じ」「全然大丈夫」などの励ましのコメントが数多く寄せられています。

日常食になっているからこそ日本でもパスタ

このように今では若者を中心に、イタリアンがよく食べられており、中でもパスタやピザは大人気。すっかり中国人たちの日常食になりつつあるのです。そのことから訪日の際に「パスタを食べること」自体は不思議ではないと言えます。

しかし日本のパスタは中国の少し柔らか目に茹でた麺と違ってアルデンテ、しかもソースも豊富なことから、同じくパスタといっても中国消費者にとっては「美味しく」、そして「特別感」があるようです。

ここで食べた、忘れられない美味しさのパスタは、すぐさま写真と感動のコメントをつけてSNS上にアップされ広がっていくのです。