中国トレンドExpress

【訪日中国人】夜の市場を巧みに獲得。中国人も大好きドン・キホーテ ―「行った」ランキングから

トレンドExpressが毎週行っている中国ソーシャルメディアにおける日本関連書き込み総件数ランキング。その中から「行った」、「食べた」、「〇〇したい」などインバウンドに関連したランキングをピックアップし、注目のキーワードを分析します。

今回は2018年7月4日〜7月10日「行った」ランキングから、常に中国人を含めた外国人観光客でにぎわっているあのお店の人気について探ります。数々の施策から「観光客の時間の上手な取り込み方」が見えてきます。

まずランキングトップ10はこちら。

2018年7月4日〜7月10日「行った」ランキング

今週のInbound Word:「ドン・キホーテ」

今回注目するのは、行ったランキングで常に上位にランキングされている「ドン・キホーテ」です。

ランキングを見ると、一時的に下がった時期もありますが、押しなべて高い水準を保っているのが見て取れます。

365日24時間、休むことなく日用品から家電・食品までをお得に提供しているドン・キホーテ。日本ではおなじみのショップですが、中国人も大好きらしいのです。

どの辺りが中国人にウケているのか検証してみました。

いち早く訪日客に対応

日本各地で「爆買い」に、てんやわんやしていたはるか前から、ドン・キホーテでは中国人観光客をはじめとする訪日客向けに様々な施策を取り入れていました。

代表的なものとしては

  • 2008年に旅行客の要望を受けて銀聯カードを導入
  • 全店での免税対応
  • 多言語のHPや店舗POP
  • 訪日外国人客専用コールセンター設置
  • 無料Wi-Fi

など、受け入れ環境を整備してきたのです。

また2010年3月からは、個人客向けに店舗と近隣のホテルを紹介する他言語マップの作成などを開始するなど、インバウンド戦略に本腰を入れています。

中国インバウンド市場においては「団体客はLaox」、「個人客はドン・キホーテ」と棲み分けができていますが、最近は個人旅行客が増えていることもあり、売上も比例するように増加しています。

いったいドンキで何を買っているのでしょうか?

ドン・キホーテでは、各店舗によってインバウンド施策を実施しており、大阪の「道頓堀御堂筋店」では、1階にニーズの高い菓子や医薬品・全国のおみやげ、2階に生活用品、3階に化粧品、4階に家電など、フロア別にテーマを設定し、目的型の買い物がしやすい売り場づくりを行っています。

また、インバウンドに力を入れている店舗では、人気商品キットカットなどを集めた土産物コーナーや抹茶コーナーなど、訪日客向けの売り場がとても充実しています。

全フロアくまなく回っているだけで、結構な時間を消費してしまいそうですが、買い物リスト持参でショッピングを楽しむ中国人は、目的の商品があるフロアや売り場へ直行。次々とお目当てのものを買い込んでいきます。もちろんSNS上に所狭しと並べられた商品や、ショッピングの様子、熱帯魚が泳ぐ水槽をアップすることも忘れてはいません。

化粧品や日用品をまとめ買いしているとかなりの量になりますが、お土産を持ち帰るためのキャリーケースも一緒に購入してしまえば、荷物の量など気にせず思う存分買い物を楽しむことができるのです。

夕食後にドン・キホーテでお買い物

訪日客の時間帯別売上高のピークは夜の10時台に集中しているようです。

というのも、夕食後の時間を使ってマップ片手に街を散策し、24時間営業のドン・キホーテに入ることが夜の観光のひとつとして定着し始めているからなのではないでしょうか。

24時間営業していて、いつでも必要なものが買える店は自国にはありません。しかも、海外にいるにもかかわらず、店内には中国語を話せるスタッフが働いていたり、中国語のPOPが付いていたりと至れり尽くせりな点も、中国人観光客の心を捉えている理由のひとつになっています。

また、提携する旅行会社や宿泊施設を通じて配布される、ドン・キホーテの一部の商品を割引価格で買えるなどの特典が付いた「ようこそ! カード」も大きな役割を果たしています。

さらに「マジカプレミアムグローバル」というシステムを導入しており、これは訪日客が住む国に商品を配送するサービスのことで、日本滞在中だけでなく帰国後も商品を購入できるようになったことも中国人客のハートを惹きつけています。

このような買い物しやすい環境は、中国人観光客の購買意欲を高めてくれます。

今となってはすっかり口コミやSNSで知れ渡ったドン・キホーテですが、夕食後に時間を持て余していた観光客たちを、夜の観光という新たな切り口で楽しませてくれています。ドン・キホーテは中国人観光客にとって必ず訪れるスポットのひとつになっているのです。