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【訪日中国人】中国人が良く行くスポット? クルーズで人気を上げる「下関」―「行った」ランキングから

トレンドExpressが毎週行っている中国ソーシャルメディアにおける日本関連書き込み総件数ランキング。その中から「行った」、「食べた」、「〇〇したい」などインバウンドに関連したランキングをピックアップし、注目のキーワードを分析します。

今回は2018年8月1日〜8月7日「行った」ランキングから、決して目立った街ではないのですが、ジワリジワリと中国人観光客の間で人気を高めている某「都市」について分析します。

まずランキングトップ10はこちら。

2018年8月1日〜8月7日「行った」ランキング

今週の訪日人気クチコミ:「下関に行った」

今回注目するのは、「行った」ランキングで最近ジワリジワリと人気になっている「下関」です。

ランキングの推移を見ると、2017年8月ごろから人気を高め、TOP10までにはいかないものの、20~30位に定着しています。

順位 目的地
21 下呂温泉
22 下関
23 池袋
24 修善寺
25 宇佐神宮
26 那須
27 東京タワー
28 河口湖
29 大磯
30 桂川

山口県下関市と聞いてすぐに浮かぶのはフグ。このフグで有名な本州最西端にある風光明媚な土地に、中国人観光客が足を運んでいるようです。下関に中国人を惹きつける何かがあるのでしょうか。調べてみました。

下関は見所、食べ所満載の観光地なれど…

山口県・下関は、関門海峡に面する街で、山口県の最西端に位置しています。

海の恵みや豊かな自然が作り出す風光明媚な景色が自慢の街です。日本人的には、源平合戦の最終決戦地である壇ノ浦や、宮本武蔵と佐々木小次郎の決戦の地である巌流島など歴史スポットも多いのが特長です。

また、下関と言えばフグが有名ですが、市場ではここでしか出会えないような貴重な魚も見かけることができるなど、珍しいグルメの旅も魅力のひとつです。

このように下関は自然が満喫でき、歴史を感じられる史跡や新鮮な海産物など、訪れる人を魅了する仕掛けやグルメが満載なのが分かります。

しかし、中国の観光客の人気が高まっているのは、これら観光資源によるものだけではないようです。

お目当てはフグじゃない!?

ここ下関を訪れる中国人観光客が増えている理由は、下関市のクルーズ船受け入れ態勢が整っていることにあるようです。

2017年に市西部の響灘にある人口島・長州出島にクルーズ船乗客の出入国審査用の施設を設けると発表がありました。それまでは施設設備が整っていないこともあり船が来るたびに岸壁にテントを設置し、出入国に必要な税関検査などをしていたのです。

なので、この施設ができたことでこれまで1千人程度の入国処理に2時間以上かかっていたのが、同じ時間で4,000人の手続きができるようになったのです。そのため17万トン級のクルーズ船も受け入れ可能となったのです。

博多港との連携

九州方面のクルーズ船受け入れの中心になっているのは、福岡県・博多港です。その博多港が受け入れ能力が限界に近づいてきているそうです。そこへ手を挙げたのが下関市。

とはいえ、単なる代替地では下関にとっては意味がありません。それまでは下関に寄港しても、大型バスで北九州や福岡へ観光や買い物に出かけるケースが少なくなかったからです。この経験を生かし、街をあげて中国人観光客を引き止める工夫したところ、半数以上、多い時では8割方の人たちが、下関で時間を過ごすようになったそうです。

こうしたことから下関港には寄港予約が増え、多くの中国人観光客が増えたのです。今後もクルーズ船受け入れに限界が近い福岡市の博多港と連携し、さらなる誘致を目指しています。

ちなみに下関市は中国・青島市と友好都市関係にあります。下関に寄港する中国からの船は、その青島から週3便もやってきており、お互いにとって無くてはならない存在になりつつあるのではないでしょうか。