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【中国人気振り返り】 乾燥に悩む中国女性 その肌を潤す人気日本商品は?

日本の「コスメ・美容」商品は中国の消費者から一番買われているセグメントですが、同セグメントはその中を「スキンケア・基礎化粧品」、「ヘアケア・スタイリング」、「ベースメイク」、「ボディケア・オーラルケア」、「メイクアップ」、「その他」の6つの中カテゴリーに分類されています。その中でも最も高い人気を誇るのが「スキンケア・基礎化粧品」。

今回は『2018年中国SNSクチコミ振り返りレポート』から、人気の「スキンケア・基礎化粧品」の様子を見ていきましょう。

■データ
トレンドViewer「買った」クチコミランキングから

  • 2018年1月3日~10月30日
  • 2017年1月4日~10月31日

までのクチコミ件数を収集、整理し作成。


「コスメ・美容」の中核をなすスキンケア商材

【グラフ】トレンドViewer内2018年クチコミ件数のセグメント別の構成比

2018年の「コスメ・美容」に関するクチコミはクチコミ総数の約45%を占める331万9,113件に上っていますが、その半数以上が、実は「スキンケア・基礎化粧品」を「買った」というクチコミとなりました。これはすなわち、日本のスキンケア商品が高く評価されていることを示しています。

【グラフ】2018年「コスメ・美容」セグメントに占める「スキンケア・基礎化粧品」商品の割合 

次に、2018年クチコミ件数が多かった「コスメ・スキンケア」商品のTOP20をみると、ここでも『雪肌精』が強く1位でした。2位『ベイビッシュ うるおいマスク』、3位『馬油ナチュラルミルクローション』をはじめ、TOP5までの全商品が「コスメ・美容」総合のTOP5と全く同じという結果になりました。

2017年との比較では、引き続きTOP20入りしたのは計13商品で、新たにTOP20入りしたのは6位『無印良品 乳液・敏感肌用』、13位『肌美精 モイスト美容液マスク(キメ透明感)』などの7商品でした。6位『無印良品 乳液・敏感肌用』は、後述する増加率ランキングで1位になるなど、2018年は大きく知名度を上げた一年となりました。

メーカー別では、2つの商品がランクインしていたのは「コーセー」、「資生堂」、「アルビオン」、「ウテナ」の4社でした。そのうち、「アルビオン」を除く3社では、同じシリーズの別商品が入っており、たとえば“洗顔料と化粧水”、“クレンジングと洗顔料”というように消費者がシリーズ買いしている様子をうかがい知ることができます。

【表】2018年クチコミ件数が多かった「コスメ・スキンケア」商品TOP20

順位 前年比 2018年 2017年
1位 雪肌精コーセー スクワクレンジング
2位 ベイビッシュ うるおいマスク

(コーセーコスメポート)

薬用スキンコンディショナー エッセンシャル
3位 馬油ナチュラルミルクローション

(コスメテックスローランド)

雪肌粋 ホワイト洗顔 クリーム
4位 スクワクレンジング

(ハーバー研究所)

雪肌精
5位 雪肌粋 ホワイト洗顔 クリーム

(コーセー)

パーフェクトホイップ
6 無印良品 乳液敏感肌用

良品計画

馬油ナチュラルミルクローション
7 ニベア クリーム チューブ50g(花王) アルビオン マスク用シート
8 スパトリートメント ストレッチアイシート

(ウェーブコーポレーション)

プレミアムプレサ ゴールデンジュレマスク ヒアルロン酸
9位 薬用スキンコンディショナー エッセンシャル(アルビオン) カウブランド 無添加洗顔フォーム
10位 パーフェクトホイップ(資生堂) ハイピッチ ディープクレンジングオイルW
11位 ホワイトラベル 贅沢プラセンタのもっちり白肌パック(ミックコスモ) ホワイトラベル 贅沢プラセンタのもっちり白肌パック
12位 アルビオン マスク用シート(アルビオン) ベイビッシュ うるおいマスク
13 肌美精 モイスト美容液マスク(キメ透明感)(クラシエホームプロダクツ) クリアターン ホワイト マスク (ヒアルロン酸)
14位 プレミアムプレサ ゴールデンジュレマスク ヒアルロン酸(ウテナ) スパトリートメント ストレッチアイシート
15 マナラホットクレンジングゲル

(ランクアップ)

QPRRY BUクリーム
16 フリープラス マイルドソープa

(カネボウ化粧品)

ニベア クリーム チューブ50g
17 プレミアムプレサ ビューティーマスク コラーゲン(ウテナ) ギャツビー フェイシャルウォッシュ
18 ギャツビー フェイシャルウォッシュ

(マンダム)

B.A ローション
19 パーフェクトリキッドn(資生堂) 肌美精 大人のニキビ対策
20位 B.A ローション(ポーラ) 肌ラボ 白滴 美白の一滴

TOP10が3万件越え。「高級に限らない」商材選び

では、その上位20商品のクチコミ件数を見てみましょう。

前述のように2018年「スキンケア・基礎化粧品」セグメントには、計60万6,811件のクチコミが集まりました。TOP20のうち、10位までの商品がそれぞれ3万件ずつクチコミを獲得しています。

【グラフ】  2018年「スキンケア」TOP20商品のクチコミ件数

クチコミ件数の増加率をみると、最も増加率が伸びたのは6位『無印良品 乳液・敏感肌用』で、次いで7位『ニベア クリーム チューブ50g』、17位『プレミアムプレサ ビューティーマスク コラーゲン』となりました。

2017年圏外だった商品が高い伸び率となるのは自然なことで、新しくランクインした6商品はすべて増加率トップ10内にはいっています。そのため、2017年から引き続きランクインしている『ニベア クリーム チューブ50g』が伸び率37%をたたき出すなど健闘しているのが気になります。

同商品、その価格は数百円と決して「高級商材」ではありませんが、訪日観光客やソーシャルバイヤーがこぞって購入している商品。

もともと日本のテレビ番組や女性誌などで「フランスの高級クリームとほぼ同成分」と報道されたり、一般のスキンケア商品との併用で美肌・保湿効果があるなどの紹介がされたことから、日本での人気が急上昇。それが中国でも紹介され人気が高まりました。

クチコミを見てみると、その高い保湿力や塗った時の心地よさなど、いずれも高評価。そして何より高い機能性に比して、そのリーズナブルな価格。

日本人以上に費用対効果を求める中国消費者にとってはうれしい限りで、「もう高級保湿化粧品なんていらないじゃん!」といったような書き込みも見られました。さらに春節という肌の乾燥が気になるシーズンであることも、日本での買い物リストにランクインしている理由でしょう。

 

一方、増加率がマイナスに転じたのは2商品ありましたが、そのうち14位『プレミアムプレサ ゴールデンジュレマスク ヒアルロン酸』はわずか-1.8%と微減だったことに加え、同じシリーズの別の商品(17位)がトップ3の伸び率で躍進していることを鑑みると、ユーザーがこちらの商品に流れたのかな、と推察できます。

前年2位にランクインしていた9位『薬用スキンコンディショナー エッセンシャル』は約10%のマイナスで、クチコミ件数自体は前年から約3,000件減少したため、増加率ワーストに転落しました。

【グラフ】 2018年「スキンケア」TOP20商品のクチコミ件数増加率

こうしたスキンケア人気から見える、中国女性の「お肌」事情

このように人気のスキンケア商品ですが、2つのキーワードに要約されます。

それは「保湿」と「美白」。

中国トレンドExpressが2018年3月に行った「女性のお悩み特集」におけるお化粧の悩みにおいても、この2つがキーワード上位に登場しています。

【グラフ】中国のメイクに関するお悩み

中国では気候やエアコンの利用方法などによって「乾燥肌」に悩む、もしくは「乾燥していると感じる」女性が多いことから、保湿というキーワードに注目する傾向が強くあります。

実際に今回のレポートでもTOP10の大部分が「潤い」、「保湿」で有名になった商品であり、そこからも中国の女性の「肌の乾燥」への思いが感じ取れます。

 

では、もう一つの悩み「美白」はどうでしょうか?中国では経済的豊かさとともに成功女性のステイタスとなっている「白い肌」ですが、もちろんニーズが高く、11位の「ホワイトラベル 贅沢プラセンタのもっちり白肌パック(ミックコスモ)」が2年続けてのTOP20入りとなっています。

しかし、保湿系商品に比べ若干順位が下がっています。そこには中国女性の「保湿を解決→美白」という肌解決のプロセスが見えるような気がします。

こうした構図は今後も継続されていくでしょう。

次回はヘアケア、オーラルケアの2018年クチコミ振り返りをお伝えします。