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【訪日中国人】日本観光では、美味しくヘルシーな精進料理に舌鼓!―「食べた」ランキングから

トレンドExpressが毎週行っている中国ソーシャルメディアにおける日本関連書き込み総件数ランキング。その中から「行った」、「食べた」、「○○したい」などインバウンドに関連したランキングをピックアップし、注目のキーワードを分析します。

今回は2018年11月21日〜11月27日「食べた」ランキングから、日本で注目されている中国発祥の食文化について分析してみたいと思います。

まずランキングトップ10はこちら。

2018年11月21日〜11月27日「食べた」ランキング

今週の中国人気訪日クチコミ:「精進料理」

今回注目するのは、数ある人気日本料理と肩を並べてランキング入りしている「精進料理」です。

野菜をメインにし、肉や魚はつかっていない精進料理。ヘルシー志向とともに、日本でも精進料理が以前よりは身近になってきています。

もともと中国から入ってきた精進料理ですが、日本独自のアレンジが加わり発展してきました。中国とは異なる、日本の精進料理が人気となっているのにはどんな理由があるのでしょうか。

実はルーツは中国。日本で独自の進化を

日本と中国の精進料理では、異なる点がいくつかあります。日本の精進料理は仏教と共に中国から伝わりましたが、中国の精進料理はインドからの仏教伝来以前からあったといわれています。

また、日本の精進料理は、仏教の信仰からきていることから、殺生を禁じる仏教の教えに基づき、肉や魚を食べないという、仏道修行に励むための質素な料理のことを指すのが一般的です。

一方、中国の精進料理は、「素菜」「素食」と呼ばれる物で、仏教伝来よりも約1000年以上昔、「殷」の時代からあったと言われていました。

祭祀などで、決められた期間は肉食をしないという習慣があったことがその始まりだと考えられています。その後仏教が伝わると、精進料理が広く受け入れられるようになりました。

古くから発達し日本料理に影響を与えた料理

精進料理は日本でも古くから発達し、日本料理に影響を与えています。

例えば、すり鉢を使う、野菜を煮しめる等の調理法は、実は精進料理からきています。

現代の日本では和食の一ジャンルとして捉えることが多く、仏教的な意味は少なくなっています。寺院や料亭等で食べることはできますが、まだまだ限られています。

そのため日本ではちょっと敷居が高い料理ですが、中国では精進料理を気軽に楽しむことができるお店がたくさんあります。

中国でも身近な精進料理を日本で

中国での精進料理は、仏教徒が日常的に食べる物と、一般の人が健康維持などを目的に一時的に食べる物とがあります。

日本と比べると、中国では精進料理が身近な料理として楽しまれており、「寺観素菜」「宮廷素菜」「市肆素菜」「民間素菜」の4種類に分けることができます。

使われる食材は、日本と同様に野菜やキノコ、豆腐、麩、そして中国独自の物としては緑豆や念珠藻などがあり、調理法は煮物や蒸し物、揚げ物、炒め物が多いようです。

中国でも観光客が精進料理を体験できる寺院があり、気軽に食べられる麺類から予約が必要な手の込んだ宴会料理まで、様々な精進料理を味わうことができるのです。

ならば日本の精進料理を食べなくては、という気持ちになるのでしょうか、普段から食べ親しんでいる精進料理だからこそ、訪日の際にもいただきたくなるのです。

しかも訪日時には、寺院を訪れることが多く、近隣にある精進料理の看板を目にすることができます。

どんな料理が人気に?中国人に人気精進メニュー

精進料理の中でも人気のメニューは、「ごま豆腐」「野菜の天ぷら」「がんもどき」などがあげられます。

豆腐自体は大豆を主原料とする精進料理の食材として人気ですが、ごま豆腐は、大豆の代わりに原料にごまを使っています。そのまま冷やして、タレをかけて食べるのが一般的です。

野菜の天ぷらは、食材に衣をつけ、油で揚げた料理ですが、卵を使っていないため、揚げ方に工夫が必要になっています。

がんもどきは、肉が食べられない僧侶たちが、肉の食べ応えに似た料理を考えたのが始まりと言われています。豆腐をつぶし、人参やひじきとともに練って油で揚げた料理です。

 

精進料理は、動物性の食材を一切使っていないため、ベジタリアンやムスリムなど、肉食を限定している人にもオススメです。

また、紅葉の時期など、数多くの中国人観光客が寺院を訪れますが、美しい景色とともにゆっくり食事を楽しむことができるのも人気のようです。何より、そのしっかりとした味わい、旨味に共感できるからこそ、日本でも精進料理が食べたくなるのです。