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【訪日中国人】中国観光客のお花見ニーズをクチコミ分析!~今年も起こるか「爆花見」~

日本でも桜の開花予想が行われ、春の近づきを感じさせてくれます。間もなくやって来るお花見シーズン、心躍るのは日本人だけではありません。日本の桜の開花を中国消費者たちも心待ちにしています。

中国の消費者は日本のお花見にどのような計画を練っているのでしょうか?中国トレンドExpressでは、中国消費者の「お花見」ニーズを探るため、クチコミ調査を展開。その結果を収集してみると、非常に興味深い結果が見えてきました。

■調査内容
2017年と2018年の2年分の以下のキーワードによる書き込みを収集し、分析。

  • 花見
  • 花見×行きたい
  • 花見×日本×どこ
  • 花見×いつ
  • 花見×日本×いくら
  • 花見×攻略
  • 花見×注意
  • 「お花見×日本」のポジネガ

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急増する「お花見」クチコミ。最も多いのは?

2018年は日本のメディアから「爆花見」などとも評された中国人訪日観光客によるお花見ニーズ。実際どの程度もりあがったのでしょうか?

中国消費者のお花見ニーズを把握するために、まずは2017年と2018年の「お花見」のクチコミ件数を見ていきましょう。

 

【グラフ】2017年と2018年「お花見」キーワードクチコミ件数

結果を見ると、2018年は2017年の2倍以上の伸びを見せています。

この年、中国だけではなく、世界各地の観光客が日本の桜を楽しみに日本を訪れました。その結果、特に東京都内の桜の名所は大賑わいを見せ、桜を見るための列の最後尾には、日本語だけではなく、英語、韓国語、そして中国語による「最後尾」プラカードを掲げている姿がWeibo上に見えました。ただし、その中国語訳があまりにも面白かった、という一面もありましたが…。

いずれにせよ、中国消費者の「日本でのお花見」への関心の高さがうかがい知れます。

 

さて、この「お花見」クチコミ。この両年を月ごとに見てみると、やや不思議なことが見えてきます。その推移を見てみましょう。

 

【グラフ】2017年と2018年のお花見クチコミ月ごとの推移

月ごとの流れを見ると、すべての月において2017年を大きく上回っていました。

さらに、「お花見」という春の風物詩ではあるにもかかわらず、1年を通じてクチコミが見られます。特に真冬である11月、12月ともに多くのクチコミがなされています。

時期にもよりますが、お花見シーズンが過ぎた後は「次はお花見に行きたい」というクチコミ、そしてお花見シーズン前には「今年の開花はいつ?」といった情報を求める書き込みが増加します。

 

特に注目なのが、3月~5月。

2017年を見ると見ごろ~満開を迎える4月が最も多くなっており、5月には一気に1/4程度まで減少しています。しかし、2018年に「お花見」クチコミのピークはなんと5月。日本の大部分では花も散り、若葉の季節となっている頃にお花見に関するクチコミが最多となっているのです。

 

その理由と考えられるのは、中国人観光客が訪れているスポットです。

2017年の3月4月にお花見クチコミが多いのは、その時期に見ごろを迎えるエリアに足を運んでいるから。

ということは、5月にクチコミが最多になったのは、5月にお花見を楽しむエリアへの訪問が増えたと考えるのが自然でしょう。

日本で4月末~5月にお花見が楽しめるエリアと言えば…。

すでに予想はできるかと思いますが、中国人観光客が訪れるお花見スポット、そしてその心理や背景については次回、詳しく分析していきます。

中国人お花見インバウンド費用にも一定の変化が

気になる中国人観光客スポット分析の前に、もう一つ気になるのが「懐具合」です。今回の調査では2017年と2018年の「お花見訪日観光予算」についても調査しました。

その結果は以下の通り。

 

【グラフ】2017年と2018年の訪日「お花見」旅行の予算

こちらを見てみると、2017年にはお花見シーズンの訪日観光では「5,000元以下」という、比較的出費を抑えた旅行が主流でした。

当時、このシーズンは団体旅行も多く、比較的リーズナブルながら、せわしない旅行が多かったという背景があります。

しかし2018年になると、前年のボリュームゾーンであった「5,000元以下」は一気に半分程度まで縮小。「5,000~7,000元」が半数に迫る勢いを見せています。さらには2017年には無かった「15,001元以上」という消費者も少数派ながら数値となって表れてきています。

おそらくは「多少多めの出費でもツアーではなく、自由な旅を」という消費者が増えているというのもありますが、同時に「より豪華な旅を求めている!」などと単純に楽観視できない背景がうかがい知れます。

中国側の報道を見ると、2016年、2017年と中国から日本へのお花見観光が激増している報道が見られ、2016年ではその影響で日本国内の宿泊料が高騰している旨、日本のメディア報道を引用する形で伝えられています。

そこから考えるに、お花見シーズンの観光コストが上昇していることが背景にあると思われます。またある上海在住の80後ホワイトカラー(女性)にも話を聞いたところ、「日本へのお花見シーズンは東京も京都も予約が取れなくて…」といった言葉が返ってきました。

人気であるがゆえに、ホテル不足や宿泊費の高騰を招いてしまっているという、日本のインバウンドの課題が、ここでも見えてきます。

 

中国でもお花見シーズンの日本の宿泊費高騰や訪日旅行者の急増を報じている

桜は日本のシンボルでもあり、海外の人にとっても「桜を見る=日本に行った」という満足感を得られるもととなっています。

そのお花見を気軽に楽しんでもらうための施策が必要なのかもしれません。

 

次回は前述の「中国人観光客の行くお花見スポット」について分析していきたいと思います。