変わりゆく中国市場で勝つためのマーケティングとは?前編 ~まずは2018年を振り返ろう~
相変わらず変化の速度を緩める様子が見えない中国市場。プレーヤー、消費者、市場環境、すべてが急速に変わり続けています。同時に、そうした中国市場に対するプロモーション、ターゲットもその都度調整が必要。ではどのような調整が必要なのでしょうか?
そんな中国市場を把握するために、トレンドExpress社では、2月21日に「2019年を大予測!中国マーケティングの潮流とこれから」と題するセミナーを開催。
今回はその前半部分、2018年の市場環境を振り返ってみましょう。
約8億人の市場。モバイル化がカギに
2018年時点で、中国のインターネット人口は8億人を突破しました。2019年には9億人に到達する見込みです。この中でも、モバイル普及率は98.3%と、モバイルファーストが続伸しています。昨年のW11でも、購入者の90%以上がモバイルからの購入でした。
つまり中国市場向けにインターネットコンテンツを発信する際は、モバイルでどう見えるか?を重視するべきです。ECサイトの旗艦店、動画サイト、企業HPなども、中国=モバイル優先、という認識でいて間違いはないでしょう。
また日本にも言えることですが、ネットユーザーが成熟し、年齢層が拡大しています。いわゆるデジタルネイティブ世代も30代に入り、更に上の世代もネットに慣れてきました。今後、より成熟したコンテンツが必要になっていくことが予測され、インターネットは既にインフラの一種となっています。
アプリでは、日本でも最近流行の『TikTok』や、韓国のアバターアプリ『zepeto』が中国の若者の間で流行し始めたように、新興サービスが台頭して急成長を遂げています。
中国はスピード変化が非常に速いと言われていますが、このように急に出てくる新興サービスも、すぐに類似のサービスが次々に現れ、最終的には寡占化されます。シェアバイクや決済アプリも最終的には2~3企業が圧倒的シェアを誇るようになりました。
新興サービスの出現と寡占化が同時に進むのも、中国ビジネスの特徴と言えるでしょう。
EC市場はセールだけではなく、長期のブランディングが重要
昨年のW11は、天猫の売上が3.5兆円、昨年比127%の成長でした。また、2位の京東も2.6兆円と、2強だけで6兆円を超えるなど、過去最高額になりました。
W11をはじめとした商戦期というのは、「今まで欲しかった商品が、安くなっているから買おう」と消費者に思われるセール期間です。つまり、セール期に安売りだけしても効果は期待できず、事前のブランディングが重要だ、ということはすでにお伝えしてきた通りです。
2018年のEC商戦期の特徴としては、オフラインでの販促イベントなどニューリテール施策の拡大が挙げられます。EC市場は成熟していくにつれその成長率が鈍化しますが、実店舗をすぐに持てるわけでもありません。
そこで2018年に流行したのが、期間限定のポップアップストアです。短期的に特設施設を作り、イベントを催しながら販売を行ない、その様子をインターネットで投稿し拡散していく。そういったPR施策が多く実施されました。
まとめると、2018年の中国市場の動向で注目すべきは
- モバイルインターネットを中心に成長を続ける市場
- 急台頭する新興サービス
- ニューリテール(オン・オフライン融合)の加速
といった3点になります。
それでは、2019年度はどのように変わっていくでしょうか。次回は2019年の予想をレポートします。