【中国SNS】今さら聞けない『RED(小紅書)』とは?
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クチコミ大国、SNS大国・中国。その中国でのマーケティングにおいて、「中国SNSの活用」という命題から逃れることはできません。
しかし、「中国SNSは勝手が違って…」という方、さらに「日本でだってSNSなんて使っていないのに…」、けれども「いまさら人には聞きづらい…」という方もまだまだ多いのもまた事実。そこで、そんな方々のため、中国トレンドExpressが中国で利用されているSNSについて基礎からレクチャーいたします。
今回は、「中国のInstagram」として若い女性ユーザーから圧倒的支持を誇る『RED(小紅書)』についての基礎情報をお伝えいたします!
『RED(小紅書)』とは?
『RED』は、2013年に創立した、動画や写真、つぶやきなどを共有できる若者向けプラットフォームです。
2019年1月現在、ユーザー数は2億人を超え、その中でも90後、95後と呼ばれる、20代の若者が圧倒的多数を占めています。
毎日数十億にも上る投稿がされ、流行スタイル、スキンケアや化粧品、映画、グルメ情報等、生活に関わる多くの情報をユーザーの投稿から得ることが出来ます。
ホーム画面の形式が『Instagram』と似ていること、動画や画像のシェアが圧倒的多数ということから、「中国のInstagram」との呼び声高い『RED』。
しかし、『Instagram』との一番の違いは、投稿にリンクを貼ることができ、そこから商品の購入が可能であるなど、ECサイトとしての役割を担っていることです。
それでは実際、ユーザーはどのようにこの『RED』を利用しているのでしょうか。
『RED』の使われ方とは?
TOPページ
TOPページは画像が2列に分かれて掲載され、スクロールに伴ってたくさんの投稿が、最初に登録した本人の興味関心のジャンルに沿って流れていきます。
画面一番上のタブ、「関注」でフォローしている友達やKOLの投稿を、「発現」で登録した興味関心分野の注目投稿を、「附近」で現在地付近のユーザーの投稿を、それぞれタイムラインとして閲覧できます。また、検索窓の下に並んだタブはジャンルごとに区分されており、興味ある商品や情報のタグをタップするだけで、それについて口コミなどの投稿が見られるのです。
タイムライン
『RED』のタイムラインでは、投稿のことを「ノート」と呼びます。これらのノートで、ユーザーは新商品の情報や自身の体験、お気に入りのお店などをシェアすることが出来ます。
投稿されたノートに対して、他のユーザーは3つのリアクション、すなわち「賛(いいね)」、「評論(コメント)」、「収蔵(お気に入りに追加)」が可能です。面白いことに「転発(リツイート)」機能がなく、友人に他人の投稿をシェアしたい場合はアプリ内でメッセージとして送るか、『WeChat(微信)』や『Weibo(微博)』のモーメンツへの転載をすることになります。
自分の投稿に「いいね!」が付いたり、コメントがもらえることは純粋に嬉しいもので、また、新商品を買ったことを自慢したい、という欲求もあり、ユーザーは商品やお店などの話題について、積極的に口コミを投稿します。
EC機能
もうひとつ、「中国のInstagram」と呼ばれてはいるものの、『RED』はECアプリとしての側面も色濃く出ています。
ノートに投稿した商品について、親切なユーザーはリンクを貼っていることがあります。(また、リンクがない投稿でも、「どこで買えますか?」「リンクを貼ってください」などのコメントが殺到し、追記することがあります。)口コミを見て興味を持ったり、欲しいと感じた場合はそこから商品ページへ飛び、オンライン決済で購入することが可能です。
画面下のタブでは、トップページタブの右隣に「商城」とあり、ここでは『RED』独自のオンラインショッピングサイトが展開されています。中国国内に保税倉庫も持つ『RED』は、BtoCとしても機能し、この点において『Instagram』とは一線を画します。また、この商城での売上も、1位2位の天猫、京東には及ばないものの、他のECサイトと同等に闘えるほどの売上を有しています。
プロモーションとしての使い方
『RED』は、明確に欲しいものがなくても、漫然とユーザーの投稿を見ている中で気に入った商品を見つけやすい、というUI設計がなされています。つまり、ユーザーに購買意欲が明確でない中で購買意欲を促進させ、実際の購入に至らせる、ということが、ひとつのアプリ内で完結します。
この中で、プロモーションとしては、『Weibo(微博)』のように企業のプロモーション投稿を拡散させるのではなく、その商品についての「ノートを増やす」ことが重要です。前述の通り転発(リツイート)機能がない『RED』では、それが盛り上がっている内容かどうか、はノート数で決まります。
ノートがたくさんついている商品は信頼性が高く、また企業からの宣伝よりも知り合いのフォロワーや好きなKOLのおすすめの方が、ユーザーにとっては信用できる情報だからです。
「欲しいモノを探す」のではなく、「眺めている内に欲しいモノが見つかる」仕様の『RED』では、いかに多くの一般ユーザーにコメント、ノートを書いて投稿してもらえるか?が勝負となるのです。
多くのノートが付いているから自然と目立ち、投稿が目に入るようになり、購買意欲を促進されて、購入に至る。そのように、ユーザーからすれば「思わず買っていた」となる導線をいかに引けるか、が『RED』での戦い方と言えるでしょう。