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【訪日観光客】2019年Q1で最も行かれた、そして人気の訪日目的は?

トレンドViewerのクチコミデータから2019年1~3月の中国消費者ニーズを分析している中国トレンドExpress。今回は過熱止まらない中国からのインバウンドニーズを分析します。日本政府観光局(JNTO)が発表したように、訪日外国人は1月~4月ですでに1000万人を突破、中でも中国人訪日観光客の全体の3割弱、289万5400人となり、昨年比10%の増加。今後も中国人観光客がインバウンド需要をけん引することが予想されています。

そのために、3か月間のニーズをきちんと振り返っておきましょう。


1年で人気観光地も大きな変化。

まずは、中国人観光客がSNS上で「行った」とつぶやいたスポットのTOP20を見てみましょう。1年前と比べると、下のような結果となりました。

【表】2019年1月~3月と2018年同時期の「行った」ランキングTOP20

  2019年Q1 2018年Q1
1 沖縄 沖縄
2 由布院 札幌
3 ドン・キホーテ 清水寺
4 札幌 大阪城
5 別府温泉 築地魚市場
6 明治神宮 渋谷
7 SUNTORY山崎蒸溜所 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
8 鹿苑寺金閣 奈良公園
9 歌舞伎町一番街 明治神宮
10 奈良公園 東京タワー
11 池袋 京都三条
12 築地魚市場 伊勢丹新宿
13 忍野村 別府温泉
14 那須 富士山
15 京都駅JR伊勢丹 鹿苑寺金閣
16 慈照寺銀閣 勝浦市
17 清水寺 通天閣
18 富士山 由布院
19 あべのハルカス 立川
20 宇佐神宮 難波神社

不動の1位はやはり「沖縄」。

中国にも海南島というビーチリゾートがありますが、沖縄はまた別格のようで、海だけでなくスキューバダイビングなどのマリンスポーツ、さらには孤島体験などのアミューズメントを楽しんでいる様子。

さらに沖縄に入ることで「訪日5年間ビザ」が取得できるというのも大きなポイントとなっており、沖縄を訪れている人は増加中のようです。

ただ、クチコミ件数を見ると2019年Q1は2018年Q1に比べて若干の減少が見られます。

 

【グラフ】2019年1月~3月と2018年同時期の「沖縄」クチコミ件数の対比

一つには沖縄が気軽に行けるスポット化することで、取り立ててクチコミをする必要がなくなったこと、もう一つは訪日観光目的地の分散化が始まっていることが上げられるように思います。

 

注目はまずショッピングスポットでTOP3の一角を占めた「ドン・キホーテ」。

これまで

  • 2008年に旅行客の要望を受けて銀聯カードを導入
  • 全店での免税対応
  • 多言語のHPや店舗POP
  • 訪日外国人客専用コールセンター設置
  • 無料Wi-Fi

と中国人ニーズに応えてきましたが、訪日客の時間帯別売上高のピークが夜の10時台に集中していることから、夕食後の時間を使ってマップ片手に街を散策し、24時間営業のドン・キホーテに入るというのが、ナイトクルーズのひとつとして定着し始めているからのように考えられます。

しかも、海外にいるにもかかわらず、店内には中国語を話せるスタッフが働いていたり、中国語のPOPが付いていたりと至れり尽くせりな点も、中国人観光客の心を捉えている理由のひとつになっています。

人気のいわゆる「コト体験」は?伝統文化以外にも注目

続いて中国人観光客が「したいこと」を、「○○したい」ランキングを振り返って見てみましょう。

こちらも2019年Q1と2018年Q1を比較してみることにします。

 

【表】2019年1月~3月と2018年同時期の「○○したい」ランキングTOP20

  2019年 2018年
1 買い物したい 買い物したい
2 日本料理を食べたい 温泉に入りたい
3 温泉に入りたい 日本料理を食べたい
4 桜をみたい 雪が見たい
5 お寺に行きたい お寺に行きたい
6 握手会に参加したい 日本料理を作りたい
7 日本料理を作りたい お茶をたてたい
8 和菓子を作りたい 森林浴をしたい
9 お茶をたてたい お城に住みたい
10 人力車に乗りたい 桜を見たい
11 紙漉きをしたい エステに行きたい
12 舞妓さんになりたい 鹿を見たい
13 美容院に行きたい 着物を着たい
14 森林浴をしたい 新幹線に乗りたい
15 お城に住みたい 富士山に登りたい
16 スキューバーダイビングをしたい 紙漉きをしたい
17 富士山に登りたい 和菓子を作りたい
18 鹿を見たい 人力車に乗りたい
19 日本の伝統家屋に泊まりたい 渓流釣りをしたい
20 オートバイを運転したい 博物館周りをしたい

こうしてみると1位は依然として「買い物したい」。

実は中国の消費者にとって「日本で買い物をする」というのは立派な「コト消費」。日本ならではの商品を手に取ったり、店員さんのアドバイス、接客を受けたりする環境で買い物をすること。それが一種のステイタスになっているのです。


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また、春節シーズンに多くのメディアも中国トレンドExpressのデータを活用し、中国消費者の分析を行っていましたが「握手会に行きたい」、「美容院に行きたい」、「オートバイを運転したい」など様々なニーズが登場しています。

ただよく見ると、「日本食を食べたい」や「和菓子・日本料理を作りたい」といった、純日本的な伝統文化を体験したいというニーズはもちろん高いのですが、社会の違いによって「日本ではありふれたことでも、中国では体験できないような日常」というのもあり、そちらへの人気が高まっていることが見られます。

 

例えば20位の「オートバイを運転したい」。

世界最大の自動車社会と言われる中国ですが、実はオートバイの比率は高くなく、ツーリングを趣味とする人も日本に比べて少ないのです。

ただ、現在は車での旅行が徐々に人気になっている中、「趣味として」のバイクニーズも増えるのではないかと予想されます。

 

こうしたニーズを知るためには中国の社会、生活習慣、生活環境を知ることが必要不可欠です。インバウンドとはいっても、国内で待つのではなく、まずは相手国に赴き、その国の体験などを見る事が必要なのかもしれません。