「中国の展示会って何するの?」、「ライブでしょう!」 イマドキの中国化粧品の展示会事情
大盛況で終わった中国国際美容博覧会、通称CBE(China Beauty Expo)。その会場に密着していた中国トレンドExpressですが、会場を巡りながら気が付いたことがありました。
今回は、そんな今回のCBEで見かけた姿から、これからの中国展示会の活用方法、そしてブランディングパートナーの選び方などについても考えていきたいと思います。
巨大展示会での人気ぶりと商品魅力を同時「配信」
広大なスペースに並んだ27の展示館と50の特別展示館が並び、40か国、3500余りの化粧品業界の企業が1万ものブランドを展示しました。
3日間の会期中、来場者は52.13万人(同一人物でも日を変えて再来場した場合は2人とカウント)と、中国国際美容博覧会の記録を更新したことが主催者の速報として発表されました。
さて、そんな中国の展示会に出展といえば、やることと言えば…?
昔気質の中国事業の先達たちは「そりゃ決まってるだろ、代理商集めて、名刺貰って、商談して…」。
そう、そうでした。一昔前の中国の展示会。その目的と言えば、現地の有力代理店を探して販路展開していくことでした。
確かにその部分、今でも存在はしています。しかしこのCBEのようなCtoC商材の展示会では、同時にやらなくてはいけない重要な要素があります。
それは「Live」。
CBEの現場を歩いていると、そこかしこ、特に有力企業のブース前で、スマホを手にした美女の姿が見受けられます。
彼女たちはもちろん「KOL」。
その発信力で中国の消費者からの信頼を得ているインフルエンサーたちです。そして彼女が行っているのが「直播」、すなわち「ライブ配信」。
このCBEは、単に企業が展示ブースを出し、代理商などを呼び込むだけの場ではなく、出展を一つのコンテンツとして、KOLを通じたリアルタイム配信によって消費者を引き付ける、ライブ動画配信現場なのです。
実は今年のCBE、このSNS・コンテンツマーケティング・KOL市場の拡大を見て、「Taobao Live」と「Super Mom College(辡媽学院)」のライブ、動画サイトと提携。200人のブランドと有名KOLをマッチング。期間中を通じてのライブ配信を行いました。
その結果、CBEにおいては「2億人に情報を発信できた」と発表しています。
これだけ大規模な展示会×ライブ配信と言うのは中国国内でもあまり例がないとのこと。
しかし、展示会のライブ化配信は主催者側によるものだけではありません。
出展ブランドも各々、自社のブースからのライブ配信を企画・展開。ある中国でも人気の日本企業はブース内にライブスペースを設営し、日本の社長も登場してライブ配信。同時に商品前でもKOLがスマホスタンドを設置し、ライブを行っていました。
こうしたライブ動画は、一つには展示会と発表と同タイミングで、より効果的に新商品の魅力を伝え、消費者の商品理解を深める効果があります。
同時に、動画配信と自社の販売チャネルをつなげることで、購買へとつなげることが可能。その展示会に合わせてのキャンペーンを展開し、事前に告知を行っていけば、なお効果的でしょう。
中国コスメプロモーションでも「メンズ化」?
さて、もう一つ、近年の中国コスメ市場で変わりつつあるのが、イメージキャラクターの起用です。
化粧品のイメージキャラクターと言えば、まず有名女優さん。その意外にもTOPモデルなど、基本的に女性が起用されますが、今年のCBEを見ていると、男性をイメージキャラクターに起用したブースです。
その男性も様々で、日本ではいわゆる「ジャニーズ系」とも思われる美少年、中国でも有名なテレビ番組の司会者、さらには一見すると「あれ?」と思う意外な男性KOLがライブを行っていたりと、男性の姿が多く見えました。
中国で人気の男性KOLと言えば「李佳琦(Austin)」。Taobao Liveでは100万人ものフォロワーを持ち、ライブコマースでも1日に6万個を売り上げたという記録を持つ、カリスマイケメンKOLです。
彼の登場以来、中国でも「女性向け化粧品のプロモーションに男性を起用する」という動きが進んでいる様子。
今後のコスメ市場では、女性の人気を勝ち得る男性たちが活躍しそうです。