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中国女性のホンネVol.7~貿易会社勤務の劉さんの場合・前編

Text・Photo:配島亜希子

吉林省出身の劉麗さん(36歳)は地元で高校を卒業すると同時に、語学留学のために日本へと渡りました。

そのまま日本で就職し、結婚・出産を経て、28歳の時に上海へ。現在は上海人のご主人と10歳の息子との3人暮らし。

貿易会社に勤める傍ら、副業を2つ抱え、仕事に育児に忙しい日々を送っています。田舎町の商売人の家で育った彼女が日本へ留学することになったきっかけは何だったのでしょう? 日本と上海、彼女のライフスタイルに違いはあるのでしょうか?


今回の取材対象者のプロフィール

氏名: 劉麗

年齢: 36歳

出身地: 吉林省

婚姻状況: 既婚、子供1人(10歳)

月収: 月収1.4万元(約23万円)

勤務先: 貿易会社

部署/職位/勤務年数: 銷售、勤続1年

学歴: 敬愛大学(日本)卒業、トラベル&ホテル専門学校(日本)卒業

家族構成: 配偶者、子供、本人の3人

生活状況: 持ち家(浦東新区)に配偶者と子供と3人で暮らす

趣味: ショッピング、ジム

正社員として働く傍ら、夜や休日を利用して副業を掛け持ち

「特別な趣味はありませんし、ライフスタイルと言えるようなこだわりもありません」という劉さん。日中は正社員として、小規模な服飾関連の貿易会社でOEM工場とのやり取りをしています。そして、終業後や休日を利用し、2つの副業を行っています。

ひとつは日系貿易会社の倉庫管理で、日本から輸入した日用消費財や生活雑貨などの在庫管理と発送をしています。

もうひとつは友人のネットショップのサポートで、ショップオーナーの要望に沿った商品を探し、その仕入れを手伝っています。

 

日本でも副業を許可する企業は増えていますが、中国では副業を禁止する就業規則は特になく、副業する人も珍しくはありません。

彼女の服飾貿易会社の月給は8000元(約12万8000円)と、上海では平均的な所得です。

それに加え、副業の倉庫管理が月3000元(約4万8000円)、ネットショップが月3000元(約4万8000円)と、月々の総収入は1.4万元(約23万円)ほど。

ただ、副業は短期だったり、いつ無くなるか分からないので固定収入にはならないとのこと。

化粧を覚えたのは日本、その頃から愛用している「資生堂」ブランドへのこだわり

「こだわりはない」と話す劉さんですが、化粧品に対してはなかなかのこだわりよう。

18歳で日本に渡った彼女が化粧を覚え始めたのは日本でした。そのためか、スキンケアなどの基礎化粧品は日本のブランドの方が肌に合うとのこと。

朝晩・夏冬で、アイテムやブランドを使い分け、例えば、朝に比べ夜は保湿やアンチエイジング効果の高いラグジュアリーブランドを使い、夏はUV対策と日焼け後のケア、冬は乾燥やリンクルケアに強いアイテムを使うというように、用途別に揃えています。

 

「日本の化粧品は全体的に品質の水準が高いから、どのブランドでも信用できます」と、「コーセー」や「カネボウ」など色々試し、今は「資生堂」ブランドがお気に入り。

化粧水・乳液は「エリクシール(ELIXIR)」、化粧下地やファンデーション、フェイスカラーパウダーは「CPB(クレ・ド・ポー ボーテ)」、日焼け止めは「アネッサ(ANESSA)」を愛用。

海外ブランドも「ランコム(LANCOME)」、「ディオール(Dior)」、「ジバンシー(GIVENCHY)」、「シャネル(CHANEL)」など、様々なブランドを用途別に使用しています。

 

日本で接客業をしていたこともあり、メイクには常に気を使っているとのこと。

「中国の女性は会議など人前に出る時はカラーメイクをしますが、普段はあまりしませんね。日本ではみな“しっかりメイク”をしていたので、私もその習慣が身についています」とは言うものの、“しっかり”すぎるとこちらでは浮いてしまうような気がするからと、ナチュラル目に押さえているそう。

化粧品への出費は月3万円以上、「T-Mall」と「ソーシャルバイヤー」で購入

劉さんが化粧品にかける費用は毎月2000元(約3万2000円)程度。ちなみに日本のアラサー女性は平均5000円程度なので、かなりの金額をかけていると言えます。

30歳を過ぎた頃からアンチエイジングやリフトアップ、保湿などにお金をかけるようになった一方、子供が生まれてからは忙しくてメイクする時間は減ったそうです。

年齢に伴い、スキンケアアイテムは増え、メイクアイテムは減ってきたということです。

 

日本や海外のブランドを愛用する彼女の化粧品の購入先は「T-Mall(天猫)」のブランドショップ。加えて「代購(ソーシャルバイヤー)」を利用することも。どこで買うにしろ、初めてのブランドやアイテムを購入する際には、ネットで成分を確認したり、「Taobao(淘宝)」や「JD.com(京東)」など別のECサイトの口コミやレビューをチェックするそうです。

ビジネスに繋がる流行りを見るなら「ソーシャルバイヤー」

劉さんの情報収集源は「Taobao(淘宝)」や「T-Mall(天猫)」がメイン。自分の趣味嗜好や子供の教育に関する情報よりも、副業のネットショップのための調査が多いようです。

「今何が流行っているかなどはWeChat(微信)の代購(ソーシャルバイヤー)の発信する情報を参考にしますね」とのこと。

ソーシャルバイヤーのようなビジネスの嗅覚があるような人々がリアルタイムでSNSにアップする情報は、最新トレンドかもしれません。

 

多くの中国人が利用するアプリをご多分に漏れず使っている彼女。

ショッピングなら「Taobao(淘宝)」や「「T-Mall(天猫)」、「JD.com(京東)」、食料品ならアリババの生鮮スーパー「HumaFresh(盒馬新鮮)」、デリバリーなら「ウーラマ(餓了麽)」、タクシーを呼ぶなら「(DiDi(滴滴出行)」など、王道アプリを利用しています。

 

王道といえば、近年急成長したショート動画アプリ「Tik Tok(抖音/ドウイン)」や女性ユーザーの絶大的支持を得るモバイルECアプリ「小紅書(RED)」はどうでしょう?

 

「若い子はよく見ていますが、私は好きじゃありません」と言います。「『小紅書(RED)』は化粧品の使用法などを調べる際に利用しますが、購入はしません。ユーザー数が多いから知りたい情報を見つけやすいんです。でもKOL(インフルエンサー)と呼ばれる人たちの投稿の多くは広告なので見ません。流行を知るために芸能人のアカウントは見ます」と、主に一般ユーザーの投稿を参考にしているそう。

 

日本でお化粧に触れ、今の中国で生活する劉さん。頼れる情報源も、やはりかつての自分と同じような「日本在住の」ソーシャルバイヤーとなっているようです。