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中国Z世代が求める「美しさ」とは? 若者コスメニーズを読み解く

中国消費の主力となっている中国Z世代。そのニーズはコスメ業界からも注目されている。今回はT-Mall Globalと中国のシンクタンクが共同で発表したデータを見ながら、中国Z世代のコスメニーズを俯瞰してみよう。

何が入っていて、何が入ってない?成分にこだわるスキンケア

T-Mall Globalと中国のシンクタンクであるCBN DATAが共同で調査したレポートによると、Z世代のコスメ消費の特徴として挙げられるのが肌へのこだわりである。

 

消費のデータを見るとフェイスマスク、洗顔、メイク落としといったものが、コスメ商品の中でも高頻度で購入されており、「きめ細やかな肌」希求が強い。

 

そもそも、中国はスキンケアに対してストイックなまでのこだわりを見せている。単純に「このブランドがいい」、「このアイテムがいい」といった情報だけではなく、「この商品に含まれている何が肌にいいのか」といった成分にまで言及することが小紅書や知乎といった深い情報を求めるSNS上に見える。

 

いわゆる「成分党」といわれるスキンケアこだわり派である。

これまでの注目成分としては「アミノ酸」、「ヒアルロン酸」といった日本でもよく知られている成分が人気となっていたが、近年は「網紅成分(ネットで火が付いた成分)」である「ニコチンアミド」、そして長く愛されている「コラーゲン」といったキーワードも注目度が高まっているという。

 

よく知られたアミノ酸、ヒアルロン酸、コラーゲンといった成分も新しい視点で分析し、かつ「ニコチンアミド」などの新しい人気成分も」積極的に取り入れている様子が見て取れる。

 

ただ同時に、「良いものが入っていれば安心」というわけではなさそうだ。というのも、成分に詳しくなれば、同時に一部の成分の副作用などを目にすることにもなる。

そうした時に、「何かが入っていることによって自分の肌にかえって悪影響があるのでは?」という不安を感じるケースが増える。

 

「肌に有益な成分が入っているか」という点から、「有害なものは入っていないか、肌へのダメージはないか」といった、安全性を求める(肌への悪影響が少ないものを求める)傾向が強くなっている、ということもZ世代の消費としてデータから見て取れる。

 

その安全性の代表となっているのが「天然」というキーワードである。

T-Mall Globalの調査においても45%の消費者が「天然・草本(植物由来)の化粧品が肌の悩みを解決した」と回答している。またキーワードでも「アロエ」や「ビタミンE」、「茶」などがホットワード化するなど、中国本土の漢方系化粧品の市場の高まりを感じさせる。

 

これを中国の業界などでは「Clean Beauty」の意識と呼んでいる。

世界のコスメ業界で「Clean Beauty」といえば、肌への影響ももちろんだが、生産における環境への配慮やボトルなどの再利用といった、「地球や自然に対するCleanさ」を言い、消費者に向けてPRしているが、中国で優生されるのはやはり「使う者にとってCleanであるか」という点なのである。

 

また、従来の中国消費者に比べて生活の仕方にも変化がみられるZ世代だが、その影響が肌質に及んでいる。

結果として、「短時間に肌の悩みを解決できるスキンケア商品」へのニーズが高まっている。

 

Z世代は深夜にネット消費をしていることから、夜型生活が多いと想像できる。実際にT-Mall Globalのデータでは、Z世代のネット消費者深夜0時~2時台に集中していることからも、中国語でいう「夜猫子(イエ マオズ 夜型生活を夜行性の猫に例えた言葉)」であることが容易に予想できる。

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またZ世代の初期はすでに社会に出ており、会社勤めの生活サイクルが始まっている。サイクルが乱れやすい学生時代から規則正しい社会人生活へ、変化の悩み新たな肌の悩みを短期間で解決するニーズが高まっていると予想される。