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中国市場の勝ち組企業「ピジョン」が語る ターゲティング型サンプリングから見えたリアルな“声”

【今回はトレンドExpressのサービスのご紹介です】

「使ってもらえば分かる」という日本の商品。

しかし、ただ使ってもらうだけであれば、店頭などでばら撒くことで解決はできる。しかし得なければならないのは、「使ってみてどうだったのか?」という、サンプルを利用した消費者のリアルな声である。

そうした消費者の声をターゲティング型サンプリングサービス「意中盒」を活用して収集、素早い改善を行っている企業がある。

中国市場で勝ち組として知られるピジョン株式会社の中国現地法人・贝亲管理(上海)有限公司(ピジョン上海)である。

今回はそんなピジョン上海の矢野亮総裁が登壇したトレンドエクスプレス2020年12月オンラインセミナーから、サンプリングおよびその分析から得られた中国市場開拓の知見を聞いてみよう。


中国での人気ブランドの新商品に消費者の声を

12月に行われたオンラインセミナーでスピーカーとなったのは、2010年に営業部長として上海の「贝亲管理(上海)有限公司(以下:ピジョン上海)」に赴任。

T-Mall旗艦店の立ち上げを手掛け、現在は中国区総裁・ピジョン上海董事長を務める矢野亮氏である。

矢野 亮 氏
ピジョン株式会社 上級執行役員 中国事業本部長
中国区 总裁 贝亲管理(上海)有限公司 董事长

ピジョンといえば、日本でも「中国市場における勝ち組企業」としても知られている。

新米ママ、パパたちからも「安心して赤ちゃんに使える商品」としての信頼を得ているが、その成功の背景にあるのは「顧客起点のマーケティング」を貫いていることだ。

 

新米ママの多くは分からないことばかり。そこで赤ちゃんと向かい合い、悪戦苦闘の日々を送っている。

そんな新米ママに寄り添う存在でありたいというのがピジョンであり、哺乳瓶を始めさく乳器や母乳パッドなど、数々の商品で日中の育児をサポートしてきた。

 

中国でも「顧客起点マーケティング」姿勢は変わらず、中国消費者の悩みに合わせた積極的な商品の開発投入、消費者の声を受けての改善などをスピーディに展開している。

 

そのピジョン上海が中国市場で新ブランドとして市場投入を始めたのが、赤ちゃん向けのスキンケアローション「Ssence (エスセンス)(艾纯诗)」である。

同社のベビースキンケア研究所が本気で赤ちゃんの肌を研究し開発した商品で、「ベビー保湿エッセンス」と「ベビーリペアエッセンス」の2タイプをラインナップ。完全無菌充填の生産システムにより、消費者が店頭で購入するのではなく、自社工場から直送するというモデルが特徴だ。

新たに立ち上げたハイエンドベビースキンケアブランド商品ということもあり、消費者のリアルな声を着実に改善につなげていきたいという思いから「意中盒」の活用を決断した。

考え抜いたフレーズも、消費者との微妙なすれ違い

ターゲティング型サンプリングサービス「意中盒」は1500万人の中国の消費者の中から年齢や性別、さらには嗜好などによって、日本企業の商品ターゲットに合った消費者を抽出。その消費者に向けて試供品を「ギフトボックス」という形で郵送し、使用してもらうというものだ。

さらに企業の得たい情報に合わせて細かなアンケートを設計。それを改修し、分析することによって、消費者がその使用の過程で感じたこと、違和感や改善点などを見出し、企業にフィードバックしており、消費者目線での商品の課題、マーケティングの影響力などを把握することができるのである。

 

矢野総裁は今回の「意中盒」活用でも、このアンケート分析から「社内のプロジェクトチームで時間をかけて話しあっていた内容が、“間違い”という答えになって出てきた」という。

 

前述のように新商品は「新鮮直送」という、中間に手が入らない安全性と安心度をウリと考えていた。

しかしアンケートの結果からは、「新鮮直送」というキーワードには想像していたほどの影響力はないことが分かった。

同社チーム内でも自信のあったポイントだったが「パワーワードに引っ張られてしまった」と矢野総裁も反省をしつつ、「なぜそうなったのかはこれから考えなければならない。強みのポイントをお客様に刺さる言葉、表現にできていなかったということがわかった」と、今後の課題解決への意欲を見せた。

訴求ポイントについて、どうしても「企業が打ち出したいもの」を打ち出そうとしてしまうのだが、そこと「消費者が気になるポイント」が必ずしも一致するとも限らない。

生活習慣や文化背景による価値観が異なる海外では、なおさら起こりやすい事象といえるだろう。

そうしたミスマッチも、「意中盒」を通じて消費者のリアルな声を早い段階で把握することができれば軌道修正がかけやすいのである。

「違いがわかる」までの適切な期間とは?

また「この商品は使えばその良さがわかってもらえる自信があった」(矢野総裁)と語るが、その「使ってわかるまでの期間」には同社の予想と実際の使用者の感想では差が生じていた。

 

同社は3日程度で効果が見えてくると予想。サンプリング用に2本セットの商品を用意していた。

しかし、「意中盒」が回収した利用者の意見としては「ベビーリペアエッセンスに関しては9割の使用者が1週間使うことで肌の改善を実感していた」(矢野総裁)。

つまり、2本セットのサンプリングでは足りず、7本~14本程度をセットにする必要があったのである。

 

「使い心地が良かっただけに、お客様にも効果を早期に体感いただけると思ったが、甘かった」。矢野総裁はこの点に関しても率直に受け止め、同社は得られた結果をもとに2本組のサンプルセット配架を止め、すぐに7本入りのサンプルセットを作成、配架を進めている。

 

中国の消費者は新しい商品、特に赤ん坊などより高い安全性を求める商品に関しては慎重な態度になる。

ただ使ってもらうのではく「改善を実感してもらわなくてはリピート購入にはつながらない」(矢野総裁)のである。

こうした事例にみられるように、単に「使ってもらう」だけではなく、そこから消費者のリアルな声を得て、それをすぐに改善につなげられるのは「顧客起点のマーケティング」があればこそ。

「意中盒」はそうしたピジョン上海の「顧客起点マーケティング」に適切なデータを提供しているのである。

 

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