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【特集】中国SNS情報最新版(1)2017年上半期、メインユーザーは子持ちの若年層!

中国人消費者と切っても切り離せないSNS。中国トレンドExpressでは昨年末、中国でのSNS利用動向についての特集をお届けしました。


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中国でのSNSアプリのユーザー数は5.9億人ともいわれ、現在も増加を続けています。今回は「中国SNS利用状況2017年上半期版」として、iResearch調査に基づいた報道から情報をお届けします。

モバイルSNSは既婚子持ちが46.3%、年代は40歳未満が2/3

この調査によれば、SNSの利用者の男女比は55.1:44.9となっており、ネットユーザーの比率(53:47)と比べて男性が高めです。

ステイタスは「既婚子持ち」が全体の46.3%と主流になっています。

(円グラフ中、ラベルのない紫色は「その他」0.3%)

グラフ:モバイルSNSユーザーの既婚・未婚比率:その他0.3%、独身(結婚願望なし)0.7%、結婚子供なし 6.3%、交際中12.7%、独身(結婚願望あり)33.7%、既婚子供あり46.3%

年齢分布は40歳以上が4.3%と少数となっており、SNS利用層は若年化しているといえそうです。別の調査によるネットユーザー全体における40歳以上のユーザー比率は23.1%であり、インターネットの利用自体は中年層でも活発と言えそうです。

グラフ:モバイルSNSユーザーの年齢比率:40歳以上4.3%、35-40歳未満13.7%、30-35歳未満26.7%、25-30歳未満28.8%、24歳以下 26.6%

ユーザーのSNS利用目的やモチベーションは?

続いてインターネットユーザーのSNSアプリの利用状況です。

主な利用目的は以下のようになっています。

1 交流を広める 70.8%
2 知識を深める、ニュースを知る 63.1%
3 気の合う人と知り合う 61.9%
4 時間つぶし、孤独感を紛らわす 57.6%
5 自己表現欲 55.8%
6 単なるツールとして 47.6%
7 何かを吐き出すための場所だから 47.5%
8 自慢するため 28.0%

5位「自己表現欲」(55.8%)や8位「自慢するため」(28.0%)といった要因のランクインが見られました。この利用目的は、日本のSNSユーザーの利用目的と比べた際、特徴的と言えそうです。

日本のSNS利用の特徴とは何でしょうか。総務省が毎年発表している「情報通信白書」によると、日本ではSNSで積極的に情報発信を行っている割合は最も高い20代で17.4%、前年代を合わせた全体では11.8%にとどまります。つまり日本人はSNSを利用していたとしても、そこには自分からの発信という形態で表れるような「自己表現欲」、「自慢するため」という意識が希薄だとも考えられます。

中国のSNSユーザーについて、日本人のようなSNS利用スタイルを当てはめて想像してしまっては、誤ったイメージをつかむことにもなりかねないでしょう。

参考:情報通信白書 第2部 ICTが拓く未来社会(総務省)

続いて、中国のSNSユーザーがSNS上で自分から情報発信する場合の動機づけを詳細に見てみます。ユーザーを単なる閲覧にとどまらせない理由は何なのでしょうか?

1 友人に近況をシェアしたい 38.1%
2 気持ちを表現したい 25.2%
3 注目を集めるため 10.9%
4 コメントやいいねがほしい 9.1%
5 暇つぶし 8.6%
6 もっとSNSでのステイタス(ランク)をアップしたい 4.6%
7 他人への自慢 3.1%
8 その他 0.4%

「友人への情報のシェア」が38.1%でトップになりました。また2位は「気持ちを表現したい」は利用目的として回答されていた「自己表現欲」、3位「注目を集めるため」(10.9%)は「自慢するため」といった利用目的とリンクしているように見えます。中国のSNSユーザーにとっては、「SNSを利用すること」は「SNS上で自ら情報発信をすること」として認識されているのかもしれません。

以上の結果から、中国では、SNSで入手された情報は友人に向けてシェアされる可能性が高く、特に感情に訴えるような、注目を集められるようなコンテンツが拡散の可能性が高いといえるのではないでしょうか。シェアした結果コメントやいいねが付くコンテンツがあれば「また同じようなものを拡散しよう」と考えるようになるかもしれません。

SNSへの接触頻度、時間 ~毎日1回以上が9割を超える!

続いてSNSユーザーのこの半年のSNS利用頻度、一日の利用時間を紹介します。

まずは利用頻度です。半数近くのユーザーが一日に4回以上SNSを利用しています。一日に複数回SNSを利用するというくくりでは全体の8割、また一日1回以上SNSに触れているユーザーは全体の93%ということになります。

(円グラフ中、ラベルのない紺色は「週に1回」0.5%)

グラフ:この半年のSNS利用頻度:週に1回0.5%、4~6日に1回1.3%、2~3日に1回5.7%、1日1回10.7%、1日2~3回35.7%、1日4回以上46.2%

 

続いて利用時間です。1時間から2時間未満が35.4%、2時間~3時間未満が28.0%、3時間以上が19.9%と、1時間以上の利用時間のユーザーを合計すると8割を超えます。

(円グラフ中、ラベルのない紺色は「15分以内」0.7%)

グラフ:1日のSNS利用時間:15分以内0.7%、16~30分未満2.9%、30分~1時間未満13.2%、3時間~ 19.9%、2時間~3時間未満 28.0%、1時間~2時間未満 35.4%

一週間の利用頻度と1日の利用時間を合わせて、中国の6億人弱存在するというSNSユーザーのライフスタイルを想像してみると、SNSにアップデートされる最新情報を生活の中で折々に入手している様子が目に浮かぶのではないでしょうか。

リラックスタイムに手に取られるSNS

それでは、SNSに接触するシーンは具体的にどのようなときなのでしょうか? 複数回答された利用シーンごとの回答比率は、多い順に以下のようになっています。

グラフ:SNSに接触するシーン:家で休憩しているとき72.9%、寝る前59.0%、交通機関利用時56.1%、旅行中51.7%、順番待ちまたは人待ち51.4%、昼休み49.1%、外食中36.8%、外で遊んでいるとき35.0%、図書館、カフェ34.8%、テレビ、映画鑑賞時34.2%、街をぶらぶらしているとき28.8%、授業中、仕事中27.2%、起きたとき、23.2%、ジム、トレーニング19.8%、シャワー中8.2%

1位の「家で休憩しているとき」はダントツで多く7割に上り、次点は「寝る前」の59%、3位は「交通機関利用時」の56.1%でした。心情としては暇なとき、リラックスしているときに利用されているということになりそうです。日常生活に密接した存在であることがうかがえます。

一方で4位が「旅行中」、7位「外食中」、10位「テレビ、映画鑑賞時」となっており、何かを積極的に楽しんでいるタイミングでもSNSに触れる機会が多いということがわかります。SNSを経由して、ユーザーがリアルで触れた情報が発信、拡散されていく様子が目に浮かびます。

また下位には「起きたとき」、「ジム、トレーニング中」、「シャワー中」がありますが、これらは男性の利用が多いそうです。男性は、ボディケア用品やボディメイキングにかかわる商品(例えばプロテインなど)への意識が高まるタイミングにSNSに触れているという仮説も成り立ちそうです。男性向けで身体にかかわる商品のプロモーションにはSNSがうってつけと言るのかもしれません。

参考:2017年中国移动社交用户洞察报告(出典:界面) 中国語

最新の中国のSNSユーザー像についてイメージが立体化されたでしょうか? 続く特集では「よく使われているアプリ」など、実際に人気のプラットフォームとその利用比率など紹介したいと思います。


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