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【特集】中国SNS情報最新版(2)SNSは22時、ライブ動画は日に4回、視聴のピークがある!

SNSを利用する目的の1つといえば、インターネット上のプラットフォームで人間関係を形成し交流することですが、中国では中国版Twitter新浪微博に限らず、チャットツールのタイムラインや動画サイトでコメント、質問が見られるのは日常茶飯事。どこまでがSNSでどこからがSNSでないのか区分けが難しいところです。

今回はインターネット関連の研究機関中国インターネットインフォメーションセンター(CNNCI)が今年1月に発表した「第39回全国インターネット発展統計布告」よりインターネットユーザー数とSNSツールのユーザー分析をご紹介します。

▼第1編はこちら

中国SNS情報最新版(1)2017年上半期、メインユーザーは子持ちの若年層!

参考:
CNNIC:2016年第39次中国互联网络发展状况统计报告(附下载)抜粋 (中国語)

CNNCI2016年中国インターネットに関する分析レポート

まずはインターネットのユーザーについて取り上げます。

インターネットユーザー数と属性

レポートによれば2016年末で中国のインターネットユーザーは7.31億人、インターネット普及率は53.2%(都市69.1%、農村33.1%)となっています。

中国の人口が膨大であるため、普及の比率でみるとそこまで大きな数字に見えないかもしれませんが、絶対数に着目すると、驚異的なマーケット規模を感じとれるのではないでしょうか。7.31億人といえば、日本の人口の約5.7倍です。これでもまだあと6.4億人がインターネット利用の可能性を秘めているのです。

都市と農村部ではインターネット利用状況に差があり、農村では都市と比べEC、モバイル決済、旅行の予約では特に20ポイント以上低い状況となっています。またユーザーの属性は学生が25%、フリーランスが22.7%と上位を占めています。上位には続いて会社員11.9%、そのほかの属性は軒並み7%以下となっています。

またネットユーザーの月収分布をグラフにしたものが下記です。上位から、3001-5000元(23.2%)、2001-3000元(17.7%)、500元以下(13.8%)となっています。先に見たように学生のユーザーも多いため、500元以下の比率にも納得です。

グラフ:ネットユーザーの年収分布:未収入7.0%、500元以下13.8%、501~1000元8.3%、1001~1500元5.7% 、1501~2000元7.7%、2001~3000元17.7%、3001~5000元23.2%、5001~8000元9.7%、8000元以上6.9%

 モバイルの使用規模と「ライブ動画」

インターネットのモバイルユーザーは、全ネットユーザーの95.1%に上ります。また、2016年に注目の市場となったライブ動画のユーザーは、3.44億人(ネットユーザー全体の47.1%)となりました。

ライブ動画ではゲームのライブ動画利用が最も多く、そのほか歌唱、スポーツ、トーク番組の利用が多くなっています。

SNSプラットフォームの使用率と一日における利用時間分布

では続いてSNSに焦点を絞ってデータをご紹介します。2016年12月における、典型的なSNSプラットフォーム領域におけるアプリの使用率TOP7です。

微信朋友圏(WeChatタイムライン)、QQ空間、微博ほか、各SNSの使用率(2016年12月)

 グラフ:微信(WeChat)、QQ空間、微博ほか、各SNSの使用率(2016年12月):WeChatタイムライン85.5%、QQ空間67.8%、微博37.1%、Douban8.2%、知乎7.6%、天涯社区7.0%、LinkedIn2.8%

インターネットユーザーのうち、WeChatのタイムラインである「朋友圏」の使用率が最も高く、85.8%となっています。次点は同じくテンセントが提供するチャットツール「QQ」に備わっているSNS「QQ空間」です。両者の使用率は群を抜いて高くなっています。3位は中国版Twitterの微博で使用率37.1%ですが、こちらも次点を大きく引き離してランクインしています。

このように、TOP3のSNSツールがそれ以下と大きく差をつけて使用されていることがわかります。3つのプラットフォームの特徴はどういったところにあるのでしょうか?

WeChatのタイムラインはクローズドな機能(つながっている友人にのみ公開される)なので、各種SNSの中でもよりリアルなつながりといった要素や内向的な側面を持ったプラットフォームです。対照的に微博は、SNS上で形成された人間関係がメインとなっており、ユーザーはより細分化された「趣味の領域」の情報収集のためにこのプラットフォームを利用する傾向があります。ユーザーの利用姿勢としては、QQ空間はその中間に位置しています。

ユーザーの属性でいえば特徴的なのは微博とQQ空間です。微博のユーザーは一線都市・女性・20代、大卒以上、都市住民がほかのSNSツールよりも高くなっています。対照的にQQ空間のユーザーでは、五線都市のネットユーザーや10~19歳の利用率がほかのSNSと比べ高くなっており、若年層ユーザーをひきつけています。

4位にランクインした「Douban」は書籍、映画、音楽の発表と評論に特化したSNSサイトです。評論がメインのサイトのようにも見えますが、作品の紹介や同じ趣味のユーザーとの交流、ブログ機能が充実している点が特徴です。

キャプチャ画像:Doubanのタイムライン

(Doubanのタイムライン)

「知乎」は各分野の専門家が回答するQ&Aサイト、「天涯社区」はBBSで多種多様なトピックが自由に立てられています。7位には「LinkedIn」がランクインしています。

ニュースサイト、SNS、EC、ライブ動画、チャットツールの利用時間

さて、終わりに視点をSNSから一度引いて、SNSをはじめとする各アプリを利用する時間帯について比較してみます。

以下のグラフは、縦軸に一日のトータル使用時間における使用時間の割合を、横軸に時間帯を示したものです。以下の表ではSNS、チャットアプリが狭義でのSNSですが、ECやライブ動画での書き込みは盛んに行われているので、これらも広義のSNSととらえることも可能でしょう。

それぞれのアプリ利用時間帯にはどのような特徴があるでしょうか。チャットアプリは一日を通じて利用され続けていますが、休憩時間に触られることが多いことがうかがえます。ライブ動画系は17時、19時、22時、0時と一日に4回利用時間のピークがあることがわかります。一方SNS系のアプリを見てみると、正午に向かって利用率が増え続けたのち午後はあまり変化が見られませんが、夕方から22時頃に向かって再度利用が増加し、22時ごろにピークを迎えています。

ECアプリは正午と20時に、ニュースアプリは朝6時から10時にかけてと、20時前後に利用率が増える傾向があります。

グラフ:アプリの種類別使用時間の分布

ネットユーザーが最も使っているアプリ

では具体的にネットユーザーが利用しているアプリは何でしょうか? 以下が利用率トップ5のアプリとその利用率(そのアプリを利用しているユーザー/ネットユーザー全体)です。

グラフ:ネットユーザーが最も使っているアプリ:微信79.8%、QQ60.0%、タオバオ24.1%、モバイルBaidu15.3%、アリペイ14.4%

微信(WeChat)が79.8%、QQ60%、タオバオ24.1%、モバイルBaidu15.3%、アリペイ14.4%という結果になっています。微信、QQ、ECの生活への浸透をうかがわせる結果ではないでしょうか。

まとめ

依然としてWeChat、QQ、微博といったSNSが人気となっていることがデータから確認できました。またDouban、知乎、天涯社区、LinkedInと性質の異なるSNSツールが続きます。(1)で見てきたように、長時間、頻度高くSNSと接触し、自己表現にも積極的なのが中国人SNSユーザーの特徴です。中国人消費者のペルソナ理解にはこれらのSNS上の書き込みなども参考になるのではないでしょうか。

ネットユーザーが利用するアプリランキングでは、SNSであるWeChat、QQに続いてタオバオ、モバイルBaidu、アリペイがランクインしました。SNSの利用目的の第2位は「知識を深める、ニュースを読む」です。中国人消費者の情報収集における一次情報となるためには、ユーザー層の違いに注意しつつこれらSNSや検索エンジンを活用することがポイントとなっていきそうです。

またSNSではないですがECサイト大手のタオバオが3位に、モバイル決済のアリペイが5位にランクインしています。中国のECとモバイル決済利用の拡大の実態が見て取れる結果となっています。

ここまで2回にわたり、中国の研究機関によるSNS、インターネット関連の最新レポートからユーザーの傾向をご紹介しました。中国人消費者のSNSとの付き合い方、接触するSNSとプラットフォームごとのユーザーの違い、そして普及しているインターネットサービスの全体像がつかめたのではないでしょうか。

最終回の(3)では各SNSプラットフォームのユーザー数など最新の数字をご紹介します。


▼続きはこちら

中国SNS情報最新版(3)WechatとWeiboだけじゃない中国SNS、各サービスの最新ユーザー数