中国トレンドExpress

【聖地に集う中国人】2017年版 前編 ~1位はもちろん岐阜県舞台のあの映画!「聖地」ブランド継続の要を書き込みから~

昨年中国トレンドExpressでは、「聖地巡礼」を目的に日本に訪れる中国人に注目し、聖地巡礼に関するクチコミ分析を行いました。今回はその最新版として、2016年8月からの1年間についての最新データをご紹介いたします。ランクインする「聖地」の顔ぶれに変化はあったのでしょうか?

「聖地巡礼」とは、アニメ・マンガなどの舞台となったとされる場所やゆかりのある土地を実際に訪れる行為。


▼有料会員の方はバックナンバー62号で前回の内容をお確かめください。

トレンドViewer(バックナンバーダウンロードページ)


2015年5月~2017年夏の「聖地巡礼」注目度推移

2015年夏からの、「日本に関連した聖地巡礼」に関する新浪微博のクチコミ件数推移を見てみましょう。

グラフ:「聖地巡礼」に関するクチコミ推移

2015年、16年、17年ともに、夏にいったん盛り上がりを見せています。また昨年は夏の盛り上がりを維持しながら国慶節のあたりでピークを迎えています。
昨年4月のクチコミの増加は、昨年トレンドExpressでお伝えした通り、アニメ「夏目友人帳」の聖地があるとされる熊本で発生した地震について、心配する声が拡散されたのが原因となっています。

夏には、休みや卒業を迎えた若者が旅行に出かけることはこれまで何度もお伝えしているとおりで、「聖地」ブランドのターゲットは若者というのは明らかなところです。

今年は既に6月の時点で昨年のピークを越えており、このままの勢いが国慶節まで続く可能性もあります。中国では、今年に入ってから聖地巡礼が「日本旅行の目的」の1つとして扱われ始め、メディアにも露出がふえてきていますが、その流れがクチコミにも表れていると言えるでしょう。

とはいえ、「聖地」ブランドが継続するのかどうかはまだ判断が難しいところで、プロモーションにそのブランドが活用できるのかどうか、気になるところではないでしょうか?そこで、今年の聖地巡礼投稿ランキングについて昨年と比較しながら見ていきたいと思います。

作品ランキングTOP20 ~2017年版

ではさっそくランキングを見ていきましょう。まずはTOP5です。(場所は投稿上の主な表記)

順位 作品名 カテゴリー 場所 転載数 前回順位
1 君の名は。 アニメ、映画 飛騨高山 4,893
2 ジブリ各作品 アニメ、映画 三鷹市(三鷹の森ジブリ美術館) 2,893
3 夏目友人帳 アニメ、漫画 八代市 1,782 1
4 スラムダンク アニメ、漫画 鎌倉市 1,452 2
5 頭文字D アニメ、漫画 群馬県(赤城山等) 1,237 11

昨年の1位、2位を押し下げて1位に「君の名は。」飛騨高山、2位に「三鷹の森ジブリ美術館」三鷹市がランクインしました。昨年の1位と2位はそのままスライドして3位「夏目友人帳」八代市、4位は「スラムダンク」鎌倉市となりました。

今年の春節ごろ、飛騨高山にはすでに多くの中国人が多く訪れていることが報じられています。聖地巡礼であるかどうかを問わず、訪日中国人の「行った」ランキングでの「飛騨高山」のランキング順位も上昇しています。ランキング順位は昨年の国慶節後から大きく下降していましたが、今年の春節あたりから急上昇しその後順位を維持しています。この変化は「君の名は。」の影響と言えそうです。

また、5位は昨年の11位からかなりランクアップして「頭文字D」群馬県(赤城山等)となっています。

参考:『君の名は。』聖地に“リア充”中国人集団が殺到中

 

続いて6位~20位です。

順位 作品名 カテゴリー 場所 転載数 前回順位
6 銀魂 アニメ、漫画 京都 1,128 8
7 名探偵コナン アニメ、漫画 大栄町 902 13
8 ドラえもん アニメ、漫画 川崎市 891
9 ちびまる子ちゃん アニメ、漫画 清水市(ちびまる子ちゃんランド) 777
10 新世紀エヴァンゲリオン アニメ、漫画 箱根町 763
11 はたらく魔王さま! アニメ 築地 687
12 手塚治虫博物館 アニメ、漫画 宝塚市 674
13 とある科学の超電磁砲S<レールガン> アニメ 多摩市、立川市 543
14 CLANNAD ゲーム、アニメ 羽村市 534 27
15 おおかみこどもの雨と雪 アニメ 富山県みくりが池 438
16 TARI TARI アニメ 湘南エリア 433
17 黒子のバスケ アニメ、漫画 池袋 374 25
18 時をかける少女 アニメ 荒川河川敷 232
19 サマーウォーズ アニメ 上田市 172
20 秒速5センチメートル アニメ 渋谷区代々木参宮橋駅 123

「銀魂」「名探偵コナン」「CLANNAD」「黒子のバスケ」が昨年に続いてランクインしています。それ以外は今回初のランクインです。

14位の「CLANNAD」は、去年は「青森県竜飛岬」でランクインしていましたが、今年は「羽村市」でのランクインとなりました。CLANNADの日本での放映は2007年から2008年にかけてですが、聖地巡礼をするファンは増加しており、かつ複数のスポットを巡る動きもあります。

まとめ ~聖地への集客の要は「構図」!

「聖地巡礼」に関する投稿には、アニメのワンシーンと同じ構図で撮影された写真が並びます。ただゆかりのある場所というだけでなく、画面の中の世界を再現できることが訪問客の背中を押しているのではないでしょうか。

「ここでこれと同じ写真がとれます!」という情報発信、そしてその情報が埋もれないような継続的な発信、拡散を実現させることが、「聖地」への集客成功につながる一つのやり方といえそうです。


▼後編では、作品ジャンルごとの解説と今年要チェックの作品を紹介しています

【聖地に集う中国人】2017年版 後編 ~「聖地」の可能性を持つ作品ジャンル、そして今年要チェックの映画作品は?~