【2017年上半期まとめ&国慶節予測】中国旅行事情 前編 ~訪日旅行のスタイルは二極化する!?~
中国上半期の旅行動向について、中国メディア「鳳凰網」が8月21日、まとめを発表しました。また26日にはCtripが「国慶節期間の旅行動向予測レポート」を発表しています。本編ではこれらの内容を中心に国慶節期間の旅行動向について紹介いたします。
2017上半年居民国内旅游消费2.17万亿|凤凰旅讯(出典:鳳凰資訊) 中国語
十一预测报告:一半中国人黄金周将出游 出境游超600万(出典:旅游吧) 中国語
国内旅行の伸びが顕著 上半期の旅行者数はのべ25.37億人
まずは、2017年の上半期の旅行にまつわる数字を整理してみます。中国国家旅行局が発表した2017年上半期の中国人旅行客についてのデータは以下の通りです。(カッコ内は昨年同期比。)
- 国内旅行者 のべ25.37億人(13.5%増加)
- 海外旅行者数(出国) のべ6203万人(5.1%増加)
国内旅行者数の伸びが顕著であることがうかがえます。
国内旅行者の内訳は都市住民17.52億人(15.8%増加)、農村住民7.80億人(8.5%増加)となっており、都市部には及ばないものの、農村部でも所得の増加が起きているようです。
またそれぞれの旅行消費額は都市住民1.71億元(16.1%増加)、農村住民0.46億元(14.8%増加)、合計2.17億元(約36億円)となっており、旅行者の増加以上に消費額の昨年比増加が大きいことがわかります。
Ctripはレポートで、国慶節期間の中国国内の旅行者は6億人、海外へは600万人が旅行するだろうと予測しています。
遠距離では欧州人気が拡大、フィリピンはビザ緩和で30日滞在可能に
10月1日からの八連休に向けて、旅行商品の予約が始まっています。8月に入ってから、その予約数は増加し続け、すでに予約のピークであるとの見方もあります。ヨーロッパ、東南アジアの旅行プランはすでに満員となるとの見方もあり、国慶節期間の海外旅行者数が記録を更新することは間違いないようです。
目的地
Ctripのレポートによれば、国慶節期間の人気目的地は以下のようになりました。鳳凰網で注目の都市として挙げられている「アメリカ」「ロシア」もランクインしています。
1位 | タイ |
2位 | 日本 |
3位 | アメリカ |
4位 | シンガポール |
5位 | オーストラリア |
6位 | カナダ |
7位 | ベトナム |
8位 | イタリア |
9位 | ロシア |
10位 | マレーシア |
また鳳凰網が伝える、国慶節期間に遠方の旅行地として人気となっている目的地TOP10は以下の通りです。
フランス |
スペイン |
イタリア |
ロシア |
スイス |
イギリス |
アメリカ |
チェコ |
アラブ首長国連邦 |
ハンガリー |
チェコ、ハンガリーといった東欧地域は中国政府がうたう「一帯一路」経済圏構想の沿線です。これを受け、東欧では国慶節期間の旅行について中国市場に向けたプロモーション活動が活発になっていると伝えられています。
【一帯一路】
2014年11月に提唱された経済圏構想の呼び名。「ベルトと道」の意味。中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」の二つの地域で、貿易の促進など経済的紐帯を強める計画。中国政府は沿線の国家を訪問し支持を呼びかけている。
鳳凰網は近距離では、タイ、日本、インドネシア、ベトナム、フィリピンが人気となるだろうと伝えています。
重慶の報道機関がCtripに対し行った取材によれば、国慶節前の9月上旬にも旅行のピークが起こると予測しているそうです。この時期含め、国慶節期間は日本、タイ、インドネシア(バリ島)、カンボジアといった比較的ビザ取得の容易な地域への旅行者が増えるだろうと予測しています。
国によってはCtripが行うビザ手続きは昨年比50%以上となっているそうで、上述のヨーロッパが長期休暇の旅行先として人気を博す一方、日本や東南アジアへの旅行者数はタイの不動の人気を筆頭に、衰えることはなさそうです。
【フィリピン政府のビザ緩和】
フィリピンは今月17日、条件に合致した中国人観光客へのアライバルビザの交付を決定したことを発表しました。アライバルビザでは観光客へ30日の在留期限が与えられますが、申請により最大6か月まで延長が可能となっています。フィリピンの移民事務専員はこのビザによりさらに多くの中国人観光客、ビジネスパーソンの往来を期待していると発表しています。このビザの発給対象は、フィリピン政府が認定した機構が組織した団体旅行のツアー参加者などで、ビザの発給は上陸の10日前に申請する必要があり、費用は25USドルと約1.3人民元の法律研究費となっています。
旅行日数、旅行商品価格
Ctripの発表によれば、旅行者の旅行日数は10日以上が13%、7-10日が25%、4-6日が36%となっています。
タイや日本、シンガポールなどの目的地の旅行商品の価格は6,000元、8,000元強、7,000元前後の商品が多く、買い物ではなくレジャーを目的とする旅行者、高級ホテルを選ぶ旅行者が多くなっているそうです。同時に、Ctripは特価商品(低価格)の日本・東南アジア旅行も販売していることを発表しています。
参考:2017年国庆旅游人数或破6亿人次(出典:信報網) 中国語
鳳凰網の報道によれば国慶節期間は同じ旅行商品でも夏休みと比べ10%ほど価格が高く、オフシーズンと比べると5割増し、また近距離の人気目的地であるタイ、日本、インドネシア、ベトナム、フィリピンはものによっては通常の二倍の価格になるとのことです。
国慶節期間、日本を訪れる中国人はかなりの金額を投入し日本を選んだ層と特価で訪日する層と二極化が起きるのではないでしょうか。日本での質の高い体験、食事、買い物に期待をしてくる層と、2015年に爆買いに参加したような予算の多くを買い物に投入する層の両者が、日本各地を訪れることになりそうです。
トレンドExpress編集部では、新浪微博でのクチコミをもとに「訪日旅行」を計画しているユーザーの属性を分析しました。また9月1日公開予定の特集(2)では「訪日旅行」を予定している方を対象にその旅行の詳細「行先」や「滞在日数」、「予算」についてアンケートした結果を公開予定です。以下リンクよりぜひご覧ください。
▼アンケートの分析結果はこちらから(有料会員限定)
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