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【国慶節中国で人気】日本の商品で人気の月餅とカニ、ECサイトは温故知新でターゲットに訴求

10月の中国といえば、10月1日から始まる連休「国慶節(十一黄金週)」です。今年はなんと中秋節が連休中の10月4日にあたるということもあり、10月1日から10月8日までが「国慶中秋双節」の大型連休となりました。


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中国で中秋節といえば月餅です。今年の中秋節、月餅市場ではどのような動向があったのでしょうか? もう一つの秋の味覚「蟹」と合わせて、この秋の中国EC市場最新情報をお届けします。

月餅たずさえプーケットへ、クラシックな味が人気

この10月の連休に海外旅行に行く中国人も多いようです。京東ビッグデータの分析によると、月餅と航空券をどちらも購入しているユーザーの中で、一番多かった目的地はプーケットということなので、今年は多くの人がプーケットの海と月を眺めながら、月餅を食べたのかもしれません。

プーケットに限らず、連休中はどこへ行っても人が多いのですが、今年は連休前の航空券やホテルの予約数が急速に増加し、去年の同時期に比べると、93%増となりました。

売上の増加は月餅でも顕著で、9月25日までの月餅の販売額は前期に比べ9にも膨れ上がっています。中秋の名月の贈り物にはやはり伝統的な月餅が一番人気ということがわかります。月餅には様々な味がありますが、味別の販売量を見てみるとハスの実の黄身入り月餅が1番人気で全体の14%を占めたそうです。味においては原点回帰傾向があったといえるでしょう。

30代のご自宅用が主流

月餅購買層を年齢別に見ると、「80后」(バーリンホウ)と呼ばれる1980年代生まれの現在30代の購買層が一番多く、全体の49%を占めています。ところが、その後の「90后」、つまり1990年代生まれの20代は、月餅を買う習慣がないのか、全体の10%にとどまっています。

ギフトボックス包装の月餅の販売数は下降傾向にあり、去年の同時期に比べて75%減となりましたが、通常梱包の商品は21%も増加しています。人々の消費観念が変化し、見た目重視の通常より割高なギフトボックス入りの月餅を購入して贈り物とするよりも、「自分用」として季節感を楽しむための購入が増えていることがわかります。

注目株はコラボレーションとフォトジェニック

また、月餅自体にも変化が見られました。故宮博物院グッズを販売する故宮博物院淘宝店と北京稲香村(中国の老舗食品店)のコラボ商品である「掬水月在手」月餅は、唐詩をモチーフにしたデザインで、うさぎや雲、花の形の可愛らしい月餅パステルカラーの箱に入っています。SNSやブログなどでは、そのあまりの可愛らしさから評判になりました。

また、豆乳や揚げパンが大人気の桃園眷村(タオユエンジュエンツン)と音楽サイトのXiami.comが「因楽会」と称して、黒を基調とした包装にアクセントとなる金文字、さらにアナログレコードをつけた特別装丁版を販売しました。文化的付加価値や遊び心、個性などを重視する人が増え、そういった消費者に訴求した商品と言えそうです。

参考:
月餅が昔ながらの風味に回帰 No.1の座は五穀餡味から黄身入り蓮の実餡味へ(出典:sinaニュース)
インターネットマーケティングで月餅が大人気商品に(出典:Weibo) 中国語

新記録も樹立、「生鮮食品」分野でさらなる進歩

中国の食欲の秋といえば、上海蟹も外せません。今年は大手ECサイトも安価で商品を用意するだけでなく、自社の輸送手段を整備することでネット販路における上海蟹販売の拡大に尽力しました。

8月には、京東物流は上海蟹の売り上げを見越して大手国際貨物航空会社と提携した「上海蟹ファーストクラス」をリリースし、より新鮮な状態でより迅速に運べるようになりました。また上海蟹の一大産地である陽澄湖などには20本以上の航空便を開通させています。

そのほかの物流大手である順豊やアリババグループもそれぞれ輸送経路を整備し、鮮度を保ちながら迅速に消費者に商品を届けるシステムを作り上げた結果、キャンペーン期間にはなんと1分間に14万杯を売り上げ、生鮮食品のECにおける販売量の新記録を打ち立てました。

ECユーザーの消費に対する感覚にも変化が見られる一方、連休中の旅行先へ月餅を持参したり、老舗が新しい月餅を作ったりといったニュースがありました。完全に古いものを切り捨てるのではなく、伝統的な存在に新たな価値を与える動きには、古いものを振り返り新たな形式を生み出すというまさに「温故知新」の精神が感じられます。最新の小売市場であるECにも古来の思考が息づいている、そんな中国市場の特徴も見えてくるようです。

また近年、ネットで酒類を購入する習慣が広まっています。各ECサイトでは中秋節に向けて酒類に関する様々なキャンペーンが行われました。今回の連休前のTmall(天猫商城)での酒類販売数は去年に比べ150%増とのニュースもあります。

「伝統的な存在を新鮮な切り口で魅力的に」仕立て上げる、次にそんな手法で売り出されるのを待っているのは「お酒」なのかもしれません。

参考:
アリババ、京東、順豊が陽澄湖で勝負 生鮮食品ECで笑うのは(出典:DO NEWS) 中国語

EC企業による双節の茅台五粮液大特売 相次ぐ在庫切れ(出典:金融界) 中国語