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中国を数字で見る(4)中国ペット事情~都会の「空巣青年」の心の隙間を埋める

私たちを癒してくれるペットは、いまや生活になくてはならない存在になっています。それは中国でも同様のようで、その市場は拡大の一途をたどっています。

毎年8月には、上海でアジア最大ペット関連商品見本市である「アジアペット展覧会」が開かれています。昨年2017年には20回を迎え、第21回となる今年2018年は、会場を新たに上海新国際エクスポセンターに移し、8月22日~26日の日程で開催されます。

過去最大規模となった昨年ですが、今年はさらに会場を拡大しており、国内外から中国のペット市場に寄せられる関心の高さがうかがえます。そこで今回は、中国ペット市場に関する数字を見ていきたいと思います。

参考:
アジアペット展覧会公式サイト

中国ペットブームのターゲットは、都市部の20代後半?

あるデータによれば、中国全土で登録されている2015年のペット総数は1億匹以上となっており、日本での調査結果(犬1034万6000匹、猫995万9000匹)と比べると改めてその市場の大きさが感じられるのではないでしょうか。ではまずその市場の拡大ぶりを数字で見てみましょう。

2004~2014年中国ペット産業の消費規模と増加率

年度 消費規模(億人民元) 成長比率(%)
2004 20
2005 25 25
2006 35 40
2007 50 43
2008 65 30
2009 90 38
2010 140 56
2011 221 58
2012 337 52
2013 510 52
2014 719 41
2015 978 36

出典:2017年中国ペット業界の発展状況分析(中国産業信息)
http://www.chyxx.com/industry/201705/524545.html

2004年には20億人民元だったペット市場も年々増加し、2014年には700億人民元を超える一大市場となっています。輸入ペット食品やペット用品の消費も増えていますが、ペットの健康に関する医療費やペット保険など、様々な形での消費により全体的に市場が拡大していると見られます。愛するペットのために、より良い環境を整えたいと思うのはやはり飼い主の心理なのかもしれません。

では中国ではどのようなペットが人気なのか、具体的な数字とともに見ていきましょう。

2015年の中国都市部におけるペット比率

種類 割合(単位:%)
62
19
6
魚類 3
ウサギ 3
3
ハムスターなど 2
その他 2

(出典:百度知道 http://tieba.baidu.com/p/4625266650

市場調査機関のサンプル調査を見ると、都市部では犬が人気のようです。同年のアメリカのペット比率では、1位は同じく犬ですが42%、2位の猫は33%と拮抗していることを考えると、中国都市部での犬人気の高さが伺えます。

次に、ペットを飼う人が多いのはどの省なのかについてですが、人口の多い場所または経済的に発展している場所がランクインしている傾向が見られます。

市省 割合(単位:%) 人口(中国における人口順位)
広東省 10.62 104,303,132人(1位)
江蘇省 10.40 78,659,903人(5位)
浙江省 9.59 54,426,891人(10位)
上海市 9.08 23,019,148人(24位)
北京市 7.66 19,612,368人(26位)
山東省 5.22 95,793,065人(2位)

(出典:百度知道 http://tieba.baidu.com/p/4625266650

次に年齢層を見ると、飼い主は20代後半が中心となっているようです。

年齢層 割合(単位:%)
25歳以下 13
25-30歳 37
31-35歳 24
35-45歳 18
45歳以上 8

(出典:百度知道 http://tieba.baidu.com/p/4625266650

気になる関連商品の年間消費総額を見ると、大体、1000元以上~10000元以内に収まっているようですが、それでも年間10000元以上消費する家庭も11%あります。

金額 割合(単位:%)
1000元以上 9
1000-3000元 32
3000-5000元 19
5000-10000元 29
10000元以上 11

(出典:百度知道 http://tieba.baidu.com/p/4625266650


インバウンドでもペット関連商品が人気?

【特集】2018年は何がアツい?2017年の「買った」「買いたい」から探る(4)~生活雑貨・日用品の共通キーワードは「香り・ニオイ」


参考:
調査研究機関発表 中国登録ペット数量は1億匹以上(出典:sina新聞中心) 中国語
日本の家庭でのペット飼育の現状とは?(参照:ImpressWatch)
2017年中国ペット業界の発展状況分析(出典:中国産業信息)
ペット好き必見『中国ペット市場のビッグデータ分析』(出典:百度知道)
中国行政区分の人口一覧

空巣青年」の心の隙間を埋める、猫ブーム到来?

先日12月の天猫(Tmall)のショッピングイベントにおいて、輸入ペット食品の増加率が850%となった、というデータが公表されていました。この脅威の成長率を支えたのが、90后(1990年代生まれ)、特に95后(1995年~1999年生まれの22歳~18歳)のユーザーでした。

先ほど、都市部では犬を飼っている人が多いとお伝えしましたが、最近では「猫奴(マオヌー、猫の奴隷)」と呼ばれる、猫を溺愛する人たちも増えているとのことで、特に第一線都市で暮らす「空巣青年」たちの間に多いそうです。

この「空巣青年」とは、進学や就職など様々な理由で家族と離れ、都会で忙しく一人暮らしをしていたり、日々の疲れから恋人を作る気力が生まれない若者のことです。彼らはそうした日々の疲れや寂しさを、ペットと暮らすことで癒しているようで、勝手気ままで程よい距離感を保てる猫を好む傾向があるようです。

参考:
『2017淘宝双12「淘游記」消費レポート』(出典元:中国电子商务研究中心) 中国語
2014-2018年中国ペット産業の市場発展分析とビジョン予測レポート(出典元:中意科创市场调查(北京)有限公司) 中国語
大都市に「空巣経済」襲来 ペット市場は開発途上か(出典元:36Kr) 中国語

まとめ ペットは家族の一員、いつでもどこでも一緒に

さてまもなく春節ですが、大都市に住む人々がこぞって帰省する時期でもあります。また旅行などに出かけて連休を楽しむ人々も多いでしょう。そんな中ペットも家族の一員であると考える人も多く、「ペットを連れて旅行に行きたい」というニーズが増えているようです。

ペットの種類や大きさなど、宿泊にはある程度の制限があるものの、そうした消費者の希望にあわせ、ペットと泊まれるホテル自体は増加しているようです。ホテル予約サイトでは、春節の時期には「ペット可」のタグを特別に増やして検索の利便性を高めています。

最近ではペットのために尽くす「寵物奴(ペットの奴隷)」という言葉もあるようで、ペット市場拡大の背景には、一生彼らを大切にしたい、一緒に住む限りはより良い環境を整えたいという気持ちが感じられます。

参考:
「春節旅行」が人気 ペット可ホテルが増加中(出典元:新華網) 中国語