爆買い再びにつながるか? 中国政府、個人所得税含めた大減税へ!
中国では現在「全国人民代表者会議(全人代。日本の国会に相当)」が開催されており、中国の今年の方針、新たな施策が発表されています。数多くの政策が提議されていますが、現時点で一般国民から注目を集めているのが「税金」。現時点での情報を速報でご紹介します。
年に1回開かれている中国の立法機関「全国人民代表者会議」。中国全土から集まった国民の代表が北京で一堂に会し、今年一年の方針や新たな政策が討議されます。
5日に行われた「国務院工作報告(内閣業務報告に近いニュアンス)」では2017年の成果と同時に2018年の目標も発表。その中にはGDP成長目標6.5%などの重要目標もありましたが、大きく注目を集めたのは数年間で2兆元にも達する「減税」施策。中でも企業税そして個人所得税、合わせて8,000億元の減税に注目が集まりました。
個人所得税については、控除範囲を広げることで税の軽減を図る模様。
これまでは3500元/月までが控除範囲となっていましたが、それを一気に10,000元/月まで拡大。これによって個人の可処分所得を増やし、消費につなげていこうというものです(全国工商聯合の提案は7,000元まで)。
また同時に、教育費および医療費に関しても一定レベルの控除を行っていくとの発表もなされ、一般家庭における2つの負担軽減に向けても動き出すことが発表されています。
これまでは病気になった時の医療費や、子供にかかる教育費などが大きな負担になっていました。それを軽減することで、より安心して消費ができる状態を目指しているようです。
また企業に関しては、これまで「増値税」が大きな負担となっていました。しかし今回の全人代では製造業における増値税率17%を11%に、また交通運輸業の税率11%を6%まで下げることが提案されています。
これは主に製造業や運送業の負担を軽減することでコストを下げ、その部分をイノベーション、研究開発費に使い、よりハイレベルな商品を生み出すことに注力させようという狙いがあります。
これらの減税政策がメディアによって伝えられると「使える金が増えるかも」や「企業の税金下がったら給料増えるかな…」など、期待を込めた書き込みがされ始めました。中には「いや、これまでの税金種類も多い上に高すぎだろ」といった、厳しい意見もみられます。
もし期待通り「使えるお金が増える」となれば、お買い物や訪日観光を含めたレジャー消費なども増えるかもしれません。
減税プラスαでベビーブーム?
しかしこうした政府の提案に対し、「より一歩進んだ施策を」と提案している代表もいます。日本でも有名なネット旅行会社C-Tripの梁建章氏です。
梁氏はポータルサイト『新浪』の経済欄に「(個人所得税)控除拡大だけでなく、子供の多い家庭への減税を」というタイトルのコラムを掲載しました。
そのコラムでは政府の減税提案を評価しながら、一般家庭における子供の養育費、特に教育コストの高さを紹介しつつ、「子供を育てる負担が大きいから子供を産まなくなる。安心して子供を育てられる、教育を受けさせられる環境を」と唱えています。
ご存知の通り、中国では70年代後半からいわゆる「一人っ子政策」が推し進められてきましたが、急速な少子高齢化を生み、ついに先年「2人目の出産を公式に認める」政策へと転換しました。
しかし、それによって出生率が上昇したわけではなく、2017年の出生率も2016年比で63万人の減少と、予想に反した結果となっています。
その大きな理由は梁氏のいう教育費。
中国は、かつての日本をはるかに超える超学歴社会。「高考(大学入試)」が人生を分けるといっても過言ではなく、その戦いは幼稚園から始まっています。そのため有料教育機関の教育費が高騰。さらに皮肉なことですが「子供が増えることで競争が激化するのでは…」という親の懸念がSNS上に見られ、子供の補講授業や習い事など、子供1人あたりにかける費用はウナギ上りの状況です。
また近年の環境問題や健康意識の高まりにより、健康な子供に育てるためへの投資(ミルクやおむつ、またケア商品)も行わなければならず、「とても2人も育てられない」という親がほとんどなのです。
しかし、もし梁氏の提案通り、2人の子供を持つ家庭にさらなる優遇措置が取られるのであれば、子供が増え、教育以外のベビー・マタニティ需要もさらに伸びるかもしれません。
参考:
梁建章谈个税:不但应提高起征点 还要给多孩家庭减税(出典:新浪網) 中国語
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立て続けに大きな発表がされている今回の全国人民代表者会議。中国の消費にもかかわる部分が多いため、中国トレンドExpressでも引き続き注目していきます。