注目すべきは「95後」。なぜKOLが刺さるのか?~業界レポート・中国アパレルファッション編
北京や上海、広州の繁華街もおしゃれなファッション、メイクに彩られた女性を多く見かけるようになった中国。2016年にはファッション消費金額において世界2位となっています。今回は今年1月に阿里数据(アリババのデータセンター)が淘宝iFashionとの提携で発表したオンライン・ファッション消費調査『2018iFashion時尚消費趨勢報告』から、そんなファッション大国・中国のオンライン・ファッション消費動向を見てみましょう。
消費主流は「95後」!KOLにつながる背景
まずTaobaoのデータで驚かされるのは、消費の主力。全体の消費の4分の1が1995年以降に生まれた若者。特に18歳の消費が突出しているとのこと。
これまで「80後」や「90後」といった10歳刻みで消費者の中心が変わってきましたが、オンライン上においてすでに95後世代が消費の中心となっているようです。
95後の若者たちは、物心ついた時には中国が「モバイル化」していた世代であり、さらにはWeiboそしてWeChatが登場し、本格的なSNS社会へ突入した時代に成長してきました。
80後や90後はインターネット世代ではありますが、PCからモバイルへと移行してきた世代であり、SNSの口コミの誕生から発展を見てきた(SNS時代も体験している)世代。それに比して95後は物心ついた頃からSNSに囲まれて育ってきた世代。
そのため、他者に対しても自身に対しても「よりネット上での評価」を気にする世代なのだとか。
また95後については「あまりお金に不自由しなくなった」世代との声も聞かれます。
彼らが大学在学中には中国でも金融業、特に小口金融なども発展し、「校園貸(キャンパスローン。学生向け小口金融)」といったサービスも登場し始めました。
さらに親世代はいわゆる70年代生まれ。多くが中国の経済発展に乗り、現在は50歳前後でビジネス界でも現在中核となっている世代。さらにはその上に、4人の祖父母がおり、それぞれに不動産などの財産を所有しているケースがほとんどです。
それがいずれは、95後の若者へと相続されることになります。そのため現時点で「もっとも経済的に安定した世代」とも呼ばれ、「85后还存钱,90后不存钱,95后敢借钱(85後はまだ貯金。90後は貯金しない。95後は使い倒す)」などと表現する研究者もいるようですが、まさにお金に執着しなくてもいい世代といえるでしょう。
いずれにせよ、95後はその前の世代(たとえ5歳しか違わなくとも)とは異なり、非常に安定した、そして安心してお金を使える世代。そして何事も誰かの「口コミ」を判断基準としている世代なのです。
「KOL」がけん引するファッション消費
さて、こうした95後世代が中核となっている中国のオンライン・ファッション消費。SNSに囲まれて育ち、その評価を気にする彼らの心を引き寄せる手法として急成長しているのが、そう「KOL(インフルエンサー)」なのです。
レポートでは、iFashion内における人気KOL店舗トップ10の忠実なファンとされているのが24歳~28歳。中国では数え年で年齢を計算するので、24歳というのが1994年~95年に生まれた世代。まさに95後の1期生と重なります。
95後はブランドではなく、こうしたKOLへの信頼度が極めて高く、レポートにおいてもKOLの店舗で購入した消費者の40%がリピーターになっているという傾向が見えています。
日本でも中国市場向けKOLプロモーションが注目を集めていますが、ファッション業界においては、95後の消費特性の把握、そして彼らの支持するKOL選定などが今後のカギを握ってきそうです。
618人気KOLの紹介
【参考】iFashion内人気KOLトップ10(『2018iFashion時尚消費趨勢報告』より)
・趙大喜
・美美的夏夏
・于momo
・阿希哥
・Lin
・雪梨
・ANNA
・趙大奕
・林珊珊
・金蘑菇菇