【越境EC】潜入! 日中越境ECを動かす 日本在住ソーシャルバイヤーたちの祭典(2)
季節外れの暑さに見舞われた4月末、都内某所で行われた日本在住ソーシャルバイヤーたちのイベントに潜入した『中国トレンドExpress(略称:CTE)』編集部。引き続き、その中で語られたソーシャルバイヤーの実体をお届けします。
▼前回の内容は
【越境EC】 潜入! 日中越境ECを動かす 日本在住ソーシャルバイヤーたちの祭典(1)
※ソーシャルバイヤーを使った越境ECサービス「越境EC X(クロス)」についてはこちらから。
イベントは、ソーシャルバイヤーたちのプラットホーム「微店」が行った、海外ソーシャルバイヤー向けの説明会。
会場にはおよそ100人のソーシャルバイヤーが詰めかけ、その熱気にやや圧倒されながらの取材でした。
さて、そのイベントを見ていながら、いささか気になることが…。それは、ほぼすべてのソーシャルバイヤーさんが話を聞きながらスマホを見て、操作していること。
「人が話しているのにスマホをいじるなんて、なんて失礼な~!!」
と、日本では怒られそうなものですが、実はそれには理由があります。
彼らは決して遊んでいるのではなく、WeChatを使って自分のフォロワーとのコミュニケーションをとっているのだとか。
実はこれが、ソーシャルバイヤーにとっての財産であり、彼らを支えているものなのです。
支えは「信頼」。丁寧な対応がモノを言う
中国のソーシャルバイヤーを支えているもの、それはずばり消費者からの「信頼」です。
「いやいや、ソーシャルバイヤーって個人でしょ? それが何で信頼されるの?」
と思うかもしれません。いえ、思うでしょう。
そもそも中国の消費者はニセモノなどへの高い警戒心が知られています。特にネット上での購入は、ニセモノかどうかの確認を非常に慎重に行っています。
実は価格だけを見れば、まったく同商品でもソーシャルバイヤーのほうがTaobaoよりも高い価格設定になっています。しかし、実際はTaobaoやほかのECサイトよりも、ソーシャルバイヤーを選択する消費者が多いのだとか。
その理由は、もちろんソーシャルバイヤーが売っている商品が本物であることに加え、自身をフォローしてくれている消費者に対して、スピーディに、事細かに質問に答えたり、発送の状況を伝えたりといったコミュニケーションを取り、商品および自身への信頼を得る努力をしているのです。
そして消費者は「商品の真偽」も含め、「誠実な対応」してくれるソーシャルバイヤーを「信頼できるバイヤー」として購入しているのです。
ちなみにプラットホーム「微店」では、Taobao同様、消費者による店舗の評価制度があるのですが、その手法が若干異なっています。
それは店舗評価で重要視されるのが「売り上げ」、「取引回数」ではなく、「回頭率」すなわち消費者の「リピート率」であることです。店舗へのレビューも「3回以上購入した消費者でなければ書きこめない」というシステムになっているとのこと。
つまり「1人の消費者が何度も購入している=信頼できる」ということになり、その評価によってソーシャルバイヤーは新規顧客を獲得しやすくなります。
もちろん、新しい顧客が増えればリピート率はいったん下がります。それを回復させるために、ソーシャルバイヤーはよりサービスに力を注ぐ…。こうした良性のサイクルが出来上がっていくのだそうです。
海外在住という強みを正しくつたえる
ソーシャルバイヤーが信頼を得ているポイント、もう一つが「海外で購入している」という点。
中国の消費者は「海外、特に日本にはニセモノがない」という信仰にも似た信頼感があり、海外で直接で購入したものには非常に強い信頼感を得ます。
微店でも本当に海外で活動しているソーシャルバイヤーを見分ける方法として、微店では出店しているソーシャルバイヤーの内、海外在住者に対しては「微店全球購(微店グローバルバイヤー)」の認証を発行しています(※)。
ソーシャルバイヤーはこうした認証など活用しながら、消費者とのコミュニケーションを繰り返し、自身が本当に海外にいる事や、どういったところで購入しているかなどもきちんと伝えつつ、消費者の信頼獲得に努めているのです。
そうした、いわばカスタマーサービスもこなしつつ、日本のいい商品を見つけ、お店を回っては買い付け、WeChatで宣伝し、発送の準備をし…という忙しい毎日を、ソーシャルバイヤーは送っているわけです。
余談ながら、ソーシャルバイヤーのほとんどが、発送にEMSを利用していると聞いて気になったこと。送料は「誰が負担しているのか?」ということ。
聞けば「基本的には購入者負担」とのこと。しかし、EMSはもっとも安くても1,400円。もしたくさん購入すれば、数千円に達します。「送料が高いとモノが良くても買ってくれないんじゃない?」という不安が…。
それに対するソーシャルバイヤーに答えはというと「あ、全然気にしないよ。海外のいいモノが早く手元に届くなら、彼らにとってそのくらいはヘーキヘーキww」。
確かに「海外のいいモノを、信頼できる相手から買えるなら、多少高くてもOK」というのが今の中国消費者のようです。
※同認証には海外在住を示す①海外の電話番号でのユーザー登録、②海外在住者を示す証明書(外国人登録証など)が必要で、さらに③GPS上で海外から登録していることが微店側で確認できることが条件になっています。