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【訪日中国人】クチコミ調査で見る2018年国慶節の過ごし方~観光予算と欲しいモノは?

間もなくやって来る10月1日からの国慶節。この中国独自の観光シーズン、中国の消費者はどのようなニーズを持っているのでしょうか? 中国トレンドExpressは、国慶節観光ニーズを知るための口コミ調査を実行。中国消費者の「予定」を分析しています。

今回は2017年の状況と比べながら、旅行予算や欲しいものなどを見ていきましょう。

【調査概要】
調査期間:2018年7月21日-8月20日
調査対象:新浪微博
調査項目:
1.国慶節×〇〇したい
2.国慶節×行きたい
3.国慶節×海外vs国慶節×国内
4.国慶節×旅行×予算
5.国慶節×ほしい
6.国慶節×悩み
7.国慶節×買いたい


海外志向いまだ強い中国の観光ニーズ。

前回も少し紹介した「国慶節で行きたい場所」から見ていきましょう。

まずは前回紹介のトップ10を振り返りましょう。

【グラフ】「国慶節に行きたい場所」ランキングTOP10

順位 行きたい
1 北京市
2 四川省
3 タイ
4 日本
5 アメリカ
6 上海市
7 シンガポール
8 バンコク
9 香港
10 韓国

上位にはおなじみの名前が並びます。国内都市としては北京、上海の2大都市。それ以外は海外の国名、都市名が並んでおり、希望としては海外志向が続いていることを示しています。

これらの目的地はブランド力も高く、必ずと言っていいほど「行きたい」目的地の上位を占める傾向があります。

では10位以下はどうなっているでしょうか?以下のグラフを見てみましょう。

 

【グラフ】「国慶節に行きたい場所」ランキング11位~

順位 行きたい
11 セブ島
12 イタリア
13 マレーシア
14 東京
15 サムイ島
16 沖縄
17 北海道
18 ソウル
19 フランス
20 札幌

11位から20位には「セブ島」、「マレーシア」、「サムイ島」、「沖縄」などマリンリゾート地の名前が上がっています。「きれいな海を見ながらゆっくりしたい」というニーズは依然として強いと言えるでしょう。

 

【グラフ】「国慶節に行きたい場所」ランキング21位~

順位 行きたい
21 パリ
22 オーストラリア
23 ニューヨーク
24 雲南省
25 杭州市
26 マイアミ
27 台湾
28 ロンドン
29 ベトナム

最後の21位以下でも海外の有名都市が並んでいますが、「雲南省(24位)」そして「杭州市(25位)」の国内都市が上がっています。

この2都市、雲南省は風光明媚であること、また数多くの少数民族の文化に触れることができるという点が人気となっています。

また杭州市は南北朝時代から貴族、文化人のリゾート地である歴史的都市です。市内中心部の西湖は白楽天や蘇東坡など、日本でも名の知れた中国の文人ゆかりの地であり、優雅な景色を眺めることができます。

また『白蛇伝』という人間との男性と妖怪の女性のラブロマンスを描いた戯曲の舞台ともなっており、恋人同士で訪れる土地ともなっています。

こうしたニーズは、観光の目的である「非日常」を楽しむことと同時に、「中国の伝統文化や異なる文化を体験する」というニーズを示しているようにも見えます。

ただ、「行きたい場所」のうち、上位には海外勢が並びます。これにはもちろん海外志向という点もありますが、ある「悩み」が存在しているとも考えられます。

それについては次回、「国慶節の悩み」で紹介していきます。

高級路線? 2018年国慶節旅行予算

さて、2018年の国慶節。目的地は上記のようになりましたが、ではその旅に一体どのくらいの費用を予定しているのでしょうか?

旅行予算に関する調査では以下のようになりました。

【グラフ】国慶節の旅行予算

下の表は、2017年に中国トレンドExpressが行ったクチコミ調査です。同調査では「訪日観光予算」について聞いていますが、その予算のボリュームゾーンは2500元~4000元、4000元を超える予算は全体の34%程度となっています。

それに比して今年の「国慶節の予算」においては4000元以上の回答が全体の半数以上。1万元を超えるという消費者も全体の12%に達しています。

【グラフ】2017年の国慶節訪日旅行予算

「訪日観光」と「国慶節の観光(国内・海外問わず)」の違いがありますが、全体を見るとやはり、旅にかける費用が大きくなっている印象を受けます。

中国国内の旅行にかかるコストが上がっている(特にホテルなどは通常の5割増し)こともありますが、全体的に旅行にかける費用は上がっているようです。

「せっかくの休暇。快適な、思い出深い旅を」という意識がより高まっているようです。今後もこうした自己投資意識が消費をけん引していくと考えられます。

国慶節は買い物シーズン!買いたいモノは日本でも国内でも…

国慶節は、観光シーズンであると同時に「商戦」シーズンでもあります。旅先だけではなく、国内の多くの百貨店やモールでキャンペーンが行われ、消費者を呼び込みます。そこで今年の国慶節で買いたい物についての口コミを集めてみました。

2016年、2017にも「訪日観光で買いたいモノ(2017年は「一番買いたいモノ」)という調査を行っております。今回は参考のために、まず前2年の「日本で買いたいモノ」を見てみましょう。


▼関連記事
【特集】国慶節まであと1か月!(2) ~アンケート調査で訪日中国人の日程・予算・「モノ」ニーズを的確に把握~


【表】2016年訪日観光で買いたいモノ

 順位 カテゴリ
1 コスメ・美容
2 医薬品
3 健康食品・サプリメント
4 ベビー・キッズ
5 衛生・健康
6 食品
7 玩具・グッズ
8 スナック菓子
9 ファッション
10 健康・美容家電

 

【表】2017年国慶節訪日観光で一番欲しいモノ

順位 買いたいもの
1 化粧品
2 日本の服
3 ベビー用品
4 医薬品
5 美顔器
6 腕時計
7 カー用品
8 任天堂Switch
8 電気シェーバー
8 オニツカタイガー
8 アニメフィギア
12 ランドセル
12 電動歯ブラシ
14 ミラーレス一眼レフカメラ
15 スニーカー
15 日本のお菓子
15 ブランドバッグ
15 高級ヘッドホン
19 高級調理器具
19 ゴルフセット
19 日本の文房具
19
23 プラモデル
23 釣り竿
23 スーツケース
23 ウイスキー
23 スーツ

やはり日本で買いたいモノでは、化粧品・ベビー用品・医薬品、2017年には美容機器などが名前にあがっています。

2014年の爆買いシーズンには「炊飯器」や「温水洗浄機付き便座」でしたが、この2年ほどでその対象が様変わりしていることが見て取れます。

では2018年。今回は訪日に限らず、「国慶節中に買いたいモノ」を調査しています。

 

【表】2018年国慶節で買いたいモノ

順位 買いたい
1
2 子供服
3 iPhone
4 化粧品
5
6 ブランド品
7 パソコン
8
9 ブーツ
10 家電
11 コート
12 美容機器
13 携帯電話
14
15 テレビ
16 文房具
17
18 ピアノ

1位と2位は昨年の「日本で一番買いたいモノ」の2位、3位となった「服」、「子供服」です。これらの商品は、国内の商戦時には比較的大きく値引きが行われる商品であることからニーズが高まります。

また3位にはいまだに人気の高い「iPhone」との回答となっています。中国では携帯電話が電話番号とは別で売られていることから、お得に買えるキャンペーン時期を狙っているケースが多くあります。また「海外の方が安い!」と海外のアップルショップで購入するケースも多いため、ランキング上位に位置しています。

また4位にはやはり「化粧品」、6位の「ブランド品」同様に海外での購入ニーズが高い商品です。

海外では免税店などお得に購入できる商品ですが、「国内ではどう?」と思われるかもしれません。

近年、中国では新たな政策として海南省に「免税店」がオープン。国内旅行でありながら、身分証と海南島までの交通機関のチケット(航空機、列車)があれば、海外と同じように免税で購入できるという場所です。離島である海南島は南国の海とこの免税店によって、中国でも有数のリゾート地となっています。

今回の調査では、中国消費者で購入したいモノには大きな変化はみられていません。ただ、希望の観光地と合わせてみると、「日本で購入する」という選択肢以外にも、数多くの国でこうした商品を購入するという選択があることがわかります。

単に「買ってほしい」ではなく、「日本で買おう」と思わせる何かが求められているのかもしれません。