中国トレンドExpress

【中国人気お菓子】2018年国慶節に買われたお土産お菓子は?

今年も多くの中国人観光客が日本を訪れた国慶節。東京でも買い物袋やスーツケースを引いた中国人観光客の姿を多く見かけました。「モノからコトへ」と言われていますが、やはり訪日観光の楽しみにショッピングは欠かせないようで、ドラッグストアや百貨店などで買い物をする彼らの姿が数多く見られました。

では、この期間中に中国消費者たちは何を「買った」とつぶやいていたのでしょうか?トレンドViewer上のデータを見ながら、今回は訪日観光のお土産として購入されるお菓子人気を見ていきたいと思います。

帰国後にゆっくり自分で食べるもOK、職場や近所に配るのもOKとあって、春節や国慶節などで多く買われる日本のお菓子。今年の国慶節には何が買われたのでしょうか?

■データ
トレンドviewerにおいて
2018年9月26日~10月9日
2017年9月27日~10月10日
「買った」ランキング食品部門の「お菓子」のクチコミ件数を抽出、比較


▼関連記事

【訪日中国人】2018年の国慶節、中国の観光客はどこへ行った?

【中国人気】新たな爆買いは?トレンドViewerで見てみよう。 この夏、中国消費者に人気となった化粧水とは?


中国消費者にとっては驚愕の日本のお菓子レパートリー!

トレンドViewerに収集されている日本のお菓子についてのクチコミ件数は右肩上がりに伸びており、日本のお菓子に対する注目度が増していることを感じさせます。

国慶節期間中だけを比べても、2017年は11,122件、2018年は11,735件と増加傾向。越境ECや訪日時の人気セグメントとなっています。

その理由となっているのはバリエーション。

中国の消費者だけではなく、そのほかの海外からも日本のお菓子のバリエーションの多さには驚きを禁じ得ない様子。例えばポテトチップ一つとっても、基本の「塩味」から「コンソメ」、「ワサビとビーフ」、「ピザ」などなど多様な味付けが存在しています。

そこにさらに、各地方独特の味付けが加わり、「コンビニの棚に並んでいるのを見ているだけで楽しい」といった声も聞かれています。

一部、中国からの訪日観光客の中には、こうした地方限定のフレーバーを求めて旅をするハードリピーターも現れ始めているようです。

強い!白い恋人。地方のお菓子から日本のお菓子へ

では、この国慶節中に「買った」とつぶやかれたお菓子ランキングを見てみましょう。

【グラフ】2018年国慶節期間中のお菓子のクチコミ数

見ての通り、北海道が生んだ銘菓「白い恋人」が1位を獲得。中国での高い知名度、「北海道」という観光ブランド双方が人気を支えています。

また3位となっている「ビスコ」は主に子供用に購入する消費者が多い商品。中国消費者に話を聞くと「ミルクの味わいがいい」や「食感が好き」との回答が多く、同時に「健康的で子供に与えても安心」という印象が強いようです。

ちなみに、中国消費者からの人気No.1の座を勝ち取っている「白い恋人」ですが、2016年上半期の時点では中国人観光客にとって「日本の地方都市のお菓子」でした。

その後、これまでの春節や国慶節に加えて「夏休み」の訪日観光が増え始めた2016年夏ごろから一気に人気が上昇。夏の北海道を楽しみながら、同商品をお土産に帰国していたのです。

ただ、もちろんその時期でも、白い恋人は「北海道に旅行した人だけ」のお菓子だったようです。

しかし2017年4月に「白い恋人」の製造元「石屋製菓」が東京銀座に直営店をオープンさせました。2016年時点では東京で購入する方法が限られていたのですが、東京への直営店進出によって東京を訪れる訪日中国人でも購入しやすくなり、より人気が高まったと考えられます。

ただ近年はTaobao上で偽の「販売委託」を詠ってニセモノの同商品を販売する手口が確認されており、人気者ならではの悩みもある様子。

すでにメーカーでは「海外で販売代理権を与えた事実はない」旨を発信しており、中国消費者に注意を促しています。

王者「白い恋人」人気を奪うのは誰だ?

この国慶節期間中のお菓子クチコミ事情、並んでいる銘柄を見ると昨年と同じ顔ぶれが並んでいます。しかし、2017年の同時期クチコミ件数と対比させるとまた違った情報が得られます。

上述の2018年国慶節お菓子ランキングに昨年の状況およびクチコミ件数の増加率を加えてみましょう。

【グラフ】2017年と2018年の国慶節期間お菓子クチコミ数および増加率

これを見ると、「白い恋人」や「龍角散ののどすっきり飴」は昨年と同じく1位、2位をキープしていますが、クチコミ件数としては昨年の国慶節を下回っています。

クチコミ総数は昨年よりも若干増えているので、「白い恋人」は明らかな減少を見せています。これは「白い恋人」の人気が下がったというよりは、この両製品を手に入れることが一般的になり、中国SNSへの書き込みが若干減ったこと、同時に他商品の人気が高まったことなどが考えられます。

その人気を高め、クチコミ件数を伸ばした商品には「浅田飴」や「UHA味覚糖コロロ」、また「たけのこの里」といった商品が挙げられます。

「浅田飴」は2015年ごろからソーシャルバイヤーが「のどの痛みを緩和する」という効果を中国に向けて宣伝していました。

このころの中国大都市ではいまだPM2.5による大気汚染が消費者を悩ませており、そうした消費者に向けて咳止め薬とともに紹介されていました。

中国の大気汚染はだいぶ緩和されましたが、それでもタバコの消費量が多かったり、埃っぽい都市が多いため同商品の人気は根強く、ランキング数位を見ると、同商品は春節やお花見シーズン、夏休みや国慶節といった、インバウンドシーズンに向けてクチコミ件数が増加しています。

現在は越境ECやソーシャルバイヤーによるものよりも、インバウンドでの消費が主流となっているように見受けられます。

また「UHA味覚糖コロロ」は、果実を思わせるような新食感を売りにしている商品。すでに早い段階で香港などで火が付き、現在は大陸消費者の多くが買い求める人気商品となっています。

主にはソーシャルバイヤーや日本情報を提供するWeChatメディアが取り上げていることが人気の主な理由と考えられますが、阪急梅田店には専門店が出店しており、こうした場所でも商品の訴求につながっているとも思われます。

また絶えず新商品を提供することも、新しい物好きの中国消費者から好印象となっているようです。

ちなみにUHA味覚糖は中国でも高い知名度を誇っているブランド。特に「悠哈」という漢字を当て、ゆるめのイメージを打ち出したこと、またデザインも比較的シンプルにしたことで、現代の若者の価値観とマッチしたのです。

中国SNSへの波及している「きのこたけのこ論争」

意外な人気を見せたのが「たけのこの里」です。

日本では「きのこの山」と人気を二分する同商品ですが、中国でも徐々にその人気が高まっているように見られます。

実は中国でも日本の「きのこたけのこ戦争」に関心を払う消費者がいるのです。同論争に関しては訪日ブームと日本商品ブームが高まってきた2015年ごろからWeiboなどの中国SNS上に現れており、中心になっているのは90後などの若者の中で日本の流行や習慣に興味を持つ世代です。

彼らはインターネットで日本の論争をチェックしたり、訪日時に「きのこたけのこ」に関するイベントを目にしたりして、商品に興味を持っているようです。

特に今年はゲームの「スプラトゥーン2」でコラボイベントが開催されたり、中国で人気となっているアイドルグループ・嵐の松本潤を「きのこたけのこ総選挙」のイメージキャラクターに起用するなど、ポップカルチャーやサブカルチャーとのコラボレーションが中国の若者に刺さっているようです。

実際にこの両イベントにおいてはWeibo上で「自分はたけのこ派」、「両方いける派」など、意思表示をする若者も少なくなく、同論争は国境を越えた命題となりつつあるようです。

ただその勝敗に関してはクチコミ件数を見ても「たけのこの里」が圧倒的有利、「きのこの山」派は何かしらの巻き返しイベントを迫られていると言えるでしょう。

「このブランドのこの商品!」という指名買いをされる化粧品とは異なり、「コンビニで目に入った」や「誰かがおいしいって言っていた」といった小さな情報から人気につながるのがお菓子。

さらに、中国では日本情報が常にアップデートされていますが、その中に日本の若者に人気なスイーツ・お菓子情報も非常に多く出回っています。

そうした環境にあって、上手に中国消費者に興味をとらえ、情報発信していくことで、まだ中国で知られていない日本のお菓子も次の「白い恋人」となることもできるかもしれません。