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【中国人気】新たな爆買いは?トレンドViewerで見てみよう。 この夏、中国消費者に人気となった化粧水とは?

移り変わりが激しいのが中国消費者のトレンド。その変化の状況をとらえていくためには、やはりクチコミの推移を見ていく必要があります。そんなクチコミデータを集積しているトレンドViewerを使って、ある分野の今年の夏の人気状況を見てみたいと思います。

今回ターゲットとして選んだのは、女性にとって非常に重要な美の要素である肌をケアする商品「化粧水」。強い日差しによってダメージを受ける夏、7月~8月に中国で「買った」とつぶやかれた化粧水ブランドの様子を見てみましょう。

利用したのはトレンドViewerの「ランキング期間集計」機能です。この機能ではランキングの種類、集計期間、また大中小の分類を入力することで、その期間のクチコミ総数を集計することができます。

■使い方
1.トレンドViewerのトップ画面から、左側にあるメニューの一番下「ランキング期間集計」をクリックします。

2.「ランキングカテゴリー」、「集計期間(開始と終了。一週間単位で設定できます)」を選択します。「集計」ボタンをクリックすると、当該カテゴリーで選択した期間のランキングが表示されます。

3.さらに「大分類」、「中分類」、「小分類」を選択し「分類で絞る」ボタンをクリックすると、調べたい商品品目に絞った数値が表示されます。今回は「大分類:コスメ・美容」、「中分類:スキンケア・基礎化粧品」、「小分類:化粧水」を選択し、データの絞り込みを行いました。

4.ダウンロードして手元に残したい場合はダウンロードボタンをクリックすると、Excelとしてダウンロードできます。

注意:本機能は正式有料会員のみの機能です。デモアカウントユーザーの場合、ダウンロード機能はご利用になれません。

では、この機能で得られたクチコミデータから、この夏の日本化粧水トレンドを見ていきましょう。


雪肌精の人気強し。アルビオン、IPSAが後を追う展開に

2018年7月4日~8月28日の8週間、中国SNS上で「買った」とつぶやかれた日本の化粧品ブランドの件数を収集しました。収集されたクチコミ件数は38,000件あまり。その順位は以下のようになりました。

アイテム名 ブランド クチコミ件数
雪肌精 コーセー 6536
薬用スキンコンディショナー エッセンシャル アルビオン 6156
IPSA ME エクストラ 4 資生堂 4704
B.A ローション ポーラ 4547
ベーシックスキンケア(THE GINZA) 資生堂 3028
薬用VCローション ハーバー研究所 3023
SK-Ⅱ化粧品 P&G 2525
ラボラボ スーパー毛穴ローション ドクターシーラボ 2331
モイスチャライジング 化粧液 ファンケル 2036
オルビス 薬用 クリアローション オルビス 2033
白潤 薬用美白化粧水 ロート製薬 1109
化粧水・敏感肌用・高保湿タイプ 良品計画 187

各商品の化粧水クチコミ件数に占める比率は以下の通りになります。

【グラフ】2018年7月-8月の化粧水「買った」クチコミ件数の構成比

出所:トレンドViewerのクチコミ件数集計機能を利用し作成

昨年と比べると中国で人気の化粧水に変化も

では、昨年はどのような構成だったのでしょうか?同様の手法で昨年のデータと比較してみました。その結果が以下の通りです。

2017年~2018年にかけては、新しいプレーヤーは登場しておらず、純粋なクチコミ件数の比較となりました。

【グラフ】2017年7月‐8月と2018年7月-8月の化粧水「買った」クチコミ件数

出所:トレンドViewerのクチコミ件数集計機能を利用し作成

 

2017年の同期間と比べてみると、クチコミ件数全体が伸びている(2017年は30,000件あまり)こともあり、一部の商品以外は昨年比でクチコミ数が伸びていることが見られます。

その中でも、今年4位に入っているIPSA(資生堂)の「MEエクストラ4」が昨年比で大きく件数を伸ばしていることが見て取れます。

ただ、この分類におけるクチコミの総数が異なるため、一概に増えた減ったで人気を図ることができません。そこで、やはり総数に対する構成比を比べてみたいと思います。

【グラフ】2017年7月‐8月と2018年7月-8月の化粧水「買った」クチコミ件数の全体比

出所:トレンドViewerのクチコミ件数集計機能を利用し作成

 

日本ブランドの化粧水分類に対する比率を比べてみると、「雪肌精」(コーセー)、「薬用スキンコンディショナーエッセンシャル」(アルビオン)は依然として人気商品ではあるものの、全体に占める割合では昨年比でマイナスとなっています。

それぞれの構成比の伸び率を下のグラフにまとめてみました。

【グラフ】2017年7月‐8月と2018年7月-8月の化粧水「買った」クチコミ件数構成比伸び率

出所:トレンドViewerのクチコミ件数集計機能を利用し作成

それに比して「IPSA MEエクストラ4」(IPSA)、「薬用クリアローション」(オルビス)、「薬用VCローション」(ハーバー研究所)は、その構成比を伸ばしていることが見て取れます。

イメージキャラクターで伸ばしたMEエクストラ4と秋以降に勝負の雪肌精

では、昨年比でクチコミ件数およびその構成比を伸ばした商品のなかから、特に著しかった「IPSA MEエクストラ4」について見てみましょう。

2017年夏に比して大躍進を遂げた同商品ですが、その要因においてはイメージキャラクターの起用が大きな影響を与えたことが予想されます。

2018年4月、IPSAは95後世代の女優「林允」の起用を発表。彼女は2014年にチャウシンチー監督の映画『美人魚(マーメイド)』で主演女優の座を射止めたことで脚光を浴びましたが、小紅書(RED)で積極的にコスメ情報を発信しており、90後や95後世代からの高い人気を誇っています。小紅書公式アカウントは900万人を超えるフォロワーを得るまでに成長しており、カリスマKOLとしても注目を集めているのです。

その彼女を起用したことで、同世代である90後・95後世代に対して強いインパクトを与え、2018年夏場の購入につながっていったのではと予想されます。

翻って、王者たる「雪肌精」は美白効果において非常に高い信頼を勝ち得ている商品でありますが、その効果が求められるのは夏場に受けたダメージをケアする秋口、すなわち9月以降となっています。

春~夏に向けて弾みをつけたIPSAが、これからニーズの高まる雪肌精の人気をどこまで奪えるのか?はたまた雪肌精が王者の力を見せつけるのか、今年の人気化粧水市場秋冬版はそこが見どころになりそうです。