中国トレンドExpress

中国マーケティングニュースピックアップ <2020年4月3日報>

今、中国ではどんな商品が話題になっているのか? 中国のマーケッターたちは何に注目しているのか? 中国マーケティング業界ではどのように分析しているか。

これは中国向けマーケティングに携わるものであれば知っていなければならない基礎知識。しかし日本にいると収集にも時間がかかるもの。そこで中国トレンドExpress編集部では、中国のマーケティングに役立つ中国の記事をピックアップ、サマリーを隔週でお届けする。

今週は中国のシンクタンク『第一財経商業数据中心(CBN Data)』が紹介した記事から3本をチョイス。


桜限定商品はなぜ売れる?中国視点から見た日本の「限定商品」

原題:樱花可乐溢价5倍,日本“限定食品”为什么总有人买单?
(「桜ボトルコーラが5倍の価格で取引。日本の“限定食品”はなぜ人気?」)

まず1本目はこの季節に日本を彩る桜をテーマにした話題。

 

日本ではよく「限定版」お菓子などが売られていて、時にはネットで話題になっているが、「日本ではなぜ、そうした限定版食品が人気となり、買う人が多いのか」という理由を、中国目線で簡単に分析している。

 

紹介されているのが、コカ・コーラの「桜デザインボトル」、カルビーの「季節限定さくさくさくらえび えびしお味」、株式会社グレープストーンの「サクラ咲ク 東京ばな奈「見ぃつけたっ」」など、日本でも話題になった季節限定食品の数々。

さらには日本のご当地味商材などを紹介しつつ、その背景を探っている。

 

分析結果として、述べられていたのは以下のポイント。

  • 四季の変化が見えやすい環境の日本人は季節の変化に敏感で、「それを感じる商材に興味が向く」。そのために「季節を感じさせる味」に手が伸びる。
  • そうした季節感を得られるものに、さらに日本特有の「匠の技」を感じさせる付加価値
  • チャンスは1度きりという「日本人特有の一期一会マインド」

これらの分析の正誤は別として、「なるほどな」と感じてしまうものである。

 

中国でそこまで日本の季節もの、ご当地ものに興味が向くのは、もちろん希少価値のある「限定商品が好き」という中国消費者の特性とともに、中国ではこうした季節や地域特性のある商品が開発されていない、という点もあるように思う。

 

こうした季節ものや地域限定もの、上手に打ち出せばインバウンド、アウトバウンド、双方での人気商材となるかもしれない。

日本風ブランディングが成功のカギ?

原題:元气森林估值40亿的诀窍:无糖、日系风格、便利店渠道
(「元気森林」推定企業価値40億元の秘密:無糖、日系イメージ、コンビニチャネル)

さて続いては、中国で人気になっているドリンクメーカー「元気森林」に関するレポート。

 

同社は李佳琦を使ったプロモーションなどでいわゆる「Z世代」に刺さり、誕生からわずか4年で推定での企業価値40億元といわれている会社。

 

2019年のダブルイレブンではコカ・コーラなどを押しのけて、飲料部門での売り上げ2位を獲得。特に「糖分ゼロ、脂肪分ゼロ、カロリーゼロ」を前面に押し出した商品群(炭酸飲料、ミルクティなど)が、健康やスタイル維持を気にする女性に刺さった。

 

さてこの記事、タイトルを見る限りよくある「中国ベンチャーのサクセスストーリー」のように見えるが、読んでみると結構辛辣なことが書かれている。

 

それは

「もう、日本企業を装うブランディングはやめようよ…」

というもの。

 

実は同社の炭酸飲料、パッケージにはなぜか日本漢字の「気」の文字(中国の簡単字では「气」、本来の繁体字では「氣」)。

 

さらには「日本国 株式会社 元気森林 监制」という表記があり、日本ブランドなのかと勘違いする人もいる様子。

 

実際は「元气森林(北京)食品科技集团有限公司」という北京市に拠点を置く中国国内企業で、「株式会社元気森林」は同社の日本現地法人。

日本法人で企画、デザインをしているようなので、「日本企業の監修」とは言えなくはないが…果たして「日本の企業による商品」というべきかは微妙なところ。

 

ただ近年、こうした「日本」とのつながりをにおわせるマーケティングが出回っている。記事中には日本でも話題になった「名創優品」の写真が挙げられているが、確かに中国では振興メーカーが市場での認知、信頼を勝ち取るために「日本」をうたうケースが多くなっている。

 

「日本企業や専門機関との提携」をキャッチコピーにしたり、同社のように日本に法人を立ち上げて、「日本の品質、デザイン」をうたたりというケースも多く、余計に紛らわしくなっている。

 

多くの分野で市場拡大が起こっている中国では、そこに対するローカル企業の新規産休も増加。手っ取り早く消費者の信頼を得るためのツールとして「日本」が使われている。

つまり日本商品への信頼を、外から利用しているというわけだ。

 

ただそこに対して中国の消費者もすでに冷たい目で見ている。

この記事の文中では「こういったのは、いわゆる“山寨(バッタもの)”の疑いを受ける」とし、「外国ブランドの衣をまとった国貨(中国ブランド)はこれで最後にしてほしい」と強い口調でまとめている。

健康的に痩せたい、でも甘いものも食べたい!

原題:代糖餐饮流行的背后,消费者要健康也要口感享受
(砂糖代替食品流行の背後には、「健康的と同時に美味しいもの食べたい」という消費者が。)

最後は中国でもニーズの高いダイエットに関する記事。

 

いま中国の印象業界では「砂糖代替食品」、つまり砂糖を使っていないのに甘い食品や塩分を抑えていても美味しい食品が人気になっている様子。

 

前出の「元気森林」の「飲んでも太らないミルクティ」、人気チーズティーの「喜茶HEYTEA」が売り出した植物性糖分を利用した「低カロリーチーズティー」が話題になったように、「ダイエットしながらも、従来通り美味しい(甘い)ものを気兼ねなく食べたい」という、聞き方によっては都合のいいニーズを満足させる食品が求められている。

 

また同様の理由で、「MRP(Meal Replacement Powder)」のような代替食品のニーズも高まっており、従来の脂肪燃焼や満腹感を与えるサプリメントなどの意外に、こうした「食べても太らない甘い食べ物」や「栄養バランスが整えられていて、かつおいしく食べられるダイエット食品」の市場が広がりそうだ。