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【mini column】2019年に注目した中国ホットワード「盲盒」、2020年に急成長‼

2019年の年末に、あるマーケティング活用できそうな中国のトレンドに目を向けていたのだが、そのブームは2020年のコロナ禍においても着実に成長していた模様。

2020年の最後に、1年間に注目したこの中国のブームの現状を確認してみよう。


あの記事を書いたのは、ちょうど1年前。2019年12月25日であった。

どの記事かといえば

『2019年中国マーケ業界ホットワード 「盲盒」に2020年も注目』

中国のZ世代を中心に広がっていた「盲盒(最近は「ブラインド ボックス」と訳されているらしい)を取り上げた記事である。

 

盲盒とは「中身の見えない箱」の意味であり、日本でいえばガチャガチャや食玩のように、「1つのシリーズ玩具のうち、どれかが入っている」というモデルの商品である。

 

2019年、この商品がブームとなった。このブームの火付け役となったのは「Molly」。香港の若手デザイナーである王信明(Kenny Wong)の生み出した、かわいい女の子のキャラクター。

「ちょっとわがままだが、才能あふれる画家」といった設定のついたこの彼女は、王氏が2006年に香港で生み出したものだ。

 

中国では多くの若者がそのミニフィギュアを収集、コレクターも多く登場し、SNS上でも多く投稿されている。

 

そうしたブーム、コロナ禍によって吹き飛んだかと思われたのだが、その火は新型コロナの嵐の中でも消えずに燃え続け、2020年には「Molly」を販売しているPOP MARTが上場を果たすまでに。

 

更にはTaobaoが選ぶ「2020年度淘宝十大商品」にも数えられ、同じアリババグループのユーズド交易アプリ「閑魚」では11月の中古盲盒交易額1.2億元、同期比70%増となっている。

報道では年間で200万元の収入を得る中古盲盒バイヤーもいるようで、盲盒人気の高まりによって中古盲盒市場までも活況となっているのである。

中国のデータ研究機関「Mob 研究院」が発表した『2020盲盒经济洞察报告』という調査レポートでは、その市場を2020年には100億元を超え、2024年には300億元にまで拡大すると予想している。

【グラフ】中国盲盒市場規模推移

出所:『2020盲盒经济洞察报告』(Mob研究院)

またこの調査によると、盲盒購入者の6割以上が女性、年齢別に見ると18~34歳が7割以上を占めている。

まさに日本の化粧品や日用品、お菓子などの食品ブランドの多くがターゲットとしている消費者層なのである。

【グラフ】盲盒購入者の性別対比

出所:『2020盲盒经济洞察报告』(Mob研究院)

【グラフ】盲盒消費者の年齢層

出所:『2020盲盒经济洞察报告』(Mob研究院)

さらに、現時点では一線都市、新一線都市消費者が約半数を占めているものの、徐々にいわゆる下沈市場に広がりを見せているとのことで、都市の面でも広がりを見せているという。

 

IPも「Molly」だけではなく、数多くのキャラクターが誕生。

ますます熱を帯びる盲盒ブーム。2021年は上手に活用したいところである。