【特集】中国美容事情(6) ~二線都市以下が成長市場「メンズ化粧品」~
さて「美容特集」の最後に男性の化粧品市場に関する最新の調査結果ついてご紹介したいと思います。
検索量で「男性化粧品」のトレンドをチェック!
中国の市場・産業に関するデータ分析レポートを掲載している「中商情報網」に公開されている、検索エンジンの360が発表した「男性用化粧品市場分析」によれば、2014年~2015年、2015年~2016年にかけて、インターネットでの「男性用化粧品」についての検索量は毎年平均40%の増加となっています。化粧品業界全体での検索量は同時期では平均4%の増加となっているので、「男性化粧品」に寄せられる関心の拡大する勢いが見て取れるのではないでしょうか。
2016年は二線都市、三線都市、四線以下の都市での検索量が全体の60%を占めており、男性向け化粧品の大きなマーケットの所在地を浮かび上がらせるような結果となっています。検索量の多い製品カテゴリは順に、「香水」「スキンケア用品(洗顔料、フェイスマスク、UVケア、アイクリーム、フェイスクリーム)」であり、この2カテゴリが全体の半数以上を占めています。
ネットで探すのは、やっぱり「クチコミ」
今回の調査結果には男性向け化粧品に関する検索内容とその割合も含まれています。検索内容の経年の変化からは、男性向け化粧品についての関心は「ブランド」から「製品」そして「製品の使い方」にシフトしていることがわかります。
「製品に関するクチコミ」は、データ収集期間の三年間を通じて常に3割前後の比率を占めており、「製品」に次いでよく検索されている情報であることがわかります。中国トレンドExpressでもたびたび取り上げていますが、「クチコミ」が商品選択に際して男女かかわりなく重視される情報であることがこういったデータからも見て取れます。
男性化粧品(スキンケア用品)に関連して最も検索されているワードは「ニキビの除去」ですが、2014年から2016年にかけて検索量の増加が著しいのは「UVケア」「アンチエイジング」という結果となりました。ブランド別では、化粧品全体では「フェロモン」と「ロレアルパリ」がほぼ同率でトップになっています。スキンケアについてはトップの「ロレアルパリ」が全体の24%、日本のブランドはSK-2が2.4%で唯一ランクインしています。また香水カテゴリのトップは31.8%で「フェロモン」、次点が10.3%の「ブルガリ」となっています。
「フェロモン」は、公式ホームページを確認したところ深圳市の貿易会社の連絡先が掲載されていますが、どの国のブランドであるかは明示されていませんでした。
参考:2016男性化粧品市場のデータ分析:止まらぬ拡大のスピード(出典:中商情報網) 中国語
まとめ
今回の特集では「美容」を軸に、中国人消費者のネット上での肌のお悩み相談について紹介、そしてインバウンド市場での日本化粧品について年代ごとや地域ごとに人気を分析し、最後には再び中国人消費者全体について分析しました。618のECセールの後には、中国のメディアにより男性のアイメイク用品の購入についても報じられていました。一口に「化粧品」といっても、年代、地域、性別などターゲット像は様々です。本特集で取り上げたデータにより、今後日本の化粧品のファンになってくれる「中国人」像について、さらに一歩、イメージが具体化できたのではないでしょうか。流れゆく雲のようにあっという間に流行が移り行く中国市場、「美容」についても引き続きトレンドをアップデートしていきたいと思います。
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