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【セミナーレポート】China Beauty(3) ~アプリ「抹茶美粧」情報拡散の秘訣~

(2)では、コア消費者層となる10代後半・20代前半の女性たちが情報収集において主にモバイル端末の美容アプリを利用し、購入場所についてはECサイトが盛り上がってきているという点を調査結果とともにご紹介しました。

本編では、美容アプリ「抹茶美粧」を取り上げ、そのユーザーと実際の機能を紹介しながら、アプリを通じての購入者獲得までの戦略を具体例を交えて紹介していきます。

「抹茶美粧」とは?

今回のセミナーにご登壇いただいたのはトレンドExpressの戦略パートナーである雲遥互動科技で数々のプロモーションを手掛けてきたPJです。

雲遥互動科技 PJ氏

雲遥互動科技社は2013年、成都において黄毅氏と許澤氏により、美容アプリ「抹茶美粧」のリリースによって創業されました。当初資金面で苦労しつつも、投資家より多額の支援を受けて会社の信用度を上げ、翌年には北京に支社を構えるまでに成長しています。

「抹茶美粧」は、今や中国最大級の美容用品クチコミデータベースとなっているだけでなくアプリ内の様々な機能により、コミュニティサイト・美容動画のプラットフォームとしても活用されています。B to Cの販売チャネルとしても効果を発揮し、サンプリング提供や、KOL(キー・オピニオン・リーダー、中国国内で人気の動画配信者たち)の出演する動画制作・配信を通じ、消費者を取り込むプロモーションを実践し続けています。

数字で見る「抹茶美粧」 登録ユーザー2,500万人、DAU200万人、増加ユーザー/日3万人、月平均PV数4億5,000万PV、1動画あたりの平均視聴回数40万回、ユーザー平均使用時間30分、2016年度広告収入2,500万元(4.25億円)、クライアント数100社以上

登録ユーザー数は2500万人、その中でも毎日コンスタントに利用しているユーザーは200万人います。

最も重要なのはその一人のユーザーがアプリ利用に費やす時間で、当初10分程度だった利用時間は30分まで伸びています。この時間でユーザーが行っていることは、企業が提供するプロモーション動画の視聴のみならず、クチコミの投稿や閲覧コメントの書き込み、ユーザー同士の交流などで、SNSとしての側面も強いことがうかがえます。

「茶友」と呼ばれる「抹茶美粧」ユーザーたちは、アプリ内でメイクを教えあったり、商品の情報を交換しあったり、積極的に交流しています。

「茶友」のユーザー層をデータから確認してみます。

年代は、18歳~25歳が圧倒的に多く、65.4%を占めています。(2)でお伝えしたように、この年代はさまざまな美容商品を試す世代です。またインターネットやSNSの中心的なユーザーでもあります。

抹茶美容アプリユーザー年齢〔30歳以上4.1%、25-30歳11.6%、22-25歳18.0%、18-22歳57.5%、18歳以下8.8%〕

 

職業では、大学生をはじめとする学生が最も多く、新社会人を含めた会社員がそれに続きます。

抹茶美容アプリユーザー職業〔ショッピング達人7.3%、専業主婦4.5%、OL12.2%、新社会人11.8%、学生:大学院以上6.2%、学生:大学以下66.3%〕

 

学生相手では、美容商品を実際に売るとなれば、商品単価は安い方がよいのか? という疑問が当然あるかもしれません。しかし、安さに限らず、品質を求める声もあり、50元以下のものから200元を超えるものまで、価格帯としては様々な商品が取り扱われています。「抹茶美粧」のユーザーに限って言えば、平均して110元(約2,000円)程度を一度の買い物で消費するというデータもあります。

「抹茶美粧」のユーザーは52.9%一線都市、新一線都市、二線都市に住んでいます。裕福な家庭に育ち、高等教育を受けて企業に就職する中流~富裕層の多い都市でもあり、これらの都市の市民は中国市場の主力消費者といえます。

 

「抹茶美粧」アプリユーザー像

  • 18~25歳の女性(学生や新社会人)がメインユーザー。
  • インターネットやSNSのヘビーユーザーであり、新商品に敏感で情報のシェアが好き。
  • 自分らしさを追及するポテンシャルが高い。

 

中国最大の美容商品動画マルチチャネル「摩動画」

「抹茶美粧」内のコンテンツには、「摩動画」という動画チャンネルがあります。

中国では、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる人々が、動画を用いて生活スタイルやおすすめの商品についてインターネット上で発信し、生活や消費の手本となっています。特に若い世代の人々に人気となっています。

KOLは土豆網新浪微博といった動画サイトやSNSで多くのフォロワーを抱え、動画はフォロワーたちによって視聴、拡散されています。一種のインフルエンサーです。

「抹茶美粧」では、KOLを起用した美容動画を多く制作しています。ユーザーと同じ目線のKOLであればこそ、ユーザーの共感を得ることができます。実際に商品を使用して感想を述べたり、使用を呼びかけたりすることは、視聴者の購買意欲を刺激します。女優とは違いKOLの「手が届きそうな距離感」が化粧品という日常使いの商品にマッチしているのかもしれません。

日本では「動画配信」というと、本人たちが自発的に自撮りをしておしゃべりするイメージが強いですが、この「摩動画」については、動画制作専門の部署があり、製作部隊が制作する高クオリティな動画(PGC)にKOLをアサインし商品を紹介しています。

今までに15,000本以上の美容動画の制作実績があり、1本当たりの最高視聴回数は800万回を数えます。

▼KOLやPGCについては、FAQでわかりやすく解説しています

中国トレンドExpress FAQ

拡散力の秘密は隆盛する各種動画サイトへのネットワークと、ファンに届く「KOL」

「摩動画」の視聴回数の多さは、「抹茶美粧」の持っている他動画配信プラットフォーム(アプリ)やウェブサイトへの拡散力が支えています。

「美拍」「秒拍(ショートムービー専用の中国版Vine)」といった、26以上もの動画プラットフォームと提携をして、それらの動画コンテンツに制作した動画を提供しています。中国最大のSNS、新浪微博でも、動画コンテンツ内の美容部門にて、「抹茶美粧」から買い取ったものを数多く配信しています。

また、拡散力を担う一員として忘れてはならないのが、先に紹介したKOLたちの存在です。彼女たちは個人で、「微博」「微信(We Chat)」「美拍」など、複数のSNSにアカウントを持っています。

いわゆる「芸能人」ではありませんが、中国国内に20万~150万人のフォロワーを持つ彼女たちは、自分が出演している動画をSNSで発信します。当然、彼女たちのファンであるフォロワーたちに、美容商品のプロモーションとして制作された動画も届きます。

「抹茶美粧」では、400名以上のKOLと出演契約を交わし、100名以上の専属KOLを持ちます。更に拡散力が必要な場合は、中国トップKOLをキャスティングするコンテンツ力も有しているため、より拡散力のある、より人気のKOLが出演する動画も制作可能です。

KOLのキャスティングは非常に重要です。

有名であればよい、というわけにはいきません。肌荒れ、ニキビ、日焼け等の肌トラブルに悩む女性向けに、同じ悩みを持つKOL、乾燥した地域に住む女性向けに、同様の地域在住のKOLといった形で人選を行うことが、プロモーションの成功につながります。

その商品がターゲットとしている層にダイレクトに、共感性を以て商品情報を伝えることが、「商品のファンづくり」には欠かせないのです。

このポイントを充足してくれるのが「抹茶美粧」の動画「摩卡動画」といえるでしょう。

 

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