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2017年国慶節、訪日中国人の動向(2)クチコミのモノ対コトの比率をチェック!注目は「鹿」「紅葉」「コンサート」

国慶節振り返り特集、続いては「買った」「行った」「〇〇した」ランキングを、昨年の結果と比較して変化の中身を探っていきたいと思います。

▼2017年国慶節をクチコミから振り返る!口コミユーザーの居住地など概観をまとめました

【特集】2017年国慶節、訪日中国人の動向(1)いつ、どこから、誰が来ていた?~滞在日数は「5日間」に集中~

 

2017年国慶節、訪日中国人の動向「コト消費」比率は1割増

新浪微博における国慶節の日本旅行に関する書き込みを「モノ消費」「コト消費」の二種類に分類し、その比率を算出しました。

書き込み内容のモノ・コト分類

データ出所:2017年9月24日~10月24日、新浪微博、Wechatオープン部分、BBS、BLOGの日本旅行に関する投稿の中から「国慶節」というワードを含む内容を抽出、さらに「モノ」「コト」の内容で分類。n=2,128,781

「モノ」26%、「コト」74%という結果なりました。

昨年の国慶節では、「モノ」が37%、「コト」が63%でした。今年は「コト」の割合が1割程度増えています。

また、書き込みの母数も昨年から大幅に拡大しており、「コト」への関心や多様化はさらに拡大を続けています。

前編でお伝えしたとおり、滞在日数は「5日」が最多となり、「6日」が最多であった昨年より減少傾向があります。一方で2,3日といった短期の訪日は大幅に減少しています。短時間可能な「モノ」の消費ではなく、ある程度の時間が必要な「コト」を楽しみたいという意向がここからもうかがえます。

ではその「多様化」をチェックすべく、続いては「コト」の中身について昨年と比較して見ていきます。

まずは「〇〇したランキングTOP15」です。

  2017年国慶節 2016年国慶節
1位 買い物をした 買い物をした
2位 日本料理を食べた 日本料理を食べた
3位 写真撮影をした 着物を着た
4位 温泉に入った お寺に行った
5位 お寺に行った 温泉に入った
6位 山登りをした 山登りをした
7位 日本の民宿に泊まった 和菓子を作った
8位 鹿をみた 日本の伝統家屋に泊った
9位 紅葉をみた 屋形船に乗った
10位 夜景をみた ろくろを回して壺を作った
11位 着物を着た 森林浴をした
12位 遊園地に行った 遊園地に行った
13位 和菓子を作った 染め物をした
14位 コンサートに行った 人間ドックに入った
15位 屋形船に乗った 写真撮影をした

「買い物をした」「日本料理を食べた」は相変わらずのツートップです。ここが揺らぐことはなさそうです。温泉やお寺、登山なども昨年から引き続き人気です。

今年は「写真撮影をした」が大幅にランキングを上げたほか、「鹿を見た」「紅葉を見た」「コンサートに行った」がTOP15に初登場しています。

 

もはやフォトジェニックは常識! ぐんぐん上昇「写真撮影」

「写真撮影」については、週次の「〇〇したいランキング」で徐々に順位を上げ、今年の5月からはTOP10内を維持しています。今年の夏の振り返りでも、男性の「〇〇したい」ランキング3位に入っていました。フォトジェニックなモノやコト、スポットは引き続き人気を集めていくでしょう。

 

 アニメだけじゃないソフトパワー、コンサートに注目

「コンサート」は、2016年初頭から「〇〇したいランキング」入りしたのち、緩やかに下降していましたが、去年の国慶節頃を契機に順位のアップダウンが激しくなっています。人気の歌手やアイドルなどのコンサートの開催に合わせた変化と考えられます。

この国慶節には「浜崎あゆみ誕生日おめでとう」のコメント、「字幕付きのmy all(編集部注:2008年のアジアツアーでの一曲)」のシェアが多くみられました。国慶節期間、浜崎あゆみは九州地方などでコンサートを開催しており、ファンが参加していた可能性も考えられます。

「写真撮影」や「コンサート」の書き込みから見えてくるターゲットは明らかに若年層であり、訪日客における若年層の拡大がうかがえます。

 

 秋の風物詩「紅葉」と鹿

「鹿を見た」は今年夏前から徐々にランクを上げていますが、これには「奈良」の人気が関係しているようです。

奈良に関して「京都より人が少なく、観光スポットが分散していなくて観光しやすい」「それなのに日本らしい雰囲気が味わえる」といったクチコミが鹿の写真と一緒に投稿されています。「お辞儀をする姿がカワイイ」と動画を投稿するユーザーも見られます。

また「鹿せんべいをあげる」ことは訪日中国人にも広く広まっているようです。「紅葉を見ながら鹿におせんべをあげた~い!」というクチコミもあり、紅葉と鹿はセットで秋の日本旅行の目玉となっているようです。

紅葉は秋の風物詩として、「〇〇したい」ランキングには毎年登場していますが、件数は去年と比較すると今年は増加傾向にあります。「行った」ランキングでも秋前には紅葉で知られる箕面が急上昇していました。

国慶節期間、紅葉についてのクチコミ投稿は「大阪」「長野」「立山黒部ダム」で見られました。「紅葉先取り」というコメントとともに「那須高原」からの投稿もありましたが、色づきはまだまだといった感じでした。

「桜よりも紅葉の日本が好き」という投稿も見られ、「春は桜」「秋は紅葉」という日本の季節ごとの目玉トピックの地位が確定しているようです。一方で、いまは中国全土で国内旅行も含め旅行ブームとあってか、「日本よりもっときれいな中国の紅葉スポット」といったクチコミやブログ発信も複数見られました。「日本だけの美しさ」を正確に発信することも必要となってきそうです。

古典文学のことわざは中国人が大事にする概念の一つですが、そのうちの一つに「紅葉伝情」という言葉があります。「紅葉を通じて愛が成就する」という美談で、これと結びつけて紅葉を表現している書き込みもありました。こういった「中国人的常識」を踏まえた仕掛け作りは紅葉スポットの差別化にも有効なのではないでしょうか。

 

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