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【特集】2017年国慶節、訪日中国人の動向(3)若者は健康求めてコンビニへ!「食べた」「行った」「買った」ランキング公開

地域色の強い「食べた」急上昇ランキング ~讃岐●●●バーガー

(2)では国慶節期間の「〇〇したランキング」を紹介しました。

 

▼中国の〇〇に勝て! 鹿で差別化?大阪人気にあやかる「奈良県」が国慶節

【特集】2017年国慶節、訪日中国人の動向(2)クチコミのモノ対コトの比率をチェック!注目は「鹿」「紅葉」「コンサート」

 

このランキングで2位だった「日本料理を食べた」ですが、具体的にはどのような料理が楽しまれたのでしょうか?

国慶節を含む週の「日本で食べた」ランキングを見ると、和菓子やしゃぶしゃぶ、焼き鳥などその顔触れはあまり変わりません。

一方、アイテムに変化のない上位食品の裏で、人気が急上昇したメニューにはトレンドの芽が現れている可能性があります。

今回は、国慶節期間を含む2週間を1週ごとに分け、オンラインツール「トレンドViewer」の「ランク上昇率順並べ替え」の機能を用いてランキングを作成しました。

 

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では結果を見てみましょう。

 

2017年国慶節期間「日本で食べた」急上昇ランキング

  17’09.27~ 17’10.04~
1位 スムージー ラーメン
2位 牛丼 日本酒
3位 ラーメン 日本のビール
4位 辛子明太子 釜めし
5位 海鮮 焼きとうもろこし
6位 鯛飯 パン
7位 お菓子 駅弁
8位 讃岐うどんバーガー 焼きそば
9位 フルグラ ドーナッツ
10位 ポテトサラダ

対象SNS:新浪微博

 

国慶節の前半、後半で、まったく傾向の違う結果となりました。

まずは前半(17’09.27~)のランキング結果です。1位「スムージー」、2位「牛丼」、3位「ラーメン」となりました。

 

  • スムージー

「スムージー」というアイテムは市場に出回って久しいですが、若者が好んで手を出しそうな食品です。「食」にも若者の訪日が感じ取れます。

新浪微博でのクチコミをのぞいてみると、「健康になる」「ビタミン不足に」といって、中国でも日常的に作って飲んでいる人がいることがわかりました。

具体的にはどこで楽しまれているのでしょうか? クチコミをたどってみるとここにも「コンビニ」の人気がうかがえました。

「夜の楽しみ、旅館の下のセブンイレブン。スムージーを買おう」と陳列棚の中のセブンイレブンオリジナルのスムージーや、「ローソンオリジナルのスムージー、おいしい!」と500ミリリットルのパックの写真がアップされています。

またフォトジェニックなスムージーが有名な、大阪のジェイティードカフェの「インスタグラム」の写真がいくつも新浪微博に紹介されていました。

大阪ジェイティードカフェのインスタグラム

ジェイティードカフェ インスタグラムより

 

  • ご当地メニュー人気と簡単な朝食

前半ではほかに4位「辛子明太子」、6位「鯛めし」、8位「讃岐うどんバーガー」、10位「鯛」など、地域色の強い、特に関西方面のメニューが急上昇する結果となりました。

鯛めしや鯛は明石(兵庫県)や宇和島(愛媛県)の名産、辛子明太子といえば福岡、讃岐うどんバーガーは津田の松原サービスエリア(香川県さぬき市)で販売されています。

ラーメン、寿司の「日本食」だけでなく「ご当地メニュー」への関心の高まりがクチコミから見て取れるようです。同期間にはキンメダイを使った「金目コロッケ」も紹介されていました。

9位には、いま越境ECで人気のフルグラ(フルーツグラノーラ/カルビー)がランクインしました。ホテルの部屋で朝食として食べられているのかもしれません。国慶節後のフルグラの書き込み件数に要注目です。


▼フルグラの人気を要素別クチコミ件数ほかの推移から分析します

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  • 居酒屋メニューに興味がわいた国慶節後半(17’10.04~)

連休後半(17’10.04~)のランキングでは「ラーメン」がトップとなりました。

全体では2位「日本酒」、3位「日本のビール」、8位「焼きそば」、10位「ポテトサラダ」居酒屋メニューが多くランクインしています。家族や友人、恋人同士で訪れ、食事を楽しむ様子が目に浮かぶようです。

「焼きそば」のクチコミには「伝統的な日本料理とはだいぶ違う」とのコメントがあったり、目の前の鉄板で焼きそばを調理する大阪の焼きそば専門店が紹介されていたりします。中国でも「焼きそば(炒面)」という料理があるので、同じ名前の日本の料理に興味を掻き立てられるのかもしれません。

沖縄はTOP15圏外、大阪人気にあやかったミカンが有名なあの県

先ほど紹介した「日本で食べた」急上昇ランキングには地域色が色濃く出ていましたが、実際どの都道府県を訪れたのか、ランキングを見てみましょう。

2017年&2016年国慶節期間「日本で行った」ランキング(都道府県別)

順位 2017 2016年
1 東京都 京都府
2 京都府 奈良県
3 大阪府 大阪府
4 奈良県 東京都
5 北海道 鹿児島県
6 福岡県 福岡県
7 和歌山県 大分県
8 愛知県 沖縄県
9 兵庫県 北海道
10 大分県 愛知県
11 鹿児島県 神奈川県
12 広島県 兵庫県
13 福井県 和歌山県
14 神奈川県 石川県
15 千葉県 三重県

 

今年は東京が1位に返り咲きました。ランク順位を上げているのは北海道和歌山、愛知、兵庫、昨年TOP15圏外からのランクインは広島福井、千葉となりました。

 

  •  国慶節は「数次ビザ」よりも「自分の希望」優先? 沖縄ランクインならず

昨年との最も大きな違いは沖縄県がTOP15 入りしていないということでしょう。

週次の「行ったランキング」を見ると引き続き1位をキープしている沖縄ですが、書き込み件数を見ると実は約4か月ごとに少しずつ減少しています。

また沖縄県内の観光スポットでランク入りしているのは「沖縄美ら海水族館」「沖縄海洋博公園」「首里城」で、そのほかに増加する兆しがあまり見られません。また「那覇の国際通りはさながら中国」といった声も聞かれて、中国人にとって「海外旅行先」としての価値は下がっている可能性もあります。

クチコミによれば数次ビザのために沖縄を訪れる中国人も多いようですが、今国慶節期間は数次ビザを目的とする中国人旅行客が少なかったのかもしれません。また「東北」から入国することでも同様に数次ビザを取得できる制度が開始しています。数次ビザを目的に訪れる中国人にとって選択肢が沖縄一択でなくなったことも影響しているのかもしれません。

ジェンガから赤い「change」を抜き去る図

  •  電車と猫の最強タッグ!和歌山

和歌山の観光スポットはまだ「行きたいランキング」にはほとんど見られませんが、和歌山電鐵貴志川線、貴志駅の「ねこ駅長たま(現在はたまII世駅長)」は中国でも知られており、ちょうどこの9月、『ねこ駅長たま びんぼう電車をすくったねこ』の中国語翻訳本が発売されています。

今後、貴志駅を訪れる中国人も増えるかもしれません。また和歌山電鐵には「いちご電車」「うめ星電車」「おもちゃ電車」などユニークかつフォトジェニックな電車が走っており、昨今トレンドとなりつつある「電車旅行」を期待する層に響く可能性も高そうです。

マグロのテーマパーク「黒潮市場」に行ったというクチコミもあり、「マグロ」の人気が健在だとわかります。「これから列車で大阪に戻る」という書き込みは複数見られ、一番人気の大阪から少し足を延ばして訪れる場所として人気が上昇したとも考えられるのではないでしょうか。

 参考:たま駅長本に中国語版 貴志駅でサイン会(出典:わかやま新報)

文房具が圏外からトップ10へ

最後に国慶節期間の「日本で買ったもの・カテゴリ」ランキングを見てみます。1位「コスメ・美容」、2位「医薬品」、3位「ベビー・キッズ」となっており、昨年の2位と3位が入れ替わる結果となりました。ランクインしたカテゴリには昨年と大きな違いはありませんでした。

2017年&2016年国慶節期間「日本で買った」ランキング(カテゴリ別)

順位 2017年 2016年
1 コスメ・美容 コスメ・美容
2 医薬品 ベビー・キッズ
3 ベビー・キッズ 医薬品
4 生活雑貨 健康食品・サプリメント
5 ファッション 生活雑貨
6 健康食品・サプリメント ファッション
7 文房具 衛生・健康
8 お菓子 食品
9 食品 キッチン消耗品
10 衛生・健康 スナック菓子
11 キッチン消耗品 玩具・グッズ
12 玩具・グッズ のど飴・キャンディー
13 健康・美容家電 銘菓・お菓子
14 家電・デジタル製品 健康・美容家電

書き込み件数に着目してみると、今年は1位と2位の差が拡大しています。日本の「コスメ・美容商品」の人気は昨年よりも相対的に高まっているようです。

また昨年との大きな違いは、7位「文房具」の躍進でしょう。ここにも若い層の訪日が増えていることが見て取れます。

週次の「日本で買いたい」ランキングを見てみると、文房具といえばやはり「無印良品」がダントツで人気となっています。無印良品は上海などにも店舗がある中、「日本で買うこと」に付加価値があるのは間違いないようです。

この国慶節期間においても、「日本で買いたいランキング」で堂々の1位を獲得していました。

そのほか「文房具」カテゴリでランクインした商品は、NILON カバーノート(レイメイ藤井)、シリコーンインデックス(マーナ)、ドットライナー(コクヨ)などがありました。

「痒い所に手が届く」「上質な」文房具はまだ中国では入手しづらく、便利さとともに「日本らしさ」も備えた商品としてこれからも訪日中国人の購買欲をそそっていくでしょう。

 まとめ

今年の国慶節は、書き込みユーザーエリア分布で北京市がランクダウン若年層の増加沖縄のランクダウン、「買った」ランキングでの文房具の躍進といった変化が見られました。

今後も若い個人旅行客が増加することが予想され、彼らの好みは80後(20代後半~30代後半)の中国人と当たり前ですが異なります。ネット上の、特に本音が覗き見えるSNS上の書き込みから思いもよらぬ変化をキャッチし続けることが、今後もクロスバウンドで成果を出すためのカギと言えるのではないでしょうか。

 

▼2017年国慶節の振り返り、全3編残りはこちらから!

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