【特集】日本のお菓子ブランド調査(2)~中国おやつ戦争、ライバルはお菓子だけじゃない?
(1)では、日本のお菓子ブランドの書き込み推移を確認、成功につながった取り組みのポイントについて探りました。
(2)では、各ブランドのキーワードTOP5から、キャンペーン実施やコンテンツ制作のヒントを探っていきたいと思います。
【調査概要】
以下ブランドについて、2017年5月~10月の新浪微博上での書き込み(ブランド名での検索、製品名含むものもカウント)を収集
・グリコ
・カルビー
・味覚糖、UHA味覚糖
・明治
・森永製菓
・ロッテ
フルーツ大好き中国人、いつでも新鮮なものをたくさん食べたい!
ここからは各ブランド名で書き込みを検索したときのキーワードランキングを調査し、ブランドのイメージについて考察したいと思います。
まずは書き込み件数上位3位までのブランドについて、キーワードを見てみましょう。
カルビー | 味覚糖 | グリコ | |
---|---|---|---|
1. | カルビー(卡乐比) | UHA(悠哈) | グリコ(格力高) |
2. | シリアル(麦片) | UHA(UHA) | ポッキー(百奇) |
3. | フルーツ(水果) | 味覚糖(味覚糖) | チョコレート(巧克力) |
4. | 日本(日本) | コロロ(CORORO) | 日本(日本) |
5. | 産地(产地) | グミ(软糖) | おやつ、間食(零食) |
カルビーといえば(1)でお伝えしたようにフルーツグラノーラが話題の中心になっており、5位の「産地(产地)」を見ても315の余波が伺えます。3位に「フルーツ(水菓)」が入っていますが、クチコミを見ると「フルーツが沢山で栄養が豊富!」とあり、他のシリアルと違いフルーツが多く含まれていることを評価されているようです。
味覚糖については、やはりコロロの強さが目立ちます。
書き込みを見てみると「コロロは香料ではなく本物の果汁で味付けしてあるから、新鮮な果物を食べているのと同じおいしさを味わえて、その上、皮を洗ったりむいたりする必要がなく、楽で良い」「コロロはグミの外皮がぷちっとして本当のブドウの皮みたい」など、本物さながらの食感や香りがフルーツ好きの中国人をここでも魅了しています。
確かに新鮮なものは旬でなければ味わえませんし、いつも安く手に入るわけではありません。コロロであれば洗ったり皮をむいたりする必要もなく、いつでも手軽に新鮮なフルーツが楽しめるというわけです。
人気のチョコレート、他社とどう差別化するのか
グリコといえば中国版もあるポッキーのブランド力がやはり高く、ついで「チョコレート(巧克力)」が3位に入っています。また5位に「おやつ、間食(零食)」が入っているのが興味深い点ではないでしょうか。では他のブランドはどうでしょうか?
森永 | 明治 | ロッテ | |
---|---|---|---|
1. | 森永(森永) | 明治(明治) | ロッテ(乐天) |
2. | チョコレート(巧克力) | チョコレート(巧克力) | 日本(日本) |
3. | ビスケット(饼干) | 日本(日本) | おやつ、間食(零食) |
4. | 子供(小孩) | おやつ、間食(零食) | チョコレート(巧克力) |
5. | ハイチュー(森永软糖) | Melty Kiss | ガム(口香糖) |
グリコだけでなく森永、明治、ロッテも上位に「チョコレート(巧克力)」が入っていました。件数をみると、グリコ、森永、明治、ロッテと続きます。明治は5位にMelty Kissが入っていますが、これは新垣結衣さんの人気が貢献していることも考えられます。
では日本のチョコレートはどういった点が人気なのでしょうか?
書き込みを見てみると「高いけれど、チョコレートの味がする」「ブラジルなどのチョコレートに比べて甘すぎない。パッケージもゴテゴテしていなくて、スタイリッシュだし、かわいいのもある」「輸入チョコレートは大振りなのが多いが、アジア人はそんなに甘いものはたくさん食べない。日本のチョコレートは小ぶりで食べやすい。」といった声がありました。
日本のチョコレートは全般的に人気であり、一歩抜きん出るには他ブランドとの差別化が非常に重要のようです。差別化のヒントについては、続く属性調査の結果でも探っていきたいと思います。
中国おやつ戦争、ライバルはお菓子ブランドだけじゃない?
キーワード「おやつ、間食(零食)」ですが、件数が多い順に見るとグリコ、ロッテ、明治となりました。中国の「零食」とは朝昼晩の3食以外に食べるモノ全般を指します。日本人のいう「おやつ」に該当しますが、地域によって何を零食に選ぶかには好みがあります。
たとえば北方の人にとって麺類は主食ですが、南方の人にとっては零食となりえます。ではどのようなものがおやつになりうるのでしょうか?零食に選ばれるものを大まかに分類すると以下の3つになります。
(1)新鮮な果物やドライフルーツ、ナッツ類、干し肉、干し魚など加工していないまたは味を加工していない食品
(2)蜜漬けの果物や味付け海苔、味付け干し肉など加工度の低い食品
(3)スナック菓子やゼリー、キャンディー、インスタントラーメンなどの加工度の高い食品
実はフルーツグラノーラも、クチコミを見てみると「おやつにもよさそう」という声がありますが、その理由はいくつか考えられます。
中国では、麦を押しつぶしたものである「麦片」を牛乳や水と一緒に煮て朝ごはんにすることがありますが、麦片とフルーツグラノーラを比較した場合、味や見た目がおやつに近いと思われているかもしれません。また、中国にはポン菓子やポン菓子を固めた伝統的な零食があり、食感がやや似ているようです。さらに、ドライフルーツを多く含むことも多少影響しているかもしれません。
日本の各お菓子ブランドも中国でのおやつ候補となっていますが、そのライバルは幅広く、お菓子に限らないようです。
▼中国のおやつ、夜食事情はこちらから
【週次ランキング解説】2017年8月9日~8月15日 日本で「食べた」ランキング
子供のおやつ市場を拡大せよ!
森永について見てみると、唯一「子供(小孩)」というキーワードがありました。子供の笑顔がトレードマークのビスコもインバウンド市場で人気があり、ビスケットは子供のおやつに良いというイメージが中国でも浸透しているのでしょうか。
▼ビスコはインバウンド市場で人気上昇中
【週次ランキング解説】2017年11月8日~11月14日 日本で「買った」ランキング
中国では、主食としてマントウ(中身のない肉まん)を食べる習慣があり、同じく小麦やミルク、砂糖を主材料にしたビスケットやクッキーは、子供のおやつにちょうど良いと考えられているのかもしれません。レシピサイトを覗いてみると、1歳ぐらいの幼児向けビスケットレシピが見られました。
一方、40代以降の親世代は、一部サイトではビスケットやポテトチップスのようなおやつをあまり好まないという情報もあります。彼らが子どもの時のおやつと言えば、ふかし芋やひまわりのタネなどが定番で、食べ慣れていないという意見もあります。また、健康上の理由から敬遠する動きも見られるようです。ただし子どもは代謝が活発で、甘いものを食べ過ぎてもある程度は大丈夫だと考え、子供のおやつには良いと思っている様子も見られます。
ただしチョコレートについては、先ほどご紹介したように「甘すぎない」という意見があり、大人の食べ物というイメージがあるようです。「大人になったら本物のチョコレートのおいしさがわかる」という広告もありました。
参考:
为什么有人不喜欢吃甜食?(出典:知乎) 中国語
饼干能够给宝宝吃吗?(出典:妈妈网) 中国語
辅食 | 适合宝宝吃的九种小饼干汇总!(出典:亲亲宝贝网) 中国語
饼干营养真相 给孩子吃饼干请注意!(出典:39健康网) 中国語
求解-为什么年龄大的人不爱吃零食(出典:百度贴吧) 中国語
子供用ビスケットレシピ(出典:好豆网) 中国語
まとめ 地域やターゲットで大きく変わる競合
どれをとってもおいしい日本のお菓子。これが気軽に購入できるとあっては、人気が出ないはずはありません。
一方で中国のおやつ事情も手伝って、他ブランドだけでなく他カテゴリ商品との差別化が求められる状況であることも、今回の調査で見えてきました。また地域やターゲットによって、何を打ち出し、どこを競合とするのかも変化するようです。
特集(3)では、書き込みユーザーの属性をブランドごとに分析、差別化のヒントをさらに探っていきたいと思います。
近日公開
【特集】日本のお菓子ブランド調査(3)