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【中国APP】イマドキ中国女子のケータイの中、ノゾいてきました番外編 ~ますます増える生活必需アプリ事情を拝見~

これまでイマドキ中国女子たちのケータイの中身、主に情報収集に使っているアプリ事情を見てきました。しかし、モバイル大国中国ではこれら以外に数多くのアプリが活用されています。それらは必ずしもプロモーションに活用できたり、ECサイトのように販売を行うツールではありませんが、中国イマドキ女子の習慣を知る上では重要な情報。

イマドキ中国女子のケータイの中、最後は彼女たちの生活にミッチャクしたアプリを探っていきましょう。


「B站」は必須アプリ。競争激しい動画アプリ

中国の娯楽に欠かせないのが「動画サイト」。

日本でも知られている中国の動画サイトと言えばアリババグループの「優酷(Youku)」、百度と並ぶBATの一角として知られるテンセントの「騰訊視頻」、同じくBATの百度による「愛奇芸」などが知られており、ドラマやアニメ、映画などを視聴することができます。

かつては日本の作品が無許可でアップロードされていると問題視されていましたが、現在は正式に版権を得てアップされているものもあり、徐々に改善の兆しが見えています。

こうした動画サイトもそれぞれアプリを開発、モバイル世代たる中国の若者たちも必ずと言っていいほどダウンロードしています。

その選択においては「ほとんどは最初に使い始めたサイトのAPPをダウンロードして使うのがほとんど」ということで、特に流行などはない様子。

その中で90後世代にとっての「必須」となっているのが「B站」、すなわち「bilibili」です。

こちらは日本のニコニコ動画」を模したつくりになっており、利用者も日本同様、サブカル好きの若者世代が中心です。

日本では山下智博氏が一躍人気になったプラットホームとして知られるようになり、新たなマーケティングツールとしても注目されています。

そのアプリ利用者の大部分が語る使用目的が「面白動画」。テレビやDVDで見られるドラマなどとは違い、ここでしか見られないユーザーによるおもしろ動画が数多くアップされており、それを見ながら「弾幕」で感想を共有するといった、まさに日本のニコ動の手法が用いられています。

この「B站」ことbilibiliと他の動画サイトの使い分けを比較すると

  • ドラマや映画、アニメ→動画サイト
  • おもしろ動画・ライブ→bilibili

となっていました。

 

物心ついた時からモバイル端末が身近にあった世代、そこには日中の共通点が垣間見えます。

フリマ、ヘアスタイリスト予約、野菜&フルーツ…ニーズ特化型アプリも続々

その他、今回みせていただいた中国イマドキ女子たちのスマホ画面。共通したアプリをリストアップしてみます。

 

「閑魚」

中国で人気のCtoC型フリマアプリ。日本の「メルカリ」に相当。

大量消費社会に入っている中国では、近年、中古品を売り出すフリマアプリが徐々に人気になっています。主なユーザーはやはり80後や90後の若者たち。こうした中古品市場では比較的安い価格で商品が手に入るため、例えば新卒学生など社会でメンツを気にしながらも経済面が追い付かないでいる若者にとっては使いやすいアプリとなっているようです。

ただ、以前高級化粧品の「空瓶」が販売され問題視されたことも(ニセモノ業者が空瓶を買って…という行為があったらしい)。

 

「南瓜車」

直訳すれば「かぼちゃの馬車」という名前のアプリ。上海を中心に展開するヘアサロン「南瓜車」のスタイリストを予約できるアプリ。現在は提携しているヘアサロンも増え、利用者も増加中。

中国では一般的にヘアサロンを予約する習慣がありませんでしたが、これによって予約の習慣がつき、店舗運営にもメリットが。また人気のスタイリストの評価にもつながることから、スタイリストのレベル向上にも役立っているとか。

 

「叮咚买菜」

野菜、フルーツの販売に特化したアプリ。これを使うと、30分以内に注文した野菜やフルーツが自宅に届くというもの。

中国ではフルーツの価格が比較的安く、また女性や子供には「美容や健康のためにフルーツを取る」という考えがあることから、フルーツ需要が高いのです。そのため主婦だけではなく、一部の若い女性も使用している模様。

 

もちろんECにおいてはTaobaoの人気は依然として強く残っています。商品だけでなくサービス、例えばITに弱い女子向けに「パソコンや携帯のOSバージョンアップを家に来て行ってくれる業者」(90後デザイナー)もあり、ネット上の百貨店的な存在になっているようです。

同時に個々の悩みやニーズに特化したタイプのアプリも広がっていることが見て取れます。中国若者の価値観の多様化、生活ニーズの細分化によって、今後もこうした流れは続いていくと思われます。

消費者の不安感をぬぐう、新しいタイプの人気「KOL」も

さてここで、今回の取材でお話を聞いた80後の女性のイチ押し、欠かさずチェックするという有名「KOL」をご紹介。

その名も「老爸測評」。

このKOLは、見た目フツーのおじさん(失礼!)で、どの辺が「KOL」なのかと言えば、この方、なんと政府の品質検査部門職員。

自分の子供のプラスチック製ブックカバーのニオイがあまりにきつかったことから、自身のラボで成分を分析。その結果、ブックカバーに含まれている化学物質が国の基準をはるかに上回っていたことがわかり、自身が使っていたSNSに投稿。

大きな反響があったことから専門のアカウントを開設、大手、中小に限らず多様な商品を自身で安全検査し、その検査報告書を公開。「安全」、「これはちょっと危ない」など、商品の安全性をズバッと斬る情報を発信したのです。

この「プロなんだけど、企業や政府から利益を受けていない公正な検査とその結果に基づく極めて客観的な論評」に、中国の消費者、特に子どもを持つ母親世代から高い信頼と人気を得るに至ったのです。

現在はEC旗艦店も設置、単純に商品の紹介だけではなく、品質検査結果報告も公開していることから、消費者も「安心して」購入しているとのこと。

中国消費者にとって「有名人気ブランド」、「華やか」といった要素以外に重要視されているのが「安全性」。その基本を支える彼の存在は、これからも中国消費者の安心の拠り所となっていくように思います。