中国イベントカレンダー2020年版 勝負の1年は要チェック
さて、今年も残すところあと3か月。直前にはダブルイレブン、その後にもブラックフライデー、ダブルトゥエルブなど、年末に向けて各種商戦も盛り上がり次期でもある。
しかし、中国ビジネスは今年で終わりわけではなく、2020年も継続していくもの。そのためにも、今のうちから来年のイベントをチェックしておきたい。
2020年のイベントカレンダーを見ながら、2020年の中国事業を考えてみよう。
2020年の歳時記をチェックしよう!気になるあの国際的祭典は?
まずは来るべき2020年の中国の重要歳時記をチェックしてみよう。
【グラフ】2020年中国イベントカレンダー
日本は2020年には大きなイベントを控えている。そう「東京オリンピック・パラリンピック」だ。
さぞかし「オリンピックだ!日本に行こう!」という機運が盛り上がっているかと思われるだろうが、SNSを見る限り、比較的冷静である。
すでにWeiboには「東京奥運会・残奥会官方微博(東京五輪・パラリンピックオフィシャルWeibo)」と、オフィシャルアカウントが開設されているが、そのフォロワーは2万人程度とマイクロインフルエンサーレベルにとどまっている。
開幕まで残り約1年であるのだが、この数字だけを見ると、あまり関心度は高くないのかもしれない。先日の建国70周年式典ののちにWeibo上で自慢げにその規模・華やかさを語り「東京オリンピックがかわいそうだ。これを見たらプラッシャーに感じてしまうだろうから」といった投稿がみられるなど、どちらかと言えば「東京オリンピック何するものぞ、という意識が垣間見える。
開催国としてはできれば盛り上がってほしいところだが、この中国消費者のオリンピック意識、SNSを見ていると非常に興味深いポイントが見えるため、別の機会に掘り下げてみたい。
新旧2種類の暦でそれぞれのビッグイベント
まず中国では、旧暦で過ごす伝統的なイベントと、新暦で祝う国際的なイベントの2つがある。
前者の最大イベントが新年を迎える「春節(旧正月)」。
日本からはどうしても旧暦の大晦日から始まる1週間の大型連休に注目してしまうが、地方によって異なるものの実際は旧暦臘月(十二月)二十三、二十四日あたりから年越しの風習がスタートし、旧暦正月(一月)十五日の元宵節をもって終了する。
実は長丁場のイベントの春節、昔は実家で家族そろって過ごすものだったが、近年では海外旅行シーズンとなり、日本でもインバウンド商戦の主戦場となっている。
同時に「年貨」と呼ばれる年越し用品や、ボーナスをもらって大都市から実家に帰って過ごす消費者も多いことでギフトニーズなども高まる時期である。
そのためインバウンドだけでなく国内小売の消費も高まる時期と言える。
新暦のイベントで最大級なのが10月1日の国慶節。いわゆる建国記念日である。春節同様、一週間の休暇となり、やはり国内外への旅行シーズンとなることで知られる。
来年注意が必要なのが、新暦最大イベントの国慶節と、旧暦イベントで伝統的には春節に次ぐ重要なイベントである中秋節が重なるという点。
2つのイベントが重なると、当然のことながら盛り上がりも増す。また本来インバウンドニーズが見込めるイベントに中秋節のギフト商戦が加わることで、消費形態にも何かしらの変化が訪れるかもしれない。
増える小型商戦。どう見るべきか
さて、近年は上期の618や年間最大の商戦ダブルイレブン以外にも、細かなEC商戦が存在感を示している。
例えば、代表的なところでいえば3月8日国際婦人デーにおける「女王節」「女神節」の商戦。2020年のこの日は日曜日となるため女性たちの消費も伸びることが予想される(平日の場合は女性のみ半休)。
また5月6月には「母の日」や「父の日」商戦がある。
前者においては化粧品やサプリメント、年配の婦人向けアパレルが主力、後者でも同様にサプリメントや昨年はマッサージチェアなどの商品も売上を高めた。
変りものでいえば5月20日、「520」の発音「wu er ling」がI Love Youを意味する「我愛你(wo ai ni)」と音が似ているため、新たな恋人の日となっている。
主力となるのは化粧品やアクセサリーなど、やはり女性向けの商品。
2月14日のバレンタインデー、旧暦七月七日の七夕(中国式バレンタイン)、そして12月25日のクリスマスと同様、男性から女性へプレゼントを贈る比率が高いためだ。
このように商戦を並べると「全部で勝たなければ」と熱を上げる、もしくは気が遠のいてしまうのだが、そうではない。
確かに個々の商戦で効果を上げることは重要だが、すべての商品に可能な話ではない。当然中国市場開拓の度合いによっても異なるだろう。
重要なのは「自社の中国市場攻略」という大戦略のなかのポイントとして個々の商戦を考えなくてはならない。
労力や資本の投入度合いとしては「618」や「ダブルイレブン」が最も大きくなるのであるが、必ずしもすべてで「売上額」を競うのではなく、「知名度向上」や「会員囲い込み」、そして「刈り取り(販売量)」といった目的に分けて戦うことが必要不可欠。
必要なのは「中国市場で勝つ」ことであって、「個別の商戦で勝つのではない」、ということきちんと意識して考える事なのである。