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スキンケアだけではない化粧品市場 成長中の中国メイクニーズをつかむには Vol.3 ~中国女性のメイクアップ情報収集法~

メイクアップ市場を攻めるにおいて気になるのは中国消費者の情報収集。スキンケア同様、いやそれ以上にノウハウが必要なメイクアップでは、中国の女性たちはどのようにメイクアップの情報を集めているのだろうか。今回はクチコミ調査を通じてその状況を見てみよう。

モバイル社会でメイク情報を求めているのは誰?

メイクに限らず、中国でもっとも大きな情報源となっているのはスマホ上のAPPである。そこで、まずは「メイク×APP」クチコミを見てみよう。

【グラフ】「メイク×APP」クチコミ上位15キーワード

これを見ると特に利用されているのは「小紅書(RED)」と「Wechat」の2つ、同時に「KOL」や「スター・アイドル」のようなインフルエンサーに関するクチコミも多い。

 

ただ注意が必要なのが、その多くが「初心者向け情報」であるということ。

小紅書を開き、中国語でメイクアップを示す「彩粧」を検索してみると、最も多く表れるのは「入門向け」、「新手(新人)~」といった、メイク初心者向けの情報である。

その理由はクチコミを年齢層ごとの比率で見るとわかる。

【グラフ】「メイク×APP」クチコミの年齢ごとの分布

これを見ると、圧倒的に高校生~大学生が多くなっていることが見て取れる。

背景の1つには完全モバイル世代であり、APPを使って情報収集に慣れているという点だが、この世代にはメイクに関しての経験が乏しいために情報ニーズが高いという一面がある。

 

日本と異なり、メイクへの接触が若干遅めの中国。大学生になり、自由にメイクを楽しめるようになるのだが、さすがに勉強漬けの日々を送ってきた学生たちは、メイクに関する情報が日本の女子大生と比べても押しなべて少ないのである。

 

小紅書で発信される情報では「初心者向けのアイテム」や基礎的な使い方、手順などが動画交じりに発信されているが、APPをベースにした商品情報の発信では、このような「入門情報」でブランドの植え付けを計るというブランド戦略も取り得るだろう。

気になるメイクテクニックは「目ヂカラ」?

では、こうした中国消費者が気にしているテクニックはどのようなものが有るか見てみよう。

【グラフ】「メイク×テクニック」のクチコミ状況

メイクノウハウでの関心が高いのが「アイメイク」となった。

 

中国の女性でも「アイメイク」に対してのコダワリが強く、日本のブランドでも「ヒロインメイク スムースリキッドアイライナー スーパーキープ」が人気商品となっている。

小紅書で発信されている情報、「メイク×目」だけで6万件以上の書き込みが見える。日本でもあるような「眼を大きく見せる」といったものもあるが、多くは日本では見られない「華やか」なもの。女性KOLに多く見られるような、まさに目ヂカラともいえる、はっきりとしたアイメイクが人気出ることが見える。

また「外国人」という書き込みも。

ここから見ても、日本のナチュラルメイクよりは、欧米、ハリウッドスターのような豪華さ、華やかさをメイクに求める傾向が強いと言えるだろう。

情報源はソーシャルバイヤー?中国の新たなトレンドメーカーへ

さて「メイク×ノウハウ」、「メイク×参考」という2つのクチコミ調査を見てみると、不思議なキーワードが見える。それが「代購」、すなわちソーシャルバイヤーである。

【グラフ】「メイク×参考」クチコミ件数

現在、日中間に関わらず、中国国内の消費者と海外で人気商品を代理購入するソーシャルバイヤーが、商品流通や情報の仲介を行っている。

どうやらメイクアップの世界でも同様のソーシャルバイヤーたちが活躍していることが見て取れる。

 

ただそれが「参考」や「ノウハウ」といったキーワードとともに現れるのは、彼らが海外のメイク技法やノウハウ情報を中国に伝える存在でもある様子である。

 

仮説ではあるが、中国の消費者はAPP上を含めて中国国内で広がっているメイクアップ情報に満足していないのではないか?とも思える。

 

現代の中国で女性が自由にメイクやスキンケアを楽しめるようになったのは改革開放、特に物資が充実し始めた90年代に入ってからであろう。

そう考えれば、わずか30年程度の歴史しかない。

日本では数多くのファッション雑誌が存在し、その中でもメイク情報も充実。メイクアップの専門家もいるが、中国では現代メイクアップ文化の蓄積がまだ乏しいのである。

 

ファッション誌やメイク情報メディアが成熟する前に、中国ではSNS社会となり、KOLの登場ともなったが、こうした情報は、いわゆる海外市場のような「専門家」ではない。

 

そうした成熟しきれていない中国のメイク情報に飽き足らず、海外で成熟したノウハウなどを収集するための存在として、現地に住んでおり、現地の消費者が使用しているメイクおよびそのノウハウを収集したい場合、ソーシャルバイヤーがクローズアップされているのである。

 

すでに日本でも多くの領域でソーシャルバイヤーの活用が進んでいるが、メイクアップ領域に置いてみれば、商品の販売チャネルというだけではなく、ブランドの進める最新鋭のメイクトレンド(ノウハウ)を発信する、トレンドメーカーとしての活用法もできるということであろう。